見出し画像

TIMELINE for “parallel park” 柏PALOOZA 感想

 tacicaによる2024年初ワンマンツアー。 
15年近く前に発売した1st album「parallel park」と1st mini album「Human Orcestra」を現在のtacicaで再現するツアー。
 4/5結成記念日の翌日よりスタートとなった。


感想①初めからフルスロットル

 柏に着くと、傘を差すほどではないがポツポツと雨が。相変わらずの雨男ぶりを発揮する。
当日券はあったものの、会場はわりと埋まっていた印象。

 時間ピッタリにメンバー登場。今までのTIMELINEには野村さんが居たが今回は残念ながらいらっしゃらなかった。

 ドラムの音が静寂を破って、演奏が始められる。CD音源にはないイントロが追加された
ヌーの休日。 

 CD音源通りに間隔を空けずにゼンマイへと繋がるのには感動した。先日弾き語りで聴いていたが、バンド形式となるとまた違った曲のように聴こえる。
街の色忘れないうちに〜のあと、中畑さんがスティックを合わせて打ち鳴らすと雰囲気が変わったかのように思えた。 

 少しの静寂の後、そんな静寂をギターの音で打ち破り、猪狩さんの足元近くに赤いライトが激しく照らされて、それはまるで血が巡っているかのようにも思えた。そんな激しいサウンドの人間1/2
小西さんのベースも時折振り上げるように突き上げられていた。
またラスサビ前のセッションはライブアレンジが施され、より攻撃的な3人の演奏が聴けた。

 そんなこんなであっという間に3曲が終わってしまう。
猪「tacicaです! 久しぶりのTIMELINEです。初日の緊張感と楽しさがちょうどいいバランスです」
「昨日、結成記念日で。19周年だけどこっちは強く意識してなくて。
ライブをやりたい、ライブに行きたいっていうのが成立しているから出来ることなので、僕らがどうこうというのはないです。……何か最後みたいな感じになっちゃったけど、最後までよろしく」

ライブをやりたいバンドとそれを聴きたいファン。やっぱり行きたいライブやイベントには積極的に足を運ぶことがお互いのためになる。
今まで頑張って来ました! とか言わずにみんなのおかげです、と言葉少なに語るのが猪狩さんらしい。

感想②parallel parkの思い出。

 mc明けからは黄色いカラス。順番通りならHEROのはずだが、順を変えていた。

気付けば色は何処だっけ

 何処の"ど"にアクセントが強め。
どぅぉっこだっけに近い発音。
ギターを鳴らさずに歌に集中する猪狩さんが自分の手首をギュッと握りながら、爪先立ちして歌う姿にグッとくる。

灯る街角のライト背に今日も鳴いて居るよ

 歌う猪狩さんの背にライトが当たり、まさにこの歌詞を体現して居るかのようだった。

 少しのクールダウン後、青い照明がステージを包み、まるで海の中を思わせる中で始まるサカナヒコウ。

 サビで響く猪狩さんの歌声に合わせて照明もパッと照らされるので迫力がマシマシ。猪狩さんの歌声が海の中を伝わるように響き渡る。

 猪「えーっと……」言葉が続かずにチラッと小西さんの方をみる。それに対して、ただただ微笑む小西さん。
猪「あ、いや。まだ召喚しないから」
グッズ紹介と勘違いしたのだろうか。
猪「ドラム中畑大樹!」
中「よろしくお願いしまーす」

猪「parallel parkって……知ってるのかな?」
まさかのお言葉に会場から笑い声が漏れる。
「知ってる? 知らない? 大丈夫?」
会場の反応に頷く猪狩さん。
「1週間合宿でレコーディングした作品で。何か色々思い出がいっぱいあって……。そんなタイトルの曲あったよね」
「辛い時に崖を見に行ったり、作業待ちの時に近くにあったサファリパークみたいな所行ったり、DHCのコスメがめっちゃ置いてある温泉行ったり……。今思い出すと良かったなって思う」
「10周年くらいまではそこまでだったんだけど、それ以降はわりと刻んで祝ってるような気がしてて。こんなことやってるともう終わるんじゃないかとか思われるかもしれないけど、そんなつもりはないです。多分。今のところは」
 まだまだいっぱいやります! 猪狩さんの宣誓通りに曲が続く。

感想③parallel park終了

 イントロでギターが前面に出た後、歌が始まると今度はベースが主張してくるウソツキズナミダ
ダッ・ダダッと刻むリズムに体が揺れた。

ウソツキズナミダ 鮮明に

 繰り返されるフレーズは全て違う歌い方のように思えた。
ラスサビ前のドラムからの歌に入る部分でテンションが上がる。

嘘みたいに笑って欲しい

 嘘という言葉を最後にこう使うのかと唸らされる。

 その後、一拍ほど置いてから激しいサウンドとストロボが焚かれる。ステージ上のメンバーたちの熱気が伝わってきたバク
2番始まりの猪狩さんの息継ぎ、がなり声も上げてカッコよさマシマシ。
 要領良くを謳っている〜の小西さん、中畑さんのコーラスにゾワっとさせられる。
 プツンと切れたかのように歌が止んだ後、猪狩さんのありがとうで締められた。

