コンビニ人間
コンビニ人間/村田沙耶香
第155回芥川賞受賞作
🌾拙い文章ですがネタバレになるかもしれません。
冒頭からコンビニで聞こえるたくさんの『音』の表現が出てきます。私もコンビニでのバイト経験はありますし、今でもほぼ毎日立ち寄るほどコンビニは日常生活の中にかなり当たり前に存在しています。だからこそ、そこに存在する『音』をそこまで意識したことはありませんでした。
主人公はそのコンビニという空間で聞こえる『音』にとても敏感です。初めは、コンビニのプロなのかな?と思っていましたが、その後出てくる彼女の喋り方でこの物語の違和感に気付きます。
読み終わった感想としては、面白い&怖い
まず、私が感情移入した先は主人公ではなく、主人公を取り巻く周りの人々でした。きっと世の中の多くの人が私と同じだと思います。だからこそ面白いとも思えたし怖いとも思えました。
白羽という男は『普通』を毛嫌いしながらも誰よりも『普通』に拘る人間らしさが見えます。しかし主人公にはそれが全くなく、最初から最期まで無機質なままでした。ただ、終盤に彼女が泣き出しそうになる、というシーンがあります。そこにほっとした私もまた、「普通」に拘っているのだろうなと。
いままで私が高校まで卒業したのも、就職したのも、異性と交際してきたのも、『普通』そうだから。
その世間の普通と自分の普通との違いに苦しんでる人は世の中にたくさんいるのかなと。
とにかく物語のテンポの良さと登場人物のキャラの濃さが本当に良くて、いつか映像化される時が楽しみだと思いました。
この小説の最後に収録されている解説もなかなか面白かったです。
うたこは昔から読書感想文が苦手。