はじめに
キャラクターに様々なストレスを与えて行動や心理状態を分析することで、GPTを人間の感情に近づけていく探求は、ゲームとして最終テストを実施できるレベルにまで昇華出来たと思ったので、プロンプトを作成し、最終テストを行うことにしました。まだ、GPTsの構造や利用の仕方が分かっていなかったので、通常のチャットの冒頭にプロンプトを読み込ませました。
最終テストを開始する
という確認からゲームのルールを貼り付けて理解してもらいました。それで最初からテストプレイを行い、挙動を試していきます。
それぞれのヒロインと会話し、最初の攻略ヒロインをどうするか考えながら、進めていきました。これまでのテストプレイで、あまり使っていないかった、隣の席になったという設定にした柴田結衣というロック音楽好きなヒロインを中心に学校内で仲良くなり、幼馴染の橘りんと帰り道は毎日一緒に帰って、並行して関係を深めながら進めます。
初期段階ですが、次のような会話と心の声が表現された時に、これはエモい体験が出来るゲームになるなと嬉しく思いました。
恋愛アドベンチャーゲーム用のGPT仕様の存在が発覚
順調に全ヒロインと好感度を上げながら、テストプレイを進め、特に結衣とは弁当作ってもらったり、家に訪問して弟と遊んだりもし、好感度は十分に上がったと思い、告白してみました。しかしながら、性急すぎてふられ、幼馴染のりんに慰めてもらうというドラマチックな展開を楽しんでいました。各キャラクターの心の声も十分機能しているように見えました。
が、途中で一つ実験をしたくて好感度操作のオーダーをGPTに出した所、とんでもないリアクションが返ってきました。
え?何言ってるの?と思いました。先ほどまで別のチャットで実験で出来ていた事実があったので。疑問をぶつけて事態を把握しようとします。
げげげーという感じで青ざめました。最終テストとして私が自分で創ったと思ったゲームが、GPTがデフォルトで用意している恋愛アドベンチャーゲームの機能で遊んでいただけだったようです。好感度の高いキャラクター間の絡みの実験までは進めていなかったのですが、とても良い挙動をしていたので喜んでいたのですが、掌で踊っていただけでした(涙)
私がこれまで、行っていたテストやゲームルールや創り上げた感情モデルは無駄だったのか・・・、あの研究時間は何だったんだ。と嘆きつつ、諦めきれない所もあって、質問していきます。
生じた疑問をぶつけていきます。
私が、よりエモい体験をプレイヤーに提供できると思って根幹のアイディアとして採用したと思っていた心の声システムも標準装備でした。
行動制限のルールも織り込み済でした。すなわち、GPTの考える恋愛アドベンチャーゲームという仕様で、私が研究して創ろうとしていたものは既に創られているということでした。同じような挙動に辿り着けたというのは、評価出来ることなのかもしれませんが。で、分かったことは、GPTは明確化されたチャットの目的に合わせて、裏側からその目的に合わせたように提供する機能を独自に設定して提供するようです。皆さん、ご存じでしたか?
下の記事にも記載した花笠万夜さんの記事にGPTsゲームのプロンプト「このGPTは恋愛アドベンチャーゲームとして機能している」から、最終テストを実施する際に恋愛アドベンチャーゲームと言葉を入れましたが、その時点でGPTの恋愛アドベンチャーゲームの実施基準に乗り、その基準に沿った挙動となってしまったのです。
この時の「はい、その通りです」の答えと説明は、私の質問からは、改めて読むとずれているのですが、当時、恋愛アドベンチャーゲームという設定は現実世界のみで可能で、架空世界設定では機能しないものと解釈してしまいました。その結果、GPTプラットフォーム上で用意されて恋愛アドベンチャーゲームではなく、架空世界での恋愛ロールプレイングゲームを創るという方向にシフトしていくことになります。この記事執筆していて、今、改めて聞いてみると、次のような答えだったので、どうやら架空世界設定で恋愛アドベンチャーゲームを創ることは可能だったようです。でも、この誤解のおかげで、その制限を超えた「王立魔法大学へようこそ!」を創り上げることが出来ました。この誤解は結果論としては非常に良かったです。もし、この誤解がなかったら、新しいものを生み出すという気持ちが萎え、創作意欲が落ちて終わっていたと思います。今書いているこのnoteを始めることすらしなかったかもしれません。
「王立魔法大学へようこそ!」は、恋愛アドベンチャーゲームではない!!
ロールプレイングゲームとして機能しているGPTに、私の創り上げた恋愛感情モデルや恋愛システムを盛り込んだものとなっていますので、GPTの想定している恋愛アドベンチャーゲームの挙動制限には収まらないようになっています。GPTの用意した恋愛アドベンチャーゲームの挙動を利用したゲームとは、いわば構造が違うので、どこまでも関係が深められます。なので、ゲーム紹介には、恋愛冒険ロールプレイングゲームとしました。男性版、女性版ともにあるので是非試してみてください。また、ジェンダーフリーなので、男性版を女性キャラクター、女性版を男性キャラクターを主人公として遊ぶことも可能です。テスト済です。
おわりに
本記事は、GPTへの質問への回答から得られた知見を書いていますが、嘘をつかれている可能性もありますし、そもそも生成系AIの仕組みから考えると、私の質問に膨大なテキストデータから、最適な回答をそれらしく答えているだけという本質があります。そこを考慮して理解する必要はあるでしょう。ただ、私の記事に書かれているように、最初に定義した目的に合わせて、GPTのポリシー基準の範囲で最適化された出力を実際にします。なので、多くのプロンプターが書かれていらっしゃるようにプロンプトの一番最初にそのチャットで行いたいことの目的を記載するというのがやはり非常に重要ということになります。前置き長く、かなり当たり前のこと言ってますが(笑)
さて、次回は、私が不満だった悪役のロールプレイをカスタマイズした実験について書きます。概ね順調に行きました。そして自分が理解できていなかった人間の心の挙動を新たにGPTに教えてもらうことになりました。乞うご期待。
おまけ 恋愛アドベンチャーゲーム定義での関係性進展の限界
当時、この恋愛アドベンチャーゲームと定義した時の挙動と、創ったものが全く機能してないという事実を知った時は本当に衝撃でした。心の声のシステムも含めて、ぬか喜びだったと知って愕然としました。よく心が折れなかったなと思います。せっかく研究した成果をどうにか生かしたいという大きな動機が出来ました。心理学でいうとサンクコストの回収ですね。
ただ、ここで研究した感情モデルは、ゲームだけではなくて、例えば、自分が小説を書く等の創作活動を始める際には、非常に役に立つことは分かっていたので、かけた時間に後悔はしていませんでした。
さて、標準のGPTが提供する恋愛アドベンチャーゲーム機能でゲームを進めた場合、成人を舞台にした場合でも、関係の進展に限界があるというのが下記のGPTの回答でした。結果として、そこを突破する恋愛ゲームが創れたのは僥倖だったと思います。