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倍速人間

お若いひとたちは動画を倍速で視聴したり、見なくてもいいと思ったところは飛ばしたりするのが当たり前なんですってね。映画ですらも。頭の回転が早いんでしょうか、それともせっかちなんでしょうか。

おばさん(わたし)も、YouTubeあたりにあげられている動画はまどろっこしいのが多いので同じような見方をすることが多いけど、映画は等倍で観たい。でも、基本的にぼんやりしているので、等倍にもかかわらず「あー、今なんて言ったの? あのシーンもう一度!」って巻き戻すことがよくある。映画館で観るときはもちろんそんなことできないから、ほんとに理解してるのかな自分。

速読のテクニック本をいくつか読んだことがあるけど、だいたい倍速&飛ばし読みを推奨するものが多い。
かくいうわたしもある速読のレクチャーを受けたことがあり、必要に応じてそういう読み方をするようになった。それまでは生真面目に最初から最後まで読んでいたし、目次を見て全体を把握するということもしていなかった。
小説はそもそも娯楽だし、じっくり読みたいのでそういう読み方はしないけど、仕事や勉強のために読む本はそういう読み方でもいいかもしれない。でも基本的なところがわかってないとどんな読み方をしても理解できないから、飛ばしすぎは程度問題かも。

ところでわたしはぼんやりしているくせにせっかちという矛盾した行動をする人間であり、とくに仕事をしているときはせっかち優位になる。なぜなら仕事は早く終わらせて自分の時間に戻りたいのと、話がまどろっこしいからだ。動画を倍速で観るような若いひとであってもそうなのは、観る聞くは倍速。自分が話すのは等倍ってことなのかしら。

ちなみにプライベートではちゃんと相手の話を聞くし、聞き上手なのか暇そうにしてるからなのかわからないけど、ひとから話されることも多い。
でも仕事でだれかの話を聞くとなると途端に倍速モードになってしまう。速度のみならず内容もまどろっこしくてしょうがなく、顔を相手に向けてはいるものの、話を聞きながら無意識にデスクの上の埃を掃除したりディスプレイの画面を拭いたり、手のマッサージをしたりしてしまう。だって隙間時間だもの。と言ったらムッとされる思うけど。

今はオンライン会議がほとんどなのが助かる。画面ミュートにさえしていれば、疲れ目を休めるために目をつぶっててもいいし(寝てないよ)、スマホを見ててもいいし(聞いてるよ)。
以前のような会議室で対面だったら、いくら寝てない聞いていると言っても、こういう態度だけで不真面目だ、けしからんと思われるだろう。

それから最近、百貨店での買い物もだんだん苦痛になってきた。やはりまどろっこしいのだ。
たとえばアイブロウパウダーがなくなったから買いに行くと、ほかのお客さんにメイクしてあげてたりして手の空いた店員さんがいなければそれが終わるまで買えない(近いので出直す)。
無事買えることになっても、こちらにお座りください、商品はこちらでお間違いないでしょうか、こちらも合わせて買うといいですよ、お名前は頂戴してましたでしょうか、あらそれじゃこちらにお名前をお書きください、お会計してまいりますのでお待ちください、サンプル入れときますね……の後に(レジ袋・紙袋有料化なのに)ご丁寧に小さい紙袋に入れてくれて、やっと解放される。とにかくプロセスが多い。倍速&飛ばしでお願いしたい。
文句があるならドラッグストアで買えって感じですよね。いつも担当してくれる美容師さんが、最近のドラッグコスメはへたなデパートコスメより発色もいいと言っていたから今度からそうしましょう。

てな感じでもしかしたらわたしも倍速人間なのかも、若いとか思ったけど、堪え性のないのは前頭葉の老化のとのこと。ああ……。

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