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「三田レンジ」で新横浜へ【東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から36】

新横浜にて、都営三田線6500形 

 好奇心に突き動かされ、未知の光景を確認しに行きたくなるようなことはないだろうか。私にはある。「都営三田線の車両が新横浜まで乗り入れる」……この事実を確認したいという願望を叶えるべく(少し大げさだが)、先日ついに決行した。
 簡単に説明すると、これまでも三田線は他社線との相互直通運転を行っており、途中止まりの電車を除き、西高島平から神奈川県の日吉までは乗り換えなしで行くことが可能であった。2023年3月の東急・相鉄新横浜線の開通に伴い、三田線も日吉から先、海老名までの直通運転が始まり、これにより、西高島平発海老名行の電車が誕生した。調べてみると、現時点では海老名まで直通する電車は他社線の車両のみであり、いわゆる「都営の」車両は新横浜までの運用となっていた。(マニアックな話になるが、列車番号の記載されている市販の時刻表を見ると、どのダイヤにどの事業者の車両が充当されるか調べることができる。都営の車両なら○○○Tという列車番号がついている)
 私が乗車したのは土曜日の16時台。事前に列車番号を確認し、早番の業務終了後に巣鴨から新横浜行に乗車した(もちろん運賃は自腹である)。ホームで待っていると、8両編成の6500形車両が颯爽と到着。6500形は三田線としては22年ぶりの新車として22年度に営業投入され、6両編成の6300形から順次置き換えが進んでいる。ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた「人にやさしい車両」となっており、1編成あたりの両数が増えることで混雑の緩和が期待されている。 
 巣鴨から新横浜までの小さな旅。LED照明と明るい色の化粧板で構成された6500形の車内には開放感があり、1人あたりの座席幅が広がったことも相まって、終点までの1時間があっという間に感じられた。電車を降りる際運転席を見ると、見慣れない制服を着た乗務員の姿があった。相互直通運転では会社の境界で乗務員が交代するのが当然の話なのだが、三田線の最新車両を運転する他社乗務員の姿に、何だか不思議な気持ちになった。 
 その姿が電子レンジを連想させることから、一部の鉄道ファンから「三田レンジ」と呼ばれ、親しまれている6500形。新横浜到着後は折り返し西高島平行となり、今来た線路を滑らかに戻って行った。私は駅を降り、新横浜ラーメン博物館へ向かった。

都政新報 2023年7月4日付 都政新報社の許可を得て掲載
【参考資料】
・鉄道ジャーナル 2022年5月号 鉄道ジャーナル社
・鉄道ピクトリアル 2022年5月号 電気車研究会
・報道発表 都営三田線 8両編成の新型車両「6500形」を導入します 東京都交通局(2020年10月29日)https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/subway/2020/sub_p_202010299373_h.html