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TIMELINE for “parallel park” 梅田Shangri-La 感想

 tacica2024年初となるワンマンツアーの後半戦は大阪から幕開け。5月かと思うほどの暑さの中のライブ。


感想① 開幕

 定刻ピッタリに照明は暗くなり、メンバーが登場。準備もそこそこにヌーの休日から始まる。
そしてCD音源かと思うほど自然にゼンマイへと繋がった。小西さんのベースがまさにベース(基盤)となって支えているのが伝わる。 
 少しの間から攻撃的なサウンドと真っ赤な照明が印象的だった人間1/2。開演してたった3曲、たった数分しか経っていないというのかと思うほどの熱と迫力。会場のボルテージは上がっていく一方だった。
 
 猪「ありがとう。tacicaです。よろしく」
そう言い終えると水を飲んだ。こういう所が何ともtacicaらしい。
猪「なんか喉渇きますね」
小・中「うん」
猪「大阪久しぶりな気がするんだけど……。そんなことない?」
まばらに頷く観客。
小「半年ぶりくらい」 

感想② ノンストップparallel park

 猪「曲やります」
そう宣言したとほぼ同時に、"元を辿れば"〜と猪狩さんの歌から始まる。いつかのライブでもMCから曲の切り替えが早いと小西さんが話していたが、ここも中々の早さ。
 黄色いカラスからアースコードまではMC挟まずノンストップで続いていった。
 ウソツキズナミダの時に手拍子が起こるとうんうんと頷く猪狩さんは今回のハイライト。
 バクは相変わらずストロボがバチバチ焚かれて、cメロのアレンジセッションとコーラスが最高。
 parallel parkの締めとなるアースコードは今まで以上に壮大な音楽のような感じがした。まるで映画のエンドロールが流れているかのようなこれ以上ない気持ちの良い終わり方。
と思いきやまだHuman Orchestraの曲が控えていることに気づく。

 MCのないノンストップな演奏で濃密な音楽を楽しむことが出来た。あっという間にparallel parkは終わり、Human Orchestraへ。

感想③ グッズ紹介

 猪「えーっと、グッズ紹介?」
小西さんの方を見て確認する猪狩さん。
小「うん! ここで合ってる」
猪狩さんがじゃあどうぞといった具合に促す。

 いつも通りに小西さんのグッズ紹介が始まる。

 小「じゃあ2週間ぶるぅ……の」
噛み噛みの小西さんに中畑さんがツッコミ。
中「なんて?」
小「……2週間ぶりのグッズ紹介です」

 小「今回は所謂ロンTを作りました。あと、この際なのでコーチジャケット紹介します。久しぶりにコーチジャケットを作りました。でも、もう今日くらいの天候だと要らないですよね……」
実物のコーチジャケットを観客へ紹介していると、観客から「かわいい!」の声が。
小「ありがとうございます!
中「グッズがでしょ」
観客「小西さんの事だよ!」
照れくさそうにする小西さん。

「グッズ制作って3ヶ月前くらいから動いているんですけど、流石に天候のことまでは予想出来なかったです。秋口くらいに使ってください」

「タオルは今回ガーゼタオルとなってます。いつものスポーツタオルとは違って速乾性がいいです。
レザーキーホルダーも久しぶりに作りました。使えば使うほど味が出るようになっています。表にはtimelineの刻印が押されているんですけど、最初は薄かったんですよ。でも、色んな人が頑張ってくれたおかげで濃くなりました」

「話題の猪狩のたぬきちくんの栞もあります。猪狩の弾き語りの時に作ったんですけど。革なんで厚みがあると使いづらいかなと思うんですけど、ちょうどいい厚さになっています。
その他にもグッズ持ってきてます。よかったら……先取り秋仕様のグッズ見ていって下さい」

 以下反省会
猪「紹介長い割に残るものが何もなかった」
小「え?そんな長かった?個人的には自信あったけど」
猪「ordinary dayくらいあった」
中「時間が?」
猪「内容が。ordinary dayと同じ」
中「名曲じゃん」
猪「アンサーソングだね。小西のグッズ紹介がordinary dayのアンサーソング」