 ここでアコギに持ち替えてSilent Frog。今回のライブではギターの持ち替えがほとんどなく1本で弾ききっていた。
優しくも力のこもった歌声と音が突き刺さる。
 
 そして再びエレキギターを手にしてアースコード。あっという間にHERO以外のparallel parkの曲が終了。

感想④グッズ紹介

 猪「parallel parkでした……。何か喋りますか?」
小「あっ、じゃあ喋ります」
小西さんへの対応が他人行儀な感じがして笑えてしまう。
そしていつものグッズ紹介コーナーへ。
小「今回もこのパネルで紹介していきたいと思います」
「今回は半袖ではなくて、春先なのでロンTにしました。色は白で、す」噛んだのか、何かを言いたかったのかおかしな言い方に。

コーチジャケットは実物を持って来ていた。
「コーチジャケットも久しぶりに作りました。裏はこんな感じのプリントになってます。中の厚さもちょうどいい感じです! セットアップでもいいかもしれないです!」
ゴソゴソとコーチジャケットのポケットを漁ると中からキーホルダーが。それに思わず観客たちからの拍手が。
「久しぶりにこのキーホルダーも作りました。……って見えないですよね。ラジオでも話したんですけど、この刻印が最初薄くて。でも製品としてきたのはちゃんと濃くなってたので大丈夫です。彫りが深いな。自分の」
猪「えっ?自分の?」
小「あ、いや。キーホルダーの。顔は彫り深いよ」
猪「そんなことはないと思うけど」
小「缶バッジの方が先行物販で売り切れたみたいで、まぁ……。まぁ……。何とかします」
猪「えっ!缶バッジ売り切れなの」
中「何とか出来るの?」
小「今日は無理ですけど、今後は」
中「あぁ、今後ね」

小「あと猪狩の弾き語りのときのたぬきちの栞も持って来てます。自分も貰ったんですけど、厚みもちょうどよくてかわいいです」
猪「それって、栞が?たぬきちが?」
小「たぬきちが」
猪「ほぉ」と満足気に頷いていた。

グッズ紹介終了からの反省会。
猪「1点いいですか?」
小「うん」
猪「セットアップって何と何のこと?上下のことじゃない?」
小「あっ、確かに。何て言えばいいんだろう。同時に着用とかか」
猪「重ね着とかじゃない?」
小「あっ、そうか」
中「後で検索してみよう」
猪「みんな大丈夫だった?怪談急に話し始めたみたいじゃなかった?最近怖い話にハマってるからさ。小西と話すときが一番怖いです
 
 ちなみにセットアップは猪狩さんの言う通り、上下で揃えることのようです。

猪「中畑さんもいつまで優しいかなぁ」
中「なんか小西くんってさ、舗装されていない道を走っていくじゃない?その姿勢は見習っているよ」
中畑さんが小西さんの行動を上手く例えながら好意的に解釈。しかし……。
小「あ、いや……。舗装されてる道だと思ってました」
中「怖〜〜〜い」思わず肩を抱いて怖がる仕草を見せていた。
猪「中畑さんが生み出した怪物ですからね。小西は」
中「大谷さんじゃん」
猪「tacicaの大谷さんです。どうりでいつもキャップ被ってるんだ」

感想⑤Human Orchestraスタート

 やります、とHEROからリスタート。始まる前に猪狩さんが屈みながらの姿勢をとると雰囲気が変わる。
さすがにもう演奏慣れしてるだろうなという安心感に溢れる曲。しかし、いつ聴いてもカッコいい。

 順番通りに続いてクローバー。singularityツアー以来およそ2年ぶりの演奏。
確かな〜というバンドの名前になっているフレーズからスタートする。雄叫びのように"雨"という言葉を歌う。

 間隔空けずにアシュレー
小西さんのベースがいい味を出している。
こんなあっという間に終わる曲だったっけと思うくらいのスピード感で過ぎていった気がした。

 「あまり古い感じしないっすね」
猪狩さんがそう発したものの、暗転したままのステージで始められたオオカミと月と深い霧。紫色の明かりは妖しさを演出させる。
tacicaと夜の相性は抜群だと思っている。暗く、深い霧のかかる中を生きるオオカミって何だかtacicaそのもののよう。オオカミはよく孤高という言葉が使われがちだけど、まさしくtacicaもそんな気がする。孤独ではなくて孤高。
オオカミの遠吠えにも似た猪狩さんの歌、夜の静けさと妖しさを小西さんのベースと中畑さんのドラムが演出していた。
 
