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【フィンランド】同棲ビザ取得への道のり(事実婚・夫婦別姓)

こんにちは、たこがきです。この度、無事にフィンランドの同棲ビザを取得し、息子と一緒にフィンランドへ来ることができました。私とパートナーは籍を入れていないいわゆる夫婦別姓なのですが、このビザ申請手続き全体の所感として、一般的な法律婚をされている方々と比較するとやはり少し手続きが面倒臭かったように思います。今後もしかすると籍を入れていないパートナーシップの方々が、フィンランドに渡られることもあるかもしれないので、簡単ではありますが情報を残しておこうと思います。

0.はじめに

まずはじめに、ビザ取得の上で私が死ぬほど参考にさせていただいた、くにちゃんさんの記事をシェアさせていただきます。法律婚をされている方であれば記事の通り申請を進めていけば特に問題なく取得を目指せるはずです。

くにちゃんさんと私達のビザ取得における状況として異なるポイントは、法律婚をしていない(戸籍が私・息子、パートナーで別々)点と、すでにパートナーがフィンランドで暮らしており、私と息子は日本にいるという点でした。したがって、くにちゃんさんがされていた手続きに加え、下記のような事項が生じました。

同棲ビザ(私)、子供ビザ(息子)を別々に私が日本から申請 
②私とパートナーがそれぞれ独身である証明が必要
③私とパートナーどちらに親権があるのかの証明が必要

上記を踏まえ、順を追って手続きについて説明していきます。

1.Enter Finlandでアカウントと申請フォームを作成

私は同棲ビザ、そして息子は子供ビザを申請したと書きました。そもそもの話ではありますが、フィンランドに3ヶ月以上滞在する場合、在留許可(Residencde Permit)を取得しなければなりません。留学、就学など理由は様々ですが、私(と息子)の場合はパートナー(父親)がフィンランドに留学するため、その家族として帯同するビザをそれぞれ個別で申請しました。在留許可の申請はフィンランドの場合、Enter Finlandというサイトで電子申請ができます。

<私>
First residence permits(初めての在留許可)
→family(家族)
Residence permit for a spouse of a Finnish citizen(フィンランド市民の配偶者における在留許可)
※戸籍上は配偶者ではありませんが、Residence permit for a spouse of a Finnish citizenの箇所には同棲も含まれています。

<息子>
First residence permits(初めての在留許可)
→family(家族)
Residence permit for a child(子供のための在留許可)

The family members of Finnish citizens and of non-EU citizens and comparable persons are: spouses, registered partners, cohabiting partners, children and guardians of a child under 18 years of age.
フィンランド国民、EU圏外の国民およびそれに準ずる者の家族とは、配偶者、登録パートナー、同棲パートナー、子供、18歳未満の子供の保護者です。
Enter Finland

どちらも家族帯同ビザですが、1人につき1フォーム送信する必要があるため、別々にフォームを作成し、個別に申請手続きを進めていきました。

2.提出必要書類を集める

Enter Finlandでアカウントを作成するとわかりますが、在留許可申請の上で、こちらが準備すべき添付書類がいくつか必要になります。

2-1.同棲ビザ(私)の必要書類

・パスポートのコピー
・戸籍謄本
・私とパートナーそれぞれの独身証明書→本籍の自治体に問い合わせ
・2年以上パートナーと同棲した証明→住民票や戸籍の附票でOK
(※)
・残高証明書(Certificate of Balance)
・取引履歴明細証明書(半年分)
(・雇用契約証明書(employment contract)…なくてもいけた)
(・給与明細書(Income Certificate)…なくてもいけた)

パスポートは期限が切れていないか確認して、データで保存しておきました。私の戸籍謄本には、私と息子の戸籍情報のほか、息子の認知の欄にパートナーの名前が表記されており、3人の家族関係を示すために用意しました。

