メンタル最強は誰!?【柏木由紀卒業記念】ショートショート風
私は新橋で収録の仕事を終えてから、約束のお店に駆けつけた。
「こんばんは~、お久しぶりです~」
どうぞっ、奥の「さりしの間」でお待ちですよ。
顔なじみの女将さんに案内されて、和風だけどポップな雰囲気の通路を抜けると彼女と目が合った。
二人は掘りごたつのテーブルに向かい合って座った。
「17年間、おつかれさま~」
「ありがとう~」
カンパーイ!
ジョッキが心地よい音を響かせた。
指「お互いチームBからよく頑張ったよね」
柏「私の方が1年先輩だけどね」
指「なに細かいこといってんの。火山と地獄があるとこから、はるばる福岡までモーニング娘。をおっかけた仲じゃん」
柏「だよね~。んでさ、この間、石川梨華さんとサプライズで対談しちゃった」
指「マジ!すげー羨ましいんだけど」
お待たせしました~。
美味しそうな焼き鳥盛り合わせとポテトサラダが運ばれてきた。
柏「でもさ、なんで指の方が先に売れたんだろ?」
指「いやいやいや。はじめの頃は柏の方が人気あったじゃん」
柏「そっかな~」
指「山ちゃんがまだアイドル大好き芸人で売り出していた頃とか。柏はいつも同じジャージ着て、料理が超苦手っていうキャラでさ」
柏「そうそう。って、全然褒めてないですからー!ざんねん!!」
指「私はやっぱり、初めての冠番組で土田(晃之)さんに鍛えられたのが大きいかな」
柏「だよね。指はあれからお昼の番組でタモリさんと共演したり、福田雄一監督に気に入られたりしたもんね」
指「ちょうどあの頃、センテンススプリングにスクープされたんだよね~」
柏「今思えば、あれがなかったらここまで売れたのかな…」
指「うーん、わからないけど、あれをバネにして必死こいて頑張ったのはたしかだね」
柏「バネにして…スプリングだけに(笑)」
指「笑えねぇ」
柏「私のときも、派手にやった方がよかったのかなぁ。角刈りぐらいしてさ」
すみませーん!軟骨の唐揚げくださーい。あとポテサラおかわり。
はいよー!軟骨とポテサラね!
柏「ポテサラ好きだよね…。指は代表曲があるからいいよ」
指「なに、急に真面目な顔をして。代表曲って『それでも好きだよ』のこと」
柏「またまたぁ~。おにぎりダンスに決まってるじゃん」
指「あれは本家の楽曲だから。まあ一番有名だけどね。私は『メロンジュース』とかの方が好きかも。あ、これオフレコね」
柏「私なんかさぁ、結局、17年間活動して卒業曲でやっと単独センターだから」
指「でも、私好きだよ、柏のソロ曲。桜島とかいちごケーキとか」
柏「火山灰とショートケーキね。いちいちいじらないでいいから」
指「ごめんごめん。でもさすがだよね。そのツッコミ。若手に見倣ってほしいわ」
柏「バラエティーの女王に、そこまで言われると照れちゃうなぁ」
指「でも、マジでファンサが評判で“握手会の女王”とか“神対応”って呼ばれたの、柏からだよね。それってすごいことだよ」
柏「へへっ、ありがとう。なんかうるうるしてきちゃった」
すみませーん! ホッケの塩焼きとポテサラおかわり!
柏「ねぇ、聞いてる!?」
指「あ、ごめんごめん、柏もなんか頼むんだった?」
柏「もうっ…。でさ、この間、石川梨華さんと対談したの」
指「それ聞いたけど。大丈夫!飲み過ぎじゃない?」
柏「違うの!そのときにね。石川さんから言われたんだ」
柏「17年やってよかった。これで一生頑張れるって思ったわ」
指「すごいじゃん。私ってそういうドラマティックなこと言われないんだよね。柏の人柄だよ」
柏「お互い、メンタルは強いからさ、これからもいろいろあるだろうけど、頑張ろうね」
指「うん。とりあえずポテサラおかわりしていい」
柏「やっぱり、メンタル最強はあんただよ」
新橋の夜は更けていった。
※ここに書かれた内容はほとんどフィクションです。
タイトル画像は『柏木由紀オフィシャルサイト』より
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