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削ぎ落とす

シンプルが好きだ。
とか言うとかっこいいけど、わたしの場合人間性が超単純で、めんどくさがり屋で、バカ舌なため、実際にはシンプルに生きざるを得ないところがある。

とは言え、わたしだっていろいろ考えてんですよこう見えても。そこに至るプロセスの物語を端折って結論だけ話してしまうから、いかにも考えなしに決断したみたいに見えるらしいですけど、心外ですプンスカ。いや、わたしが悪いんだけど。

ほら、よく講演会やセミナーの質問タイムで、質問者がすごく長ーく話して、このひとはいったいなにが訊きたいのかと思ったら、10秒ですむやんその質問みたいなことがあるでしょ。
なんかみんな人前で話すことに慣れてないくせに、いや慣れていないからこそ自己紹介でもなんでも延々と話してしまうんだよね。どこまでの情報が相手に必要かってことまるで考えてないし、どうしてそんなに物事を複雑にするのかよくわからない。
わたしはそういうのを避けたいばかりに、今度は極端に単純化してしまって、ちょっとよくわからないんだけどみたいなことが発生することもあるけど、あんまりない。みんなそこまで追求しないから。

基本的に人間はひとの話を聞かないと思っているので、他人が根気強く長い話を聞いてくれることを前提に話すことが信じられない。これは母親の影響でしょうかね。わたしがなにか話してもすぐ自分の話に持ってっちゃうひとだったので。
だからたまに口を挟まずにじっくりとこちらの話を聞いてくれるひとに出会うと、なんだか申し訳なくなって相手の話題へと変えたり、時間で契約しているようなひとだったら「あ、もう時間ですね」とか言って切り上げようとしてしまう。
だれも聞いてくれないしこちらも聞かせようともしていないから、noteで長々と書いて鬱憤晴らしているのかもしれない。

めんどくさがりなので、身の回りのあらゆるプロダクトもなるべくシンプルにしたい。
便利とかかっこいいとかかわいいとか、色んな理由で物を買うわけだけど、買った後のことまで考えて買わないと泣くことになる。
お掃除ロボットが出たとき、そのメンテナンスに普通の掃除機が必要というのを取説かなんかで見て笑った覚えがある。掃除機を掃除機でお手入れ!? 意味わかんない。そういうところまでちゃんとドラえもん化してくれないと困るのよね。
ちなみに余計に手間がかかりそうなのと、狭い家には必要性が低いと判断しお掃除ロボットは買っていない。
あと凸凹が多く、それだけでなく凹のところが狭くて掃除が大変なやつとかもなんとかしていただきたい。メーカーさんは必要があるから凸凹をつくったんだろうけど、そもそも凸凹を減らすような方向性で開発してもいいんではないでしょうか。よろしくお願いします。

んで、ずっと地味にイライラしているのが洗濯機の糸くずフィルターで、櫛状になったフィルターの奥に詰まったゴミを取るの竹串のような細いものを使わないと取れないってこと。
竹串は掃除にしか使ってない。サッシの超狭いところの掃除とか、猫トイレのフィルターに詰まった猫砂を取ったりとか(今はシンプルな猫トイレに替えたので不要になった)。
メンテナンスしにくい製品を使っていると、ああこの製品の開発者たちは掃除とかしないんだなーとか思ってしまう。
ともあれ、プロダクトは真っ平らを目指しましょう。真っ平ら!

あとね、人間が単純だと舌までバカになるんですかね。どうも最近複雑な味にピンと来なくなってしまった。
とくにしょっぱいと甘いが混在したもの、要するに甘辛いものがちょっと苦手になってしまった。甘辛でも味付けがすっきりしていればまだいいのだが、しょっぱいにも甘いにもぐいぐい主張されるとかなりきつい。
旨塩などの旨なんちゃらってのも、旨いかなんちゃらかどっちかにしてくれーと思う。

YouTubeでグルメ動画なんか見てると、世間が主張の強い味を求めている傾向にあると思う。
「味変」とはよく言ったもので、皆さん味変しないと最後まで飽きずに食べられなくなってるんじゃないかと思う。
もちろんわたしだって味変することはあるけど、元の味がどんなものかわからなくなるまでの味変はしないかな。よっぽど不味いときを除いてね。

世間の食べ物は塩気も甘みも強くなっているなと感じる。
明治生まれの祖父がコーヒーに溶解度超えてんじゃないかってくらい砂糖を入れて飲んでいて(甘いものももちろん好きだった)、昔は砂糖が貴重品だったからその反動じゃないかって親は言っていた。
国の発展度と人々の甘みへの感度が関係していると確信したのは、1980年代に中国に行ったときだ。ケーキもパンもとにかく甘かった。だけでなく、色がどぎつい。でも昔の日本もお菓子はかなり甘かったと聞くし、どぎつい色できれいに見せることへの抵抗もなかったらしい。

で、日本はまた強い甘み文化に戻っているような気がする。
とりわけコンビニスイーツがとにかく甘い。めまいがするくらい甘い上に「ふわとろ」とかいう流行りの食感を出すためにでろでろになっていて、なに食べてるかわからなくなって気持ち悪くなって以来、コンビニスイーツはほぼ食べていない。
単純なわたしはシンプルなクッキーとかがいちばん安心する。日本に比べて欧州のお菓子は余計なものが入っていなくてシンプルで非常によろし。べつにナチュラル志向とかそういうわけではないんだけど(むしろ嫌悪)「小麦粉、バター、砂糖/膨張剤、以上!」みたいなのが不思議と口に合う。

ものごとを複雑に捉えてぐちゃぐちゃと考えているよりも、不要なものを判断して捨てるなり解決策を考えるなりして、削ぎ落として削ぎ落として最後に重要なものだけ残る、またはなにも残らないっていうのが理想。




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