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絶対に急騰株に手を出してはいけない理由

皆さん、こんにちは。アメリカ株式義塾です。

今回の連載「絶対に手を出してはいけない投資の落とし穴 急騰株」では、つい手を出したくなってしまう急騰株や仕手株に潜む罠をお伝えします。

第1章では、急騰株や仕手株に手を出した投資家が大損失を被る理由を解説します。

最近、思った以上に多くの方々にフォローしていただいて、ただただ喜ばしい限りです。本日は感謝の気持ちを込めて、米国株を買っている投資家にとって必読のコンテンツをお届けします。投資を始めてからまだ日が浅い方にとっても、非常に重要なポイントですので、ぜひ一度は目を通してみてください。


以前アップロードした私たちの自己紹介をシェアさせていただきます。新たにフォローしてくださった皆さんも参考に最後までご清覧いただければと思います。(❁´ω`❁)


では、本題に入ります。




事例でみる株価大暴落事件

出典:ヤフーファイナンス

これらの銘柄を見てみましょう。まずは率直な感想を聞かせていただけますか?さすがは米国株。

やはりこうした大化けの可能性があるからこそ、それに惹かれて、国内株より米国株を優先する人もいるでしょうね。

例えば、この「ファーマサイト・バイオテック(PMCB)」という名のバイオ株ですが、この「絶対にマズイ株」についてお話したいと思います。この銘柄は2021年8月18日、材料もないのに突如としてなんと333%も爆上がりしました。たった一日で2.99ドルから9.98ドルまで飛び跳ねたわけです。

しかしながら、急騰した翌日PMCBの株価は4ドルまで暴落しました。10億ドルも集まっていた取引代金が一夜で紙くず同然になったのです。当時、PMCBに投資していた日本人の銀行口座も閑古鳥が鳴く結末となってしまいました。

それにも関わらず、米国株に投資している人々の大半はこういう「急騰株」と「仕手株」に惹かれてしまうことが多いです。
その理由は、これらが一度急騰すると爽快すぎる加速パターンでカッコいい見せ場を作るからです。

こうした急騰株はほぼ毎日株式市場で見ることができます。なお、米国株の場合、これらの急騰株、または仕手株は一日で40%であったり、100%であったり、さらには200%以上も株価が爆発的に上昇することも珍しくありません。1日の株価変動に上限と下限の縛りがあり、日ごとの値幅制限がある日本の株式市場にとっては考えられないことですね。

そんなわけで、一発逆転を狙う人々にはもはや絶好のゲームステージになるようにみえるのです。こういう急騰株に乗っかっている市場参加者たちはたくさんいます。

出典:ヤフーファイナンス

我々「アメリカ株式義塾」が求めている
「投資に値する企業、申し分のない決算書」の視点から見ると、
こういう急騰株や仕手株は絶対手を出してはいけない銘柄に当てはまります。
【INPX】はまさにそのケースです。


やっぱり一発逆転かぁ、、。

一発逆転って、、

誰かさん:だって、こういう急騰株じゃないと一発逆転はできないもん…

確かにその通りです。しかし、実のところ問題なのは、急騰株を買う時に、財務諸表を真面目にチェックしたり、業界現況を確かめたり、企業のことを調べたりする手間をかけない人が意外と多いことです。

その時急騰している様子を見て、今乗っかってもまだまだ行けると思い込み、購入してしまうのです。実際に、急騰株に飛びついて痛い目に遭ったら、お金がどんどん飛んでいく口座を見て後悔することになるわけです。
それでもこのように考える投資家もいます。

「急騰株って、どこまで駆け上がるかわからないし、直近の高値から調整に入る時点で適当に乗っかれば良いんじゃない?だって、値幅もけっこう大きいし、これから十分稼げるだろうしな。」

このように投資家たちの「急騰株」に対する認識が甘くなってしまった背景にはAMCとGMEの実例があります。両者ともショートスクィーズが発生した銘柄ですよね。


神?!GME(ゲームストップ)の動き

出典:ヤフーファイナンス


GME(ゲームストップ)はショートスクィーズが発生した後も、1年近く値上がりと値下がりを繰り返していました。
ゆえに、「急騰株はシコリ玉になってしまっても、人生は終了させられない」という投資家たちの認識はさらに固まりました。

しかし彼らが見落としているのは、AMCという銘柄はあくまでも一例に過ぎないことです。それをあたかも急騰株の絶対法則であるかのように思い込んでしまうのは過度な一般化です。