猪「2週間ぶりだからですかね。免疫が……」
中「2週間空けて良かったよ」
猪「受け手の問題なんですかね……。まぁ、面白いですよね。かわいいかどうかは別として。あのさぁ、かわいいに対してのありがとうの返事が早すぎる
小「え?あぁ、うん」
中「でも、ありがとう以外無くない? 存じてます! とか?」
猪「中畑さんがかわいいって言い過ぎなんです」
中「あぁ、俺が言い過ぎか」
この間小西さんはずっと自分の手首を掴んでいて気恥ずかしそうにしていた。

猪「ドラム中畑大樹」
唐突に中畑さんの紹介。
中「よろしくお願いしまーす」
観客から大きな歓声と拍手が起こる。
中「小西くんのグッズ紹介の時よりも大きかったね」
さらに感情と拍手が起こる。
中「熱烈だね」
 
猪「太陽フレアらしいですよ」
中「北海道でもオーロラ見れるらしいね。今から行けば間に合うかもね」
猪「suicaとかダメになっちゃうみたいですね。電磁波の影響とかで」
 猪狩さんがイヤモニをつけるタイミングで中畑さんが何か話そうとするも、ドラムスティックを持って演奏へ。

感想④ Human Orchestra編

  猪狩さんが背中を丸めるような体制からギターを鳴らすはHERO。今からおよそ15年程前に出たとは思えないほど古さを感じさせない。

 続くクローバーでは小西さんが途中でぴょんぴょん飛び跳ねる様が印象に残った。割と激しめの曲の時は飛び跳ねることはあるけれど、クローバーで見たのは初めてのような気がする。(そもそもクローバーを聴いた回数が少ないのもあると思うが……)
 アシュレーでちょっと猪狩さんの声が辛そうな感じがした。冒頭でも喉が渇くと言っており、上手く声が出ないのかなと思った。
 
 オオカミと月と深い霧ではギターのイントロが少し追加されていた。この曲は特にしっかりと聴き入ってしまう。夜の静寂感とか孤独感とか言いようのない不安感とかそういうのが詰め込まれているような気がする。夜だからこそさらにまた映える曲。
 オオカミのアウトロから続くようにギターのか細い音が鳴り、始まったのが熱帯夜。ヌーの休日、ゼンマイの繋ぎはもちろんのこと、今公演ではオオカミからの熱帯夜の繋ぎもかなりの聴きどころ。
さらにアウトロも盛大に追加され、まさしく第2幕終了に相応しいサウンドが会場に響いた。ファズがまだ鳴っている中、メンバー達はお辞儀をしてから退場した。

感想⑤ 〜翔一 猪狩のくだらない話〜

 観客からのアンコールに答えて再登場。ありがとう、と再び各々楽器を手にする。
猪「今日サウンドメッセがやっていて。前回の時も確か被ってて」
中「意図的なの?」
猪「誰かが被せているのかもしれないです。弦楽器やっている人は楽しめます」
中「弦楽器やってなくても楽しいよ」
小「そうっすね」
猪「小西もやってます」
中「えっ! 小西くん行った事あるの?」
小「あ、いや」
猪「いや、あの小西も弦楽器なんですよ」
中「あぁ……そういうこと」
猪「……まだまだってことだよ」