 ギターの音色が小さく細く鳴る。熱帯夜のイントロへとそれが繋がる。
子守唄のような猪狩さんの優しく美しい声が心地よい。人間やバク、クローバーといった激しいサウンドとSilent Frogやサカナヒコウ、熱帯夜のような落ち着いた曲。この緩急がどちらもtacicaらしく思える。
 アウトロはバンド用にアレンジされていて、これにて本編は締められた。

感想⑥アンコール

 アンコールに応えて登場すると小西さんはツアーロンTに着替えていた。
猪「アンコールどうもありがとう。
花粉割と良いんですよ」 
中「良いとは?」
猪「ヒノキが明日からピークらしいんですよ。僕はスギだけなので。だからヒノキの人は頑張って下さい」

 ここで猪狩さんがたぬきちTシャツを着ている方を発見。可愛いですね、とご満悦。このたぬきちTシャツ現在完売のようでもう恐らく手に入らないレアアイテム。

猪「この間令和ロマンが僕らの音楽を聴いていたって動画で言っていて。それを見た小西が『令和ロマンって令和になって結成したんだよね?』って言っててそれはそうでしょ!ってなった。それだったらm-1より前からもっと話題になってたでしょ」

 ちなみにこちらの動画。9分辺り。

猪「TIMELINE、すごい僕は好きで。割と僕らって新旧混ぜてよくやってるから蓋開けてみたら、結構やってる曲も多くて。今回別に来なくても良かったとか思わない?大丈夫?」
新旧織り交ぜてセトリを組んでいる印象は大きいけど、やっぱりその公演ごとに音や演出は違うのでいつどこで聴いたって違う曲のように思える。
だからなるべくライブ会場へ赴いて生の音を聴きたい。

「みんなには多分伝わってないと思うんだけど、昔の曲ってコードとかを知らないが故に結構無茶苦茶なことしてて。小西は大丈夫?」
小「全然全然」笑顔で応えていた小西さん。
猪「全然?俺けっこうしんどいよ。
今日初日で、これからの公演全箇所でみんなと会えるのを楽しみにしてます」

 本編で使っていた黄色のギターではなく白いギターを持って始められたのはaranami
parallel parkからおよそ12年後に発表された曲。
発売された2020年はどうしてもいい思い出がないけれどこの曲を聴くとそういえばそんな年だったなと思い返せるくらいにはなってきた。
人生は荒波のようだ。
疾走感溢れるサウンドであっという間に時間が過ぎていく。

 各々チューニング。繋ぎとかは一切なく演者の呼吸音が伝わってくるような静けさ。猪狩さんは後にブログでもあげていたが見たことないギター(どうやらマネージャー所有のもの)を手にしていた。そんな静けさをぶち破って歪んだ音が鳴り響いて始まったのはアロン。
アロンもここ数年は定番曲になりつつある。とはいえやっぱりこのサウンドはライブ映えして、体が自然と揺れる。
間奏の中畑さんのドラムに目が釘付けになる。
あと小西さんのベースとコーラスにも思わず耳を傾ける。
 
 「最後にordinary dayという曲をやります。どうもありがとうございました」
アコギに持ち替えてordinary dayで締め。こちらも定番曲となりつつある。最近の弾き語りにおいても演奏されている。
なんてことのない1日。そんな日をこんなに壮大に演奏してくれるのはtacicaくらいだ。

 フルアルバムとミニアルバム、アンコール3曲。たっぷり2時間30分が終わりを告げた。

セットリスト

  1. ヌーの休日

  2. ゼンマイ

  3. 人間1/2

  4. 黄色いカラス

  5. サカナヒコウ

  6. ウソツキズナミダ

  7. バク

  8. Silent Frog

  9. アースコード

  10. HERO

  11. クローバー

  12. アシュレー

  13. オオカミと月と深い霧

  14. 熱帯夜

  15. en.aranami

  16. en.アロン

  17. en.ordinary day

 TIMELINEなのでそのアルバム曲をやるのはもちろんだけれど、アンコールではここ最近の曲を演奏しており、今と過去が交わり歴史を体感しているかのようだった。

おわりに

 久しぶりのTIMELINE。バンドを追いかけているとどうしても新曲を求めてしまいがちだけれども過去の曲を現在演奏することはある意味で新曲と近しいのかもしれない。
 2008年に発売されたアルバムの再現。今は離れてしまった方々にこそ是非聴きに来て欲しい。反対に全く知らないという方でも今回のツアーは入口になると思う。
そして、もちろん今もなお聴き続けている方にとっても最高のライブだ。どんな世代でも盛り上がれる、楽しめる、感動できる筈だ。
 2024年のtacicaのライブもきっと最高になるだろう。

 次回は大阪。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?