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#00 令和最大の「少女漫画」消えた初恋

この漫画がBLというジャンルと呼ばれなくなる日は来るんだろうか。
そうなって欲しい。
そして、これは令和を代表して賞を取るべきなと思うほど秀逸な「少女漫画」である事を語っていきたい。

そもそも「少女漫画」の定義ってなんだろうか?
男女が恋愛する物を少女漫画と呼ぶべきなのか。
いや、そうじゃないはずだ、
昭和時代から少女漫画は度々BLというジャンルと呼ばれに同性同士の恋愛を扱ってるのだ。
とすれば、「恋」の物語が1番近い認識なのかもしれない。
「人」が「人」に恋をして、相手がいて、学んで成長して、お互いが存在を支え合う、その姿に憧れそして応援されるのが王道な少女漫画なんじゃないのか。
逆に言えば少年漫画に憧れる少女が居たっていいし
ワンピースのルフィになりたい子がいても、銀魂の銀さんみたいにやる時はやるカッコ悪い人間像に憧れても忍者に憧れてもいい。
人に惹かれるのが女性性の強い少女漫画なら
強さを求めるのが男性性の強い漫画なのかもしれない。

ならばこの「消えた初恋」はBLなのだろうか、
否、これは順々たる恋愛漫画なんじゃないだろうか。
そして、これは作者とマーガレットの意図された時代への挑戦なのではないか。


もう少し、この漫画の凄さを語らせてもらいたい。

この令和時代、そしてマーガレットを読むであろう若者にとってLBTQは上の世代よりずっと身近な話題なはずだ。ネットで見かける話題性、BLの流行、YouTubeやTikTokでそんな同性愛やQの存在を目にする率が圧倒的に多いからだ。
かといって偏見がない世代な訳じゃない。
受け入れたり、それを楽しむ人もいれば
やはり嫌悪感や馬鹿にする風潮も残ってる。
その空気感の中間を狙った丁度良さが
この漫画の凄さなのだ。

そう「消えた初恋」は男性同士の恋愛を当たり前のように扱う、時代の先を行き過ぎない内容であり、
かと言って偏見だけではなくこの世代の子達なり理解の広さと爽やかさを残しながら、葛藤の描き方が凄く心地よいバランスで描かれている。
尚且つ、主人公の周りの人間みな「恋は恋」として扱い「性別」ではなく「人」と「人」という認識を持ってるのだ。

実際、同性に恋をした主人公に向けて
「全然変じゃないよ。すっごい分かるよ。私も優しいなって思って好きになったしさり気ないフォローにキュンとしたりするよね!本当に分かるよ。だって同じ気持ち(同じ好きな人)だもん、ちっとも変じゃないよ」
と「人と人」を主軸にした台詞や
主人公の「引いたり驚いたりするのが普通の反応だろ」に対して
「じゃぁ、その普通が間違ってるだろ」
と返事を返すような、「ただ相手に恋をすること」が詰まってる。
この漫画を見た今現在マイノリティとして扱われてる人で救われた人もいるんじゃなかな。

なにより、私は登場人物のこの2人に性別という壁が無くなって欲しいし、生涯を添い遂げると決めた時に同性同士ってだけの障害が無くなればいいと思う。
そうなってほしい。
そうでなくてはいけない。
そしていつか、この作品が同性愛というだけで「BL」というジャンルにくぐられ無くなればいいし、
テーマの扱い方が変わればいいなと願ってやまない。

この漫画は新しい恋愛像を時代に沿って
恋愛漫画として問題提起のように、いや問題を取り込んで、新しい価値観を生み出そうとしてる。
マーガレットと作者の挑戦なんじゃないだろうか。

そう、消えた初恋は時代に合わせた
「ただ人が人に恋をする」「令和最大の少女漫画」であると、改めて声を上げて言いたかった
今日この頃の話。

是非読んで見てね☺️

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