猪狩さんが唐突に
「何かくだらない話したいですよね」と言い出す。ドライヤーの話していいですか? と切り出してから話し始める。
「ドライヤー、熱かったり、風量とかそれぞれ色々あるじゃないですか。そもそもドライヤーするのかよっていう話は無しなんですけど」と冗談混じりに語っていく。
「それで、熱すぎるのがどうも駄目で、吐いちゃいそうになるんですよ。あと風も弱いのが嫌なんですけど。
今日泊まったホテルのドライヤーはめちゃくちゃ丁度良くって」
中「へぇ、良かったね」
猪「そうなんです。で、めちゃくちゃ良かったから型番調べて買おうと思ったら、家で使っているのと全く同じだったんですよ。
そもそも前回来た時も同じホテルでこのドライヤーいいなって思って購入していたのでそれはその筈なんですよ」
中「でもさ、普通気づくものじゃない?あっ、これ家のと同じだってならない?」
猪「……だから、普段からいかに何も考えていないかってことですよね」
小「ちなみに俺はあのドライヤー風強っ、温いなって思ってた」
猪「こうも違うからドライヤーって種類いっぱいあるんだね」
 
 以上、翔一猪狩のくだらない話でした。

感想⑥ アンコール

 猪「19年も同じ事繰り返していて。音源作ってライブして……。その中で少なからず成長しているって思っていることもあって。楽しいのでやっているだけなんですけど。だからまた近いうちにすぐに来ます。本当にすぐに来ます」
 こうも強調して言うということはワンマンなりイベント、フェスといったものが直近で控えているのだろうか。
 猪狩さんは、というかtacicaはいつも次を確約してくれる。またいつか来たいですとかではなくて"また来ます"と力強く言ってくれる。それだけでこちらは感謝の気持ちでいっぱいになる。

 (この語りの際に中畑さんがシンバルか何かを見ながら驚いたようにあんぐりと口を開けていた。何か不備があったのだろうか……)

 さて、MC明けのアンコール1発目はアロンからスタート。今ツアーから使っているというスタッフから借りたギターのヘッド部分を鳴らしてから始まった。 
 1番終わりの小西さんのベースからの中畑さんのドラムソロ。怪しげに笑みを浮かべる中畑大樹に持っていかれる。

 ギターを持ち替えてからの某鬣犬
真っ赤な照明が当たり、逆光でメンバーの顔が隠れるかのようで妖しさが醸し出されていた。
まさしくハイエナのような不気味さとがステージで演出され、猪狩さんの声が雄叫びのようにも思えた。しかし、ここでも猪狩さんがちょっと辛そうに声を出しているように見えた。

 曲が終わると猪狩さんが舞台袖に捌けてしまった。すると中畑さんがドラムソロをすかさず披露して場を繋ぐ。観客からも思わず歓声が。何かの演出かと思ったが、恐らく違った模様。
猪狩さんが1分、2分ほどしてから再び登場。
すいません、と一言謝ってから最後は荒野を行くで締められた。
 やはりまだ辛かったのか、最後は声が出ていなかった。しかし、アウトロを追加したライブ版の荒野を行くを最後まで演奏しきり終了となった。特に何の説明もなかったので、恐らく熱中症の類いのようなものだったのではないかと思う。
流石、プロだなと感じたが決して無理はしてほしくない。
 
 いずれにせよ、アンコール3曲とも熱のこもった演奏でこちらを盛り上げてくれた。 
ただただ感謝しかなかった。

セットリスト

  1. ヌーの休日

  2. ゼンマイ

  3. 人間1/2

  4. 黄色いカラス

  5. サカナヒコウ

  6. ウソツキズナミダ

  7. バク

  8. Silent Frog

  9. アースコード

  10. HERO

  11. クローバー

  12. アシュレー

  13. オオカミと月と深い霧

  14. 熱帯夜

  15. en.アロン

  16. en.某鬣犬

  17. en.荒野を行く

おわりに

 ツアーは2週間空けての後半戦。特別やることは何か変わる事はない。だけど同じ曲なのに別の曲のように聴こえるのは会場の違いやコンディションの問題か、それとも自分自身の感じ方の違いのことなのか。とにかく、同じ曲なのに新鮮味があるという不思議な感覚を味わうことができる事こそがライブの楽しみの一つでもある。生の音と生の声、観客たちが合わさると聴いたことのある別の曲というようなものに変わってしまう。
まさしく"同じ音色の日は二度とは来ない"といった一生に一度のライブであった。

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