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幸せな瞬間


中学生の息子と、初めての整形外科に行った。
膝が痛いということで、1度診てもらうことに。
息子とふたりで出かけることもほとんどないので、近所の病院へ歩いていくことにした。

人気の病院なので、何時間も待つことに。
私はせっかくなので、ずっと気になっていた本を、電子書籍で購入して読むことにした。
その本は驚くほど素晴らしいことが書かれていて、夢中で読み続けた。

ひすいこたろうさんの
今日誰のために生きる?

という本だ。
驚くような発想のお話を読んだ後、日常の幸せに本当に感謝だなぁと、時折目の前の綺麗な緑の畑を眺めていた。

3時間近く経って、ようやく呼ばれ、レントゲンを撮って、診断結果は外人の名前みたいな病名だった。
ストレッチしたりすれば治る軽いものだ。

それにも安心して、息子がストレッチの指導を受けている頃にはもう5時をすぎていた。

かなり時間を使ったけど、本が読めて、心がさらに洗われてよかったなとぼーっと考えていると、目の前に3歳くらいの男の子と、5歳くらいの女の子を連れたお母さんの3人がいた。

突然男の子が立って、両手でお母さんの手をぎゅっと握り、いきなり

『ねえ、踊ろうよ』と言った。

ちっちゃい子なので、場をわきまえるとか、空気を読むなんて思いつきもしないし、大声で言ったわけでもなく、本当に純粋に思ったことを伝えただけ。

もしあなたが子供に言われたらなんと返すだろう?

私なら、
いや、ちょっと今はやめなさい、また後でね、シーツ!
とか言っただろうな。

でもそのお母さんは、迷わず
『いいよー』といった。

そして立ち上がって、その息子さんが、小さな声で囁いて歌うのに合わせて一緒に小さく踊り出した。

周りの空気が一気に変わった。

みんながとても嬉しそうにそれを見ている。
誰一人として嫌な顔や、迷惑そうな顔をしていない。
みんなニコニコしていた。
幸せな空気に包まれた。

そしてお母さんも恥ずかしがることなく、子供の手を握り楽しそうにみんなの前で踊ったのだ。
両手を繋いで向いあって回ったりしていた。

涙が出そうになった。
なんとも言えない気持ちになった。

とても素晴らしい親子だなあと、みんなを温かい気持ちにさせてくれて、私もとても嬉しい気持ちにさせてくれて、感謝したいくらいだった。

日本人は、特に周りや世間体を気にしてしまう傾向がある。
もちろん私も。

人前で歌ったり踊ったりはなるべく避けてきた。
もちろん歌う時のライブは別だが、何気ない日常の中の話。

そのお母さんは、楽しそうだった。
ずーっと小さい子を連れて待っているのに、疲れた顔をしていなかった。
なんだかそれがとても嬉しかった。

あぁ、そんな素敵な母になるべきだよなとおもった。

帰り道、中一の息子と2人で久しぶりに並んで歩くのがなんだか久しぶりで嬉しかった。

つくしを見つけてめちゃテンションが上がったり、景色を綺麗ね、といったりしながら帰ったなんでもない時間が、凄く幸せだなぁと思えたのだ。

あの本読んだ方がいいですよ(*^^*)

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