【体験録】二度と金に振り回されないように -2月編/03-
ところでこの投稿は初日から欠かさず毎日、一件ないし二件行っている。最初からここまで読んでくださっておられるかたは、五人といれば良い方だとは思ってはいるがありがたいことである。ありがとうございます。生活保護を抜けたらお祝いにサポートをくれると嬉しいです。
テヘッ☆彡
さて、最初からお読みいただいている方ならそろそろ疑問に思われると思う。
「お前さん、生保の話が続いてるけど自己破産はどうなった?」
OK,OK.
忘れたわけじゃないさ。ただその、少しばかり違うのだよ。スピード感というやつが。
一月で弁護士と話せたのは最初の相談のときと、そのあと事務所に自転車で訪問したきり。一度電話をしたこともあるが、あとはメールのやり取りだ。
というのも自己破産については、これは私の場合の話だが弁護士と私だけのやり取りではない。もう『一つ大きな機関』とも契約を結び、自己破産の手続きを行う。そして裁判になる。
まったく驚きだが、こんなに個人的な話なのに自己破産は『事件』なのだ。既に知っている方からすれば当たり前の常識なのかもしれないが、知的好奇心こそあれど一度も裁判だの訴訟だのといった経験もないし、法的、公的な支援やサポートの内容を知らないとこんなもんなのである。
事件かあ……。そうだな、私にとってもある意味人生の転機であるし、欲を張らず普通の生活を送っていれば経験はしないものだろう。ユニークな経験をさせてもらっているものだ。これを書いている二月十八日現在、なおも進行中である。
さて、その『もう一つの大きな機関』については後日改めるとしよう。なんだかこうして後に改めることを増やしている気がするが大丈夫だろうか? 大丈夫だ、問題ない。
ちなみにこの『大きな機関』だが、別に伏せなければならないのではなく、改めてまとめる際に書こうと思う。
弁護士事務所に行って進めたのはもちろん、こちらの記事に書いた通りなのだが、それで話が終わるわけでもない。生活保護もそうだが、自己破産も同様に一日二日程度でポンと進むわけはないのである。
「次は申請が受理されるか否かの通知が来てからになります」
片づけを進める私に弁護士は言った。ここで書いた申請書を郵送するのか。それともスキャンして電子化したものを送るのか。どちらにしてもまだ時間が必要そうな気はした。
「そこでですが、今度はもう支払いの期限が来ても無視してください。催促が来ても応じなくて結構です」
さも当たり前という顔をして弁護士は言った。
私は驚嘆した。これから借入のある五社に対して、自己破産することを電話で連絡しなければならないと思っていたところだった。無視一貫しろと。
「いいんですか?」
主語のない問いだが弁護士は大きく頷いた。
「ええ。この後は通知が来て動きが決まり次第、もちろん応じる流れになったときですが、借入のある五社に対してこちらから連絡をします。自己破産するという連絡です」
この初めての経験の中で私はどのような身の振り方をすればいいのか分からなかった。すみません、と前置きして確認する。
「自己破産手続きを進めて良い、という通知が来たときに?」
「はい」
「弁護士か、その『大きな機関』が五社に連絡を入れ?」
「はい」
「私は一切何もせず?」
「そうですね」
そんなことになるなんて思いもしなかった。目を丸くする私に弁護士は言葉を付け足した。
「今回書いてもらった申請書や口座の残高で『大きな機関』にお送りは出来るのですが、まあ順番待ちというか処理待ちの時間が必要です。本件は今のところ、ややこしい部分もないのでそこまで長引くことはないかと」
結論を言えば、私の場合は『大きな機関』が申請書を受理して本件に当たってくれると返答が来たと弁護士から連絡を受けたのが二月の十四日。この申請を書いて弁護士に提出したのは一月の二十五日。日数にして二十日程度だろうか。この期間、何もしなかったわけではないが、真新しく動きがあったわけでもない。
強いて言えば過去二か月間の取引履歴を取得するためにパソコンのキーボードを叩いていたくらいだ。
この二十日間が安寧とした日々だったなどと振り返ることが出来るほど、私は気長でも穏やかでもなければ楽観主義でもないし自己中でもなかった。
朝。昼。夕。夜。
入れ替わり立ち代わり、私のスマートフォンは着信を訴えた。バッテリーの減り方が異常である。もちろん紙面でも返済を求める通知がやってくる。それでも気が狂いはしなかったが、人によってはこれで発狂するのではなかろうか。
常時マナーモードにすることと、電話番号を調べて発信元を選び電話帳に登録することを対策としたが、私もなかなか限界だった。たまらず弁護士にメールする。
「着信が多くて参ってしまいそうです。この状況はいつまで続くのでしょうか」
協会に懺悔する貧民の気分だ。対して弁護士の返答はいつも穏やかで丁寧だ。
「もう間もなくかと思います、そこまで長引かないですよ。あまりにもしつこいようでしたら、私の名前と事務所とその住所をお伝えして頂いて結構です」
この返信を頂いてから私は遠慮なく使わせていただいた。そして実際、着信はそれで落ち着いた。困ったときは助けてもらうに限る。耐えるにしても限界はやはり来るのだ。
五社のうち、連絡を取ろうとしてきたのは三社。文字通り三者三様というのか、ここは三社三様でいいのか。一日に三回、キッチリかけてくるところもあれば、一日一回だけだが連日違う時間にかけてくるなどある。
金そのものに罪はないが、私は今後より金の出入りに対し厳しくならざるを得ないだろう。特に出ていくものについては。
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