見出し画像

お蕎麦とおにぎり

わたしは10年くらい前に婦人科系の病気の治療をしたことから腸閉塞になりやすくなり、食べるものをある程度選ばないといけなくなった。
うんと小さい頃は偏食なのとしょっちゅう扁桃炎になっていたせいで食べられるものが少なかったけど、丈夫になってからは40年近く好き嫌いなく何でも食べていた。

手術してから身体が軟弱になったのにも慣れなかったけど、食べるものに気をつけないといけないというのにもなかなか慣れない。
雑で面倒くさがりな性格なので、それまではちょっと苦手なものが入っていても一緒に食べていたけど、今ではかやくご飯に入っているうっすいゴボウすらちまちまとよけている。

NG食材を列挙しているうちに、これまであまり意識してこなかった好き・嫌いな食べ物(食材)について気づいたことがあった。それは、好き嫌いがないと思っていたのは、好き嫌いがないというよりも、絶対に食べられないものが少ないということだった。
自ら買ったり作ったりして食べることはないけど、出てくりゃ食べる、またそういう行為がお行儀のよさでもあると思っていたフシがわたしにはあった。だから何でも食べたし、実際無理せずとも食べられた。
ちなみに、嫌いという意味で絶対に食べられないものもあり、それはドリアン、チキンラーメン、そのままの牛乳、コカ・コーラやペプシの類、煮たオートミールだ。それほど多くない。

一方で積極的に食べたいくらい好きなものっていうのも意外と少ない。日々食べているものは、メニューなど与えられた選択肢の中から選ぶか、栄養を考えて選ぶ、あるいは気温で選ぶということが普通は多いんじゃなかろうか。
今日はモスを食べる! ということもあるけれど、たいていは消極的な選択で、でもそれは食べるものに困らず、重度のアレルギーもないある意味幸せな食べ物の選び方である。

一番多いのが、食べられるけど積極的には食べないものかもしれない。
食事というものを娯楽ととらえれば好きなもの、それも積極的に好きなものだけ食べていれば楽しい。
だけど、食事というものは、会食などの場合は娯楽的要素もあるけれど、日々の食事は楽しい部分もありつつ、睡眠や運動などのように健康のためのものでもある。
それに、積極的に好きな食べものってそれほど数は多くないから、それやってたら3日で終わる。好きなものオンリーのローテーションを続けてたら、好きなものすらそのうち飽きてくるはずで現実的ではない。
だから、野菜をもうちょっと食べようかなとか、お昼はカレーだったから夜はカレーじゃないものにしようなどと消極的選択にならざるを得ないのだ。

わたしの場合は、とにかく腸に詰まらないものを選ぶしかなく、健康にいいと言われている野菜も無理して食べないほうがいい。
残念ながらいまだに失敗することがある。頼んだものに予期せずたっぷり野菜が盛られていて、それをまるまる残すのも気が引けて4分の1くらい食べたりして、大丈夫なときもあるけど、お腹を壊すことがある。
残すということの罪悪感とか行儀の悪さを気にしないことが、わたしにとっての体調維持の鍵である。そういう罪悪感とか行儀のことって、相手のことを思ってというよりは、自分がよく思われたくてやっているだけだし。なので、そこんとこを今後はより一層気を引き締めて、腹を壊さないようにいきたい。腹を壊すとどうでもいいことに腹立たしくもなりやすいのだよ。

ちなみに、積極的に食べたい好きなものはタイトルのとおりです。死ぬ前に食べたいものって質問も好きじゃないけど、答えるとしたらこれでいい。卵焼き1切れと唐揚げが1個ついてたらなおうれしい。安いな自分。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?