また、2年以上同居していた証明なのですが、一般的には住民票で十分であると思います。ただ私の場合は、パートナーがすでに海外転出届を提出しており、彼の住民票(発行されて3ヶ月以内のもの)を手に入れることが実質不可能な状況でした。その関係で、これまでの住所の遍歴とその登録期間を辿れる戸籍の附票を彼の代理で請求しました。いずれも郵送で請求し、1週間ほどで手に入れられたと思います。

余談ですが、このように第三者(パートナー)の書類を集める上では委任状が必ず必要だったので、データで送ってもらい出力して同封しました。

(※)の書類は、私のフォームと息子のフォームで提出したものと同じものです。雇用契約証明書と給与明細書は会社に、残高証明書と取引履歴明細証明書は銀行にそれぞれ請求します。英訳で申請できるものは英訳で出してもらいましょう!

なお、残高証明に関してですが、提出する上で私と息子が1年間暮らせる預金があることを示す必要がありました。金額は下記のサイトにも目安として記載されており、私と子供の1人の場合は、12,000€+6,000€=18,000€(250万くらい)でした。

ちなみに、雇用契約証明書と給与明細書に関して、私は提出をしていませんでしたが、なぜか言及されませんでした。笑 ですが、サイト上では必要書類の明記されているのでもちろん準備しておいたほうが良いと思います。(私はうっかりしてただけ…笑)Enter Finlandでは、申請フォームを一度送った後であっても、追加で添付データを送ることができます

2-2.子供(息子)の必要書類

・パスポートのコピー
・出生証明書→戸籍謄本でOK
・親権を示す書類→日本には存在しない旨を説明する
(※)
・残高証明書(Certificate of Balance)
・取引履歴明細証明書(半年分)
(・雇用契約証明書(employment contract)…なくてもいけた)
(・給与明細書(Income Certificate)…なくてもいけた)

他の国には出生証明書という公的な書類が存在するようですが、日本にはありません。厳密には、子供を出産した際に提出する出生届の右側のスペースに、お医者さんに書いてもらう出生証明書という欄が存在自体はするものの、今回のビザ申請において意図されている内容のものではありませんでした。結局のところ、子供の両親の情報が記載されていることが重要なので、日本においては戸籍謄本が最も効力があります。

続いて、親権を示す書類とありますが、私達のどちらに親権があるのかを示す書類が必要とのことでした。こちらは結論から言うと、「単独親権」を明記した公的な書類は日本には存在しませんでした。例外として、離婚をしていれば子供の戸籍の欄に親権の記載がある場合もあるそうですが、籍を入れていない私達は該当しませんでした。

そもそもの話にはなりますが、日本において婚姻届を出し、法律婚をした夫婦は、父親と母親の2人が子どもに対して「共同親権」を持っています。しかし、それ以外の場合は、親権者は法律で1人に定めるように決められており、そのため、事実婚のように父親と母親が法律婚をしていない状況においては、父親か母親かどちらか一方しか親権者にはなれません。 ただし、子供の出生時に婚姻届を提出していない場合には、自動的に親権は母親側にあります。

ということで、ないものはしょうがないので、その旨をフォームから説明してみましたが、拍子抜けするくらいあっさりと承認されました。

2-3.その他の書類

・Enter Finland内で求められる家族の絆を示すためのフォーム(PK4_plusなど)※親と子供が同時に在留許可を申請している場合には、子供側のフォームにおいては提出の必要はありません

3.アポスティーユ取得〜翻訳依頼〜フォーム入力・申請

3-1.アポスティーユを取得する

在留許可申請の上で必要となる戸籍謄本などの書類が準備できたら、続いてアポスティーユを取得しましょう。アポスティーユなんやねんという感じなのですが、簡単に言うと「この書類は間違いなく公文書です!」という外務省からのお墨付きのことです。

アポスティーユの取得は、フィンランドに限らず在留許可を申請する上で必要となります。先述の2の箇所で説明した提出必要書類のうち、戸籍謄本など国や自治体から発行してもらうものに関しては、外務省からアポスティーユを取得しなければなりません。

