ウェルニッケ脳症

「ウェルニッケ脳症」。
私の置かれている環境では遭遇することは少ない、ほぼない。しかし、少し前にこの疾患に罹患した患者と出会った。

疾患の特徴としては、アルコール依存症で発症し、最近の記憶が損なわれ、運動障害も併発するといわれている。眼球運動障害、小脳機能障害の影響で歩幅は狭く、歩行は緩慢、見当識障害、不注意が強くなるともいわれている。

この患者も上記の症状が出現していた。

疾患の症状が理解できていないと、視野が狭い中での看護しかできなくなることを改めて学んだ。

発する言葉は、前後の話では関係ない言葉、脈絡のない言葉が多い。言いたいことが言えないと頭を抱えることもある。理解力が乏しい傾向にはあるが、必死に言ようとしている。

ある日、「動いたらあかん。じっとおらなあかん。」と行動を制止続ける看護師から解放されると、大きなため息をつく。その患者さんの言葉を代弁して、私が言葉でその患者に伝えた。「そうじゃ」と言い、涙目になった。

分かっているのだ。

申し訳ないなあと思った。今の私には、なにもできなかった。

しかし、その人は笑顔がいいのが強み。時折、歯を見せて微笑む。微笑むことができることは、この環境は極悪ではない証なのではないかと思われる。

この患者さんへの看護は手探りであったけれども、この経験をまとめておこう。
患者さんから学ぶことが多い。

看護の難しさ、苦しさ、反省も次に生かさないと、意味がない。

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