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【毛玉の話①】毛玉の科学・なぜ毛玉が出来るんだろう

毛玉の原因は、摩擦と絡まり

 
 毛玉のことを業界ではピリングと言いますが、毛玉とは名前のごとく糸に撚り込まれていない部分の繊維同士が絡まって玉になっている状態です。
 毛玉が出来るには主に2つの要因があります。『摩擦』と『絡まる』です。
 セーターを着用するということは実際はセーターを摩擦していることです。
 毛製品を長時間摩擦していると、撚り込まれている糸から表に出てきた繊維同士が絡まり始めやがて毛玉に成長します。この絡まりの元をピル核と呼んでいますが、このピル核の誕生とピルの生成に大きな影響を与える要因がウールの繊維自身の特徴である『スケール』(一般にはキューティクル)です。
 カシミヤをはじめ獣毛と呼ばれる羊などの天然のウールは(ウールは天然に決まっていますが)繊維にキューティクルがあり開いたり閉じたりして水分の調整をしてくれているのです。
 キューティクルの主な働きは、乾燥しているときは水分を逃がさないように閉じて、水分が多いと開いて水分を取り込みます。ウールの特徴である、冬は暖かく夏は涼しい特性があるのです。


異物と静電気

 
 ピル核誕生の元は主に『異物』と『静電気』です。異物と言っても目で見て目立つようなものだけではなく上着など他の繊維の切れたものや空気中に浮遊しているような埃のようなものが付着することでもピル核誕生の原因になります。また冬場に発生する静電気も繊維同士をくっつけますのでそれが元で絡まり始める場合もあります。

 あまり知られていないのが『湿気』と『熱』です。この湿気と熱が実は大きなポイントなんです。擦って起毛した繊維の絡まる速度が、常温で普通に摩擦した場合に足し算のように毛玉が成長するのに比べ、湿気や水を与えると掛け算のように急激に毛玉が成長します。そこに熱、特に体温以上の熱が加わるとさらに毛玉の成長速度が速まるという現象が起きるんです。


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