公印確認,アポスティーユは,どちらも日本の官公署,自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明のことです。(…)
「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。 提出先国はハーグ条約締約国のみです。
外務省

なお、このアポスティーユですが、自力で請求することも可能です。方法としては、外務省窓口での請求と郵便での請求のどちらかの方法で取り寄せることができます。私は郵便で請求しましたが、3日くらいでアポスティーユがつけられた戸籍謄本や附票などが返送されてきました。請求方法としては外務省東京本部、もしくは大阪分室宛に記入済の申請書とアポスティーユが必要な書類、そして自分の住所を記入したレターパックプラスを同封して送るだけです。手続きの詳細は以下をご確認ください。

3-2.翻訳会社に書類の英訳を依頼する

「無事にアポスティーユゲットしたで〜〜!!これでOKやで〜〜!!!」と思いますが、ここで少しだいぶ面倒なことが発覚します。

Official Japanese documents, which you want to present to the Finnish authorities, must be translated into English, Finnish or Swedish. If the document is not translated in Finland as described above, the translation must be notarised by a notary public and legalised with an apostille. Some Japanese translation agencies can take care of this process. ​​​​​​Please note that customers' own translations can not accepted.
フィンランドの当局に提出する日本の公文書は、英語、フィンランド語、スウェーデン語のいずれかに翻訳する必要があります。上記のようにフィンランドで翻訳されたものでない場合は、公証人による公証とアポスティーユによる法的認証が必要です。日本の翻訳会社の中には、この作業を代行できるところもあります。お客様ご自身で翻訳されたものはお受けできませんのでご了承ください。
フィンランド大使館

フィンランドの在留許可申請においては、提出書類がフィンランド語かスウェーデン語、もしくは英語で翻訳されている必要があるので、日本語の書類のまま提出することができません。つまり、自治体で発行してもらう戸籍謄本などは基本的に日本語でしか出してもらえないため、翻訳を外部に依頼し、なおかつその書類に対して法的な認証を取得する必要があるのです。

参考までに、私はマリアンヌ翻訳様に依頼しました。

依頼会社を選ぶ上で注目したポイントとしては、

  • 費用

  • レスポンスが早い

  • 翻訳だけでなく翻訳後のアポスティーユの取得まで依頼できる

「あれ?アポスティーユて、さっき自力で取ってなかったっけ?」と思った方、そうなんですよ。我々は再びアポスティーユ取得せないかんのです。つまり、フィンランドに提出するアポスティーユは文書1部に対し2部必要ということになります。どういうことかというと、たとえば戸籍謄本を1部提出したい場合、戸籍謄本原本(日本語)にまずアポスティーユが必要で、さらにそこから翻訳された戸籍謄本(英語)にもアポスティーユが必要なのです。

なお、前者の戸籍謄本原本(日本語)のアポスティーユ取得は、先程も説明しましたがそこまで面倒ではありません。もちろん代行してくれる会社はありますが、やればだれでもできるので、経費削減のために自分でやっちゃったほうがいいです。

しかしながら、後者の翻訳された戸籍謄本(英語)に関してアポスティーユを取得するのは話が別で、手続きが増えるのでちょっと面倒なのです。なぜ手続きが増えるかと言うと、翻訳された公文書は私文書に該当するからです。(私文書てなんやねん案件ですが、公文書じゃない文書、つまり役所で作られた文書以外を指します。)

私文書のアポスティーユ取得には、公証役場で公証人認証を取得後、法務省で押印証明を取得し、そこから外務省でアポスティーユを取得するという手続きが必要になります。東京、神奈川、大阪の公証役場ではこの流れを一連で行ってくれるそうですが、私の場合小さい子供がおり、そこまでの時間をとるのは難しそう、面倒くさいという理由で翻訳会社にまるっとお願いしました。(大正解だったと思います)