さらに、残念ながら現実はそれほど甘くはありません。

たいていの急騰株、いわばPMCBのような銘柄は本格的に下落し始めるともう致命傷です。

つまり、そのまま終わりだということです。

手加減などされず、1秒でぱっとふるい落とされてしまうわけです。米国株に入門して急騰株に一度でも挑戦してみたことがある方ならば胸に刺さるかと思います。

特に米国株の場合、急騰株と仕手株の末路は大体こんな悲惨なものなのです!これらの背後に存在する黒幕を知ると、個人投資家はなぜ急騰株で勝てないのか、その理由が分かります。我々「アメリカ株式義塾」は急騰株と仕手株に手を出してはいけない理由と、仕手筋の恐ろしいレベルの罠について徹底解説していきます。


ここで抑えておくべきポイントは、材料が確実な急騰株は例外だということです。例えば、以下のような急騰株だとそりゃあ、今にも株価が大化けしてもおかしくない状況ですよね。

・まだまだ世間に知られていない会社がいきなり新技術を披露する。
・思いもよらない契約を結ぶ、または売り上げや実績が急上昇する。
・FDAの承認を直前に控えた製薬・医療セクターの小さな会社が第III相試験の結果を公開、またはそれを超える成果を発表する。

このような銘柄は爆上がりして当たり前です。特に、時価総額が小規模だと値動きは激しくなりがちですが、それでもピンチになることはありません。

さぁ、今日も大事なことは、念のためもう一度言っておきますね。

ここで問題なのは、材料が無いにも関わらず、ぴょーんと飛び跳ねる急騰株のことです。

それでは早速本題に入ります。「材料が特にないのに株価が大化けした銘柄」は、なぜいつも残念な結末に終わってしまうのでしょうか?


理由なき急騰に大ピンチは付き物

米国株における「仕手筋」の正体は割とはっきりしています。

海外株関連記事ではオファリングについて嘆くポストをよく見かけます。要するに、たんまり儲けることを夢見ていた人の大半は大損してふるい落としを食らってしまうのです。その原因は99.99%オファリングのせいです。

株価が数十パーセント、いや数百パーセントも爆上がりした翌日、「待ってました!」とのごとくにオファリングの話を切り出す会社もあるわけで、

急騰した当日に堂々とオファリングを発表する会社もあったりするものです。最悪の場合は、取引している最中に「世界の中心でオファリングを叫ぶ」というような、心臓に毛がもじゃもじゃ生えているヤツもいるらしいです。

出典:ヤフーファイナンス

先ほど一日で333%爆上げしたPMCBがその翌日に4ドルに暴落したと説明しましたよね。その背後にもオファリングがありました。株価が急騰した翌日、PMCBは米国証券取引委員会が運営するSEC開示システムにForm 8-Kを提出し、オファリングを発表したのです。

これがForm8-Kという報告書。


PMCBが開示したオファリングの価格は一株当たり4.25ドルでした。しかも、なんと353万株を有償増資の目的で発行しまくったのです。


Form 10-Kを一部抜粋

当時PMCBがオファリングの直前に提出していたフォーム10-Qを見てみると、2,160万株しか発行していないことが分かります。

すなわち、353万株の有償増資というのは時価総額の6分の1に至る規模なのです。4.25ドルで発行された新株がこれだけたくさん市場に出回ると、直近の株価がいくらであれ、旧株も直ちに4ドル付近まで大幅に下落してしまいます。

仮に、オファリングを表明する前にPMCBが9ドルだったと想定してみましょう。その場合自然と買い手と売り手の駆け引きが始まります。

「8.9ドルの時に買いたい」という買い手と、「9.1ドルの時に売りたい」という売り手が交渉を重ねていき、その流れで決まるのが株価なんです。

買い手:8.9ドルなら買ってやるよ。成り行き注文に突っ走るほどやけくそになんかなってないよ。ほら、早くそっちから声かけてきな。

売り手:何言ってるんだ。9.1ドルじゃなきゃ売らないってば。今がチャンスなんだから、後で後悔するな。


このように、何も知らないまま買い手と売り手が駆け引きをしている最中にPMCBが353万株を4.25ドルでぶっ転がすわけです。おまけに、市場に出回り始めた新株は誰でも購入することができるのです。

PMCB:おーい、みんな~!たった4.25ドルで353万株売り始めたばかりだけど、興味ある?

