そんなに食い意地が張っている方ではないと思っていた。回転寿司でお皿をうず高く積み上げるほど食べるわけでもないし、箸上げ写真を撮ってSNSやブログに投稿するような食べ歩きが趣味な人間でもないし、同じものが続いても平気だし。

会社に出勤していた頃はランチは絶対に外で食べると決めていた。ずっとオフィスにいるのも息が詰まるし、ウォーキングもしたいし。
幸いなことに勤務先が東京、いや日本屈指の繁華街にあるので食べるところには困らなかった、というかありすぎて困る。
店はいっぱいあるからわざわざグーグルマップなどで調べず、ふらふら歩いておいしそうだなと思ったところとか、自分が今日食べたいものとマッチする店にふらっと入れる。
それでも365日違う店に行くかというとそうでもなくて、やっぱり何回も行っちゃうお店は何回も行っちゃうのよね。もっと開拓しようと思うんだけど。

会社のアカウントでグーグルマップにランチマップを作っていて、これをなんとか個人のアカウントに移行したいんだが、少し前に調べたところそのような機能はないみたいだった。
パソコン2台並べて手作業で旗を立てていくしかないのか……。ひーん（泣）。

ところで去年の秋からクリスマス前にかけて長めの入院をしていたんだが、前半の前半は食事を出されても自分が食べられない状況で、前半の後半は禁食か流動食（重湯とスープ）が続いた。
禁食や流動食でもぜんぜん症状は改善しないことに加えて、食べられないことでかなり機嫌が悪かった。
それなのにネットでおいしそうなものばかり見ていて、拷問に近いことをわざわざする自分が謎。やっぱ食い意地張ってるかも。

飢えているときは、「食べられるようになったら食べるぞリスト」をつくっていたんだけど、手術をして普通に食事がとれるようになるとそのリストのなかのもの全部が食べたいわけではなくなってくる。
一昨年にも禁食を強いられる入院をして、そのときも食べたいものリストをつくったが、チェックマークはいまだに2/3ほどしかついていない。
飢餓状態のときに食べたいものと、ある程度空腹が満たされた状態のときの食べたいものはどうやら違うらしい。

入院中、空腹を満たしてくれたのはもちろん病院で出される食事である。15年前にも数ヶ月間同じ病院に入院していたのだが、そのときに比べたら格段においしく感じた。
これは病院食が改善されたのもあるだろうし、また当時の自分は飢餓状態を経験したことがなかったから「なに食べてもうまい！」とはならなかったのもあるんだと思う。
それを抜きにしても、少なくとも今回入院していた病院の食事は悪くないと個人的には思っている。ほかの患者さんたちはおいしくないだの味が薄いだの言っていたけど。年配の患者さんが「これはまあまあおいしかった」というのは、たとえばちょっと田舎くさい味付けの煮っころがしとかだった。これくらいしっかりめの味付けじゃないと味を感じないのだろうか。

そうして飢餓状態が改善されると不思議と食べたいものも減ってくる。
見舞いに来てくれるひとから差し入れになにが欲しいか聞かれても、飢餓状態のときは焼き鳥、唐揚げ、餃子、ピザまん……と無限に食べたいものは浮かぶものの、もちろん食べてはいけない（1回だけ唐揚げを買ってきてもらってこっそり食べた）。しかし食べられるようになると、「んー、とくに欲しいものないかなー」となって、逆に具合が悪くて食べられないんじゃないかと見舞い客を心配させてしまった。

食べられることがうれしすぎて病院食は毎食ほぼ完食し、その上なぜかすぐにお腹が空くのでおやつにおにぎりなども食べていた。それでも一度減った体重がなかなか元に戻らない。
ある検査の予約時に体重を聞かれて、少なすぎて言いたくなかったけど正直に言ったら二度聞きされたくらいの体重になっている。
それなりに元気だから体重についてはあまり気にしていなかったんだけど、そういえば末期がんの患者って痩せ細るって言うし、もしかして自分もそれ（「がん悪質液」というらしい）なのかもと思って調べてみた。
で、体重減少、サルコペニアなど多くの症状が当てはまったのだが、「食欲不振」だけは当てはまらず、なんか違うっぽかった。「あ゛ー、もう末期でそろそろなんだわ！」って一瞬悲嘆して損した。
ちなみにここ一週間くらいで少しずつ体重が増えてきている。退院時から1kgくらい増えたかも。

体に赤身肉も脂身もそこそこに付けとかないと体力にも影響しそうなので、家に戻った今もわりとしっかり食べている。てか腹が減るので。
退院する前は不安で、宅配のお弁当とか頼んだほうがいいのかなと思っていたけど、あんなに品数豊富にはつくれないものの栄養不足にならない程度に自分で作ったり外食したり、ちょっとだるいときにはデリバリーしたりして、けっこう楽しんでいる。

食い意地が張っているわたしは胃ろうには耐える自信がないので、万が一そのような状況になった場合は拒否するつもりでいる。
胃ろうだけでなく延命的な治療は全拒否のつもりでいる。
どこまでが延命治療になるのかも考えるときりがない。完治を目指していない化学療法だって延命治療の一つだと思うし（医学的にどうなのかは知らない）。

ってことで会社の近くのおいしいお店をいくつか貼っておきます（久々に行きたいなー）。お好みに合うかわかりませんが、興味と機会があったら行ってみてくださいませ。
銀座、築地界隈もこの半年でなくなってしまったお店もあるらしく、寂しい限り。