1000円もらった話

タイトルだけ見ると意味わからんが、これから書く話はまさに、1000円もらった話なのだ。心して聴いてくれ。

僕はとある秋葉原のバーで働いている。カラオケやダーツが併設されていて、いわゆるお酒を楽しむバーではなく、飲みながらわいわいする感じの店だ。僕が少しだけ歌を歌うのが得意なことを知ってる社員さんは、カラオケしたそうなお客さんに僕の事を「秘密兵器」として送り込む。

「こいつめっちゃ歌上手いですよ」

的な感じで。最初のうちは恥ずかしくて謙遜していたがなにも良い事はなかったので僕も

「ちょっとだけですけどね」

というようにしている。今回は4人の女性客。歳は僕より少し上くらい。基本的に女性客は年齢がどれくらいであろうともお姉さんと呼ぶことにしている。50超えててもたぶんお姉さんと呼ぶだろう。まだそんな機会は来ていないけど。お姉さん達は来店した時点でほろよいで良い感じになっていた。歌ったのはとりあえずってことで先輩でもあるKing Gnuの「白日」。原キーで頑張って歌った。もちろん歌詞覚えてる所はお姉さん達の目を見ながら歌う。誰から強制されたわけじゃないけどそうした方が良い気がしていつもそうしてる。ノリノリでお姉さんたちも体揺らして歌っていた。めっちゃ拍手してくれた。うわーー!!!やば!!!!みたいなそんな感じ。それから大学の話をした。入試の話とか。お姉さん方の一人がこういった

「もっと良いところで働けるでしょ」と。言いながら社員さんと目が合いかけて逸らしてた。ちょっとかわいかった。「お姉さん達に会えたんでここで働けて良かったと思います」ちょっと恥ずかしい台詞が出た。酔ってないと言えないね。書いてて赤面してる。

そしてもう一曲歌った。藤沢ノリマサさんのビンチェロという曲。ポップオペラというジャンルの曲で、一曲の中でオペラのような声楽の発声とポップスの発声両方つかいながら歌う曲だ。聞き覚えのあるメロディでお客さんも大盛り上がり。ありがたい。人前で歌うことってやっぱり楽しい。ひとしきり喋ってお姉さん方四人組は帰っていった。帰り際会計とか済ませてるとき一人のお姉さまが話しかけてきた。今日はありがとうございましたとかそういう会話の後「いくらくらいもらってるの?」みたいな会話に。「○○円ですね、だいたい」と答えて本当はもっと欲しいんですけどねってニヤッと笑って言ったら「そうよね!もっと欲しいわよね!」と手に持っていた1000円をこっそりと僕に握らせてくれた。色んな意味で初めての投げ銭かもしれない。ファンボックスの支援や欲しい物リストからの贈り物とも違う感動があった。家に帰って大事に財布に入れた。ネットでの活動ももちろん素晴らしいし有意義だと思う。でもリアルでこうして活動していくこともとっても大事なことだよねって思った日だった。そのお金でビッグマック食べた。いつもより美味しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?