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私がネイルをする理由

先日、こんなツイートを見かけた。

大学1年のジェンダー社会学で、「性別は2種類ではなく、一人につきセックス(生物学的違い、性器のあるなし)×ジェンダー(社会性、どんな服を着たいか)×性指向(雌雄どちらを好きになるか)の3要素で違いがあるから、最低でも8種類以上ある」と教わり、小学生で知りたかったなと衝撃だった。

肉体は男性で、恋愛対象は女性。それでも、服に興味を持ち出した頃から、スキンケアに凝ってフェイスパックをしたり、ホームピーリングを始めてみたり、私の美容的な興味・関心の深度は女性のそれだった。好きなようにやればいい、そう思いつつもネイルやメイクはある種「最後の砦」といった抵抗感があった。

ひょんなことからネイルを施してもらい、自分でも買い、砦が崩れきったころに上述のツイートを読んで「私は男性×女性×男性なんだ」と腹落ちしたとき、私の中の何かが弾けた。好きなようにやればいい。きっと私はそのうちに、メイクをするようになるだろう。


最初にネイルをしたのは、ここ1〜2ヶ月の出来事だ。少しばかり酔っ払っているとき、恋人の手元が目に入り「塗ってみたいんだよね」とこぼすと、彼女に「塗ってみる?」と聞かれ、少しだけ考えた後、足だけやってもらうことにした。
服を選ぶように爪の色を選ぶ、そんな行為を好きにならないわけがなく、施された紺色を眺めながらうっとりし、自分でも買ってやってみよう、と心に決めた。


8月最後の土曜日。新宿伊勢丹B2Fでshiroのモスグリーン(7103)とモスブルー(7H01)を買い、何軒かハシゴ酒をしたその夜。

3軒目に立ち寄ったゴールデン街で働く友人の店で、買ったネイルを彼女に見せると「いい色!塗ってみてよ」とそそのかされ、その場で左手を自分で、右手を友人に塗ってもらう。私の手元は、自分の好きな色をまとい、店の照明に照らされ、ほんのり輝いていた。アイキャッチはその時の写真。別の店で飲んでいた友人と合流した時に撮ってくれたものだ。


翌日、夏の終わりにと浴衣を着て、友人と合流し、伊勢丹会館のテラス席でハイボールを飲みながらネイルを塗り直してもらう。
2日続けてゴールデン街へ向かい、また別の友人の店で飲みながら、店内で手元を見せても、顔をしかめる人はひとりもいなかった。美しく、優しい友人たちに感謝を。

以来、ネイルをしていない日の方が多くなった。仕事中にキーボードを叩くとき、息抜きに一服するとき、手元が目に入るだけで少し幸せなのだから、しない理由がないもの。

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