私は合計5部(戸籍謄本1部、戸籍の附票2部、独身証明書2部)の翻訳とアポスティーユ取得をお願いしましたが、合計で3.5万円くらいでした。他の会社の見積もりだと10万円近いものもあったので、だいぶお安くやっていただけました。さらにレスポンスも早く、ストレスのないやりとりができました。最終的に、処理済みの書類が全部返送されるまで10日もかからなかったと記憶しています。迅速に対応していただき本当にありがたかったです。

3-3.書類をデータ化してEnter Finlandに添付→申請

翻訳+アポスティーユ取得済みの書類が取得できたら、その原本は大事に持っておき、スキャンしてデータ化してからEnter Finlandで送ります。最後にフォームの記載内容に誤りがないかを確認し、申請フォームを送りましょう!ここまできたらあともう一息です!!!

4.フィンランド大使館に突撃しよう

フィンランド大使館の中。サウナ!🧖

4-1.アポイントを取りましょう

Enter Finlandで書類申請が終わり次第、本人確認のためにフィンランド大使館に行く準備をしましょう。私は、フィンランド大使館宛に日時をいくつかピックアップしてメールを送り、私と息子の本人確認のアポイントを取りました。注意する点としては、子供がどれだけ小さくても、例外なくフィンランド大使館に直接行かねばならないということです。

メールをした2週間後くらいにアポイントがとれたので、急いで東京行きのチケットを取りました。余談過ぎますが、幼子との遠出は怖かったのと、当日遅れるのが嫌だったので、母親に同行してもらい、前泊して大使館に向かうことにしました。

4-2.どきどきの本人確認

持ち物
・パスポート(私、息子)
・アポスティーユ付きの書類原本 ※ホッチキス外さないように!
・在留許可用の写真(私、息子)
出典:うろ覚えの私の頭の中

息子を抱っこ紐で抱え、息切れをしながらフィンランド大使館に着きました。(駅から歩いて大使館へ向かう方はベビーカーで向かうことをおすすめします。)門のインターホンを押して「○時からの本人確認で来ました。たこがきと息子です。」と言うと門を開けてもらえました。簡単な書類の記入と在留許可用の写真の貼り付け、在留許可郵送用のレターパックに名前を記入して待ちました。

ムーミンの席です。

ちなみに、私は義務教育は受けていますが、流暢な英語は話せません。当日は、クールなおじいちゃんフィンランド人(?)が対応してくれましたが、私のつたない英語を聞いたからか、簡単な英語でゆっくりと質問してくれました。また、途中息子がぐずったのですが、回答を急ぐことなく待ってくれたように思います。質問は難しいものはなく、基本的には書類に関して不備がないかをチェックしてくれていました。確認が終わり次第、私の指紋両指10本分とりました。(息子の指紋は取りませんでした。)

5.ひたすら結果を待つ

もうここまでくればあとは待つだけです。Enter Finlandにログインすると申請フォームの処理に関して経過を確認することができます。追加情報を求められることもあるので、毎日チェックするようにしましょう。(私は少し見逃していた……!笑)

申請フォームを3月末に提出し、4月頭に本人確認に大使館に行ってから、6月半ばに許可が下りたと記憶しています。そこから2週間程度で在留許可証が郵送されてきました。

6.まとめ

初めての在留許可の申請は、生後間もない乳飲み子の世話をしながら行うには少しヘビーな内容でした。ただ、家族で一緒にいるために必要な手続きとなりますので、必ず終わりはあるということで、めげそうになりながらもなんとかできました。

今思い返すと、なんだかんだ面倒くさかったのは、自分に合う翻訳会社をたくさん調べたことや、戸籍謄本やアポスティーユなどの書類を請求したり、はたまたそういった書類をまた返送してもらうための手はずを整えたりと、紙ものをいちいちいろんなところに請求したことだったように思えます。今後在留許可の申請をする予定のある方は、とりあえず家族メンバーの本籍と住民票の住所を合わせておくのがいいのではと思います。

ここまで見てくださった方、本当にありがとうございます。この記事が誰かの一助となればこの上なくうれしいです。

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