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【方言シリーズ】私は見た!「あーね」が流行る瞬間を(てか何弁?)

JRの快速電車は学校帰りの高校生や大学生らしき若者で混雑していた。

乗客の多くは、すっかり定着した携帯電話でメールとやらをチェックしながらおしゃべりに興じている。

私は本部で行なわれる会議に出るため週に1回、片道50分ほど電車通勤しなければならなかった。

この日は早めに会議が終わり、支部に戻るため電車に乗ったところ若者が多い時間帯と重なったのである。

同じような時間帯に乗ることは珍しくはない。空席は僅かにあったが、いつものようにつり革を持って立つことにした。

私は電車やバスに乗ったときは車窓を楽しむようにしている。流れる風景を見ていると、車内の話し声が自然と耳に入ってくる。

普段は何を話しているかまでハッキリと聞きとれないはずが、なぜか妙に耳障りな言葉が気になった。

「あーね」

しかも一人や二人ではない。会話する若者たちが次々とその言葉を発しているではないか。

「あーね」
「あーねっ」
「あーね!」

「あれね」でも「あーーーね」でもない

同じような長さで

「あーね」なのだ。

私は不思議な現象に違和感を覚え「なんじゃこれ?」「何言ってんだこいつら?」と内心でぼやいた。

先週も電車通勤してやはり若者もいる車両に乗ったが、このようなことはなかったはずだ。

気になったので、同じく週に1回電車通勤している隣のエリアの支部の同僚に確認した。

「最近、電車で『あーね』ってよく耳にせん?」

「するする!なんあれ?」

彼は即答した。やはり「あーね」が気になっていたのだ。

「あーね」は何弁?

「あーね」との衝撃的な遭遇についてショートショート風に書いてみました。いかがでしたか。

私は当時、40歳頃だったので、20年以上前のエピソードです。

「あーね」は「なるほどね」の意味で相づちのように使われることは想像できますが、どこが発祥なのでしょう。

2022年12月放送のローカルテレビ番組『地元検証バラエティ 福岡くん。』(FBS福岡放送)によると「あーね」は博多弁とのこと。

ただし「全滅危惧博多弁」なのだそうです。

Xでも多くの視聴者が「あーね 博多弁なの?」、「今日福岡くん。でさ『あーね』が博多弁て始めて知ったw」とつぶやいていました。

一説によると「あーね」は1990年代後半に福岡の若者の間で話され、やがて他県に広がったといいます。

WEB国語教室:ことば・日本語『おくにことばの底力!「第9回 福岡の方言から 「あーね」 ――福岡から広がった若者ことば」』

そうなると、およそ20年前に私が通勤電車で目撃した現象は「あーね」が広がり始める過程だったということになります。

流行の初期は爆発的に拡散するのだと感じました。

ちかっぱも全滅危惧博多弁

テレビの占い番組で男性占い師が「ちかっぱ」を使い、福岡で放送されいてるマンションのCMでは壇蜜が「ちかっぱ」と話しています。

私は福岡県在住で、博多で仕事をしていたこともあります。しかし「ちかっぱ」を使う人に会ったことがありません。

『福岡くん。』によると「全滅危惧博多弁」で5位らしいですよ。「あーね」よりも使われていないことになりますね。


久々の【方言シリーズ】最後までお読みいただきありがとうございました。何かの話のタネになれば幸いです。

#方言 #あーね #ちかっぱ #博多弁 #福岡くん


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