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黒山羊の家の紡ぎ歌 9/8

あとがき 


この物語は、14才のときの構想です。これも、いつか書き上げたいなと、ずっと思っていたものです。
「サングラスをかけたライオン」の少し前、つまりほぼ同時期。なので、ビートルズの赤盤青盤でいえば、「サングラスをかけたライオン」の夏版に対して冬版、みたいな感じです。長さも3万字ほどで、ほぼ同じくらいですね。

新潟へスキーに行ったときの印象がおおもとになっています。「トンネルを抜けると雪国だった」みたいな世界。自分も、自分の「雪国」みたいなのを書いてみたいなと思いました。
また、そこから派生して、東欧の山岳地帯の民家の間取りといった、マニアックな分野に興味をもつきっかけともなりました。
当時は7割がたまで書いたのですが、「ライオン」と違ってさいごまで書き上げられませんでした。思想的にも、形式的にもとても難しかった。でも当時から、物語がどんなふうに終わるかは分かっていました。

今回、物語そのものの魂を尊重して、とにかく全部そのままに書こうとして、はじめて分かったことがありました。それは、この物語の背景、「黒山羊の家」のある場所がそもそもどのような場所で、どんな歴史の変遷を経ていまの状態に至ったのか、またレマたちの一族の出自など、物語のなかでは語られていないけれどもすべてを説明するような一連のことです。
それでパズルのすべてのピースがはまった気がして、そうだったのか! と思いました。
やっぱり物語というものは書き手を超えているのです。それが書くということのこわいところでもあり、すばらしいところでもあります。


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