憂鬱な土曜日

猛暑日のクリスマス、暗い朝。
広い四畳半の部屋、静かなアラームで起きる。
いっぱいの腹が鳴って、難しいトーストを食べる。
何もしない多忙な時間が過ぎ、冷静に取り乱す。
外出用のダサい服に着替え、忘れ物ばかりをする。
新品のガラクタを、捨てるように大事に持つ。
エアコンを点けて、開き難いドアを開く
何も運べない電車で、空っぽの体を運ぶ。
輝かない電飾、一人しかいない人混み。
分かりにくい集合場所で、目立たないように待つ。
二人になって、ひとりと思う。
「さよなら」のように「やあ」と言う。
食事の出ないレストランで、通じない会話をする。
新品のガラクタを、隠すように渡す。
笑えない冗談を言う彼女は、好きでもない恋人。
もう会わないように「またね」と言う。

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