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どっちか選ぶ、両方選ぶ

スギ花粉の季節が終わり、さわやか〜な陽気になったのもつかの間、低気圧どんよりの日々が続く。よく言われることだけど、エアコンもいらないような快適な期間というのが近年とても短い。

わたしがスギ花粉症だったとき(3年ほど海外にいて日本に帰ってきたら治っていたという謎)、花粉が飛ぶ季節だけ海外で暮らしたいと思っていた。
でも、拠点を二重にもつ生活ってかなり難しい。どこにいても仕事ができるひとじゃないとできないし、二つの住居にかかる費用も賄える経済力も必要だ。
わたしのような能力も経済力もない人間は思い切って移住するか、日本にい続けるかのどちらを選ぶしかない。

人間はときに欲張りで、二つあるいはそれ以上のなにかをもっていたいと思うことがあるけど、だいたいの場合は一つだけを選択しなければならない。
海外に住みたいけど日本も捨てがたいから行ったり来たりできる生活がしたい。結婚したけど結婚したらしたで独身の友人が自由に見えてうらやましい。働きたくないけど貧乏生活はきつい。
複数の選択肢を想像しては行きつ戻りつして、結局現状維持のままなのだ。

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うちの近所のとんかつ屋さんはとんかつしか出さない。ロースとヒレに串カツのみ。カツ丼もない。潔い。
でも、たいていの「とんかつ」と看板に掲げているお店は、エビフライやカニクリームコロッケなど複数の揚げ物が食べられる定食が用意されている。あれも食べたいこれも食べたいなお客様のご要望を満たすため。でも「全部のせ」があるのでなければ、またそのエビフライだのなんだのの選択肢が迷いの元となる。
とんかつ+αくらいならまだしも、ファミレスのような和洋中何でもありな店では膨大な選択肢の中から渾身の力でハンバーグを選んだ果てに、「一口ちょうだい」とひとの海鮮丼に手を出す始末である。

人間どうしの関係性も複数もつことは可能かもしれない。恋人や配偶者という、日本の「道徳」的には一つだけ選択するべしとされているものを複数もつことも、やりようによっては可能といえば可能かもしれない。
人数ではなく、一人に対して複数の関係性をもつことはできるんだろうか。友達親子なんてのがあったけど、所詮親子は親子だと思う。友人でもあり恋人(or配偶者)ってことはもしかしたらあるのかもしれないけど。

わたしは食い意地を達成すること以外についてはあきらめが早かったり空気を読んじゃったりするため、AかBのどちらかを選ばなければならない場合、Aのほうが自分には好ましくても、何らかの事情でそれが無理そうだと思ったら安易にBを選んでしまう傾向がある。
だけど、希望するAを選択してもいけるかもという策を考えるくらいはしてもいいんじゃないか。いや、むしろ両方選ぶ、ハンバーグもパスタも食べるくらいの意気込みがちょうどいいのかも。と、最近ちょっとぼんやりしている自分に活を入れてみる。

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