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呪われた夏

少し涼しい日が続いたと思ったらここのところ暑さがぶり返して、まだ8月だからぶり返すというよりも通常の状態に戻ったというところなんだろうけど、終わるんだか終わらないんだかはっきりしないけど、でもやっぱり夏は終わりかけている気がする。夏が終わる。

夏や冬のようい暑い! とか寒い! がはっきりしている季節じゃないからなんだろうか、「春が終わる」「秋が終わる」とはあまり言わない気がする。
「冬が終わる」という言い方もするにはするけれど、どちらかというと「春が来た」というふうに言うことが多く感じる。

「夏が終わる」ということばのなかには、情緒的なものが多く含まれているように感じる。
みんななにか思い出があるんだろうか。ひと夏の恋的なやつ?

夏の思い出なんて、わたしは子どもの頃に海のそばにある祖父母の家に滞在したという健全な夏の思い出くらいしかないけれど、その記憶すら最近かなり薄くなってきている。

むしろ夏にはあまりいい思い出がない。
高校1年の夏休みに初めてアルバイトをしたときの嫌なできごとの思い出とか。
楽しい楽しい2週間のトルコ旅行から帰ってきたら、勤め先が新聞沙汰になって大騒ぎしていたこともあった。
べつの職場で個人的なハラスメントに合い、神経がプチッと切れて抑うつ状態に入ってしまったのもこの時期だった。
11年前の夏は、7月から10月までずっと入院していて、窓際のベッドから見える空だけで夏から秋への変化を感じ取っていた。
こんなネガティブなできごとを列挙するのも感じ悪いですね。まあ「思い出」ということで。

去年も自粛の夏だったと思うけど、自粛以外のイベントがなにもなかったせいなのか、わたしの記憶力が劣化したなのか知らないけど、恐ろしいほど去年の夏のことをなにも覚えていない。

そして今年の夏は、一部で言われていた夏は冬よりも新型コロナの感染が減少するという説はあっさりと崩れて(というか、ほかの要因によるのかもしれないけど)、感染者数が大幅に増えた。もともと混む時期に旅行はしないけど、都内や近郊のどこかに行くこともためらわれるような状況である。映画や展覧会など、状況が落ち着くまで待ってたら終わってしまうようなものもある。
それなのに、今週出張に行かされるなんて信じられない。

人生眺めてみるとやっぱり呪われてるなわたしの夏。

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