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空を見る

台風が通り過ぎた東京の日曜日は、何事もなかったかのようなお天気だった。

前の日は一日中家にいて運動不足だったので、久しぶりに近所の森に行くことにした。森と言っても、所詮東京23区にある緑地なので森とは言えないかもしれないけど、わたしにとっては森である。

乾燥と日差しのせいなのか、あれだけの雨が降ったのにいつもぬかるみがちな地面はわりにからっとしていた。
昔はよく溢れたらしい小さい川の水位はいつもどおりで、カモたちがのんびり浮かんでいて、人々は川沿いをジョギングしたり犬と散歩したりしていた。その代わり市民グラウンドは池のようになっていた。そこに川の水を逃すシステムなのかもしれない。そこでもカモたちがのんびりくつろいでいた。

ふと顔を上げたら、だれかが昔の台風のときに言ったらしい「ひとをバカにしているような青空」、まさにそんな青空が見えた。

そういえば、台風が来る何日か前、理不尽とも言えるようなムカついたことが朝からあった。
だけど、出勤のために外に出たら、空が秋らしく、青くて高くて、そんな空を見ていたら、ムカついたできごともバカバカしいどうでもいいことのように思えてきた。
空に鼻で笑われているようだった。やっぱり空は「ひとをバカにしている」のかもしれない。

自然は優しくもあり、怖くもある。助けてくれることもあれば、お仕置きすることもある。自然が怖くなるのは、人間のせいかもしれないけど。

自分は安全地帯にいてこういうことを言うのは苦手だけど、でも、被害に合われた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
#エッセイ #コラム #台風19号

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