買い手:?!??!?!?!!


会社が自ら進んでオープンマーケットで自社株を4.25ドルで売り出したわけですから、9.1ドルで売ろうとする売り手の方にはさすがにもう誰も寄ってこないでしょうね。

安値の株をわざわざ高値掴みするような人はいるわけがありません。これにより、株価は9ドルから4.25ドルへと急落します。このようにして、市場参加者がオファリングの発表を聞いてから5秒から1分の間に株価の暴落は完了します。

9ドル、8ドル、7ドル、6ドル…と株価がむしばまれるように下落せず、株価がいきなり4ドルに急落するため、損切りすらできない状況です。すべてがそうだとは言えないものの、多くの急騰株がこのような悲惨な末路を迎えることになります。


出典:ヤフーファイナンス

TBLTの事例

もう一つケースを見てみましょう。TBLT(Toughbuilt Industries)という銘柄です。皆さんにはあまり知られていない銘柄ですね。この銘柄は2022年11月14日、一晩で2.65ドルから4ドルまで株価が飛び跳ねました。

それから二日後、株価は一気に元通りに復帰し、2.5ドルに暴落します。このギャップダウン、どうでしょうか?

ギャップダウンとは
英語表記はGap Down(GD)。 前日の終値よりも当日の始値が安値で寄り付くこと。 寄り付き前に買い注文を上回る売り注文があるとギャップダウンする。 株価チャートではローソク線が下に隙間を空けて線画されるため、「下に窓をあける」「下放れる」ともいう。

やはり、オファリング

ご想像の通り、元凶は仕手筋が立会時間前に行ったオファリングです。実際に、この銘柄の時価総額は当時3,000万ドル当たりでした。

なのに、260万株を750万ドルで発行したのです。時価総額のおよそ4分の1です。換算すると、一株当たり2.86ドルになります。TBLTは、プレ・マーケットでオファリングを実施したので、カモにされた株主たちは大損させられました。


テスラ(TSLA)の事例

原則的に、オファリングというものは、正当な理由がある場合、または適度な範囲で行う場合は株価に大きな打撃を与えることはありません。

テスラ(TSLA)のような企業もギガファクトリーの建設、事業資金の調達などの目的のため徐々に有償増資を行い、株価が短期的な調整に入ることはたびたびあります。要は、まともなオファリングであれば常識外れな暴落はまずないということです。

出典:CNBC


例えば、2020年2月13日、テスラ(TSLA)は事業拡大のために20億ドル規模のオファリングを実施する旨を表明しました。767ドルだった一株当たりの価格は2回の株式分割を経てから、現時点で51ドルという水準に収まりました。当時、テスラの時価総額は既に数百億ドルに近かったため、オファリングの規模は時価総額と比べると10%未満でした。

テスラのCEOであるイーロン・マスクは、オファリングで発行された株式の中から1,000万株を自ら購入すると発表し、残りの100万株はテスラの取締役会が購入すると約束しました。そうすることで、市場参加者たちを安心させたのです。


そうすることで、TSLAは暴落を防ぐことができた


結果的に、オファリングを実施したにも関わらず、当時の有償増資の増額という条件が加わってもTSLAの株価は暴落することはまずありませんでした。適度に下がった後、株価は横ばいとなりました。

もちろん、2020年3月からコロナ禍により世界経済が大きく揺れ、株価が半値になってしまいましたが、これはオファリングとは全く関係がありません。

それはそれとして、米国株の市場でよく見かける「絶対にマズイ株」の場合、時価総額の8分の1から2倍、さらには10倍にまで達する規模のオファリングを実施するというはしたない手口が使われます。

少額だったり、現時点の株価とオファリング価格の差がわずかであれば、市場参加者は何とか致命傷をよけきれるかもしれません。しかし、たいていは物量に押し切られてしまいます。

これは、TBLTやPMCBのような一部の銘柄だけの話ではありません。

さあ、今日はここまで!


本日のポイント

  • 一発逆転を狙えるような急騰株や仕手株は確実な上昇材料がない場合、勝つことが難しい

  • ほとんどの急騰株は急騰の直後にオファリングが行われ、株価が暴落しやすい

急騰株は、オファリングにより株価の暴落が起こりやすいことがわかりましたね。


次回予告


急騰直後に企業がオファリングを行う理由
※本記事は連載となります。次回投稿までしばらくお待ちください。※

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