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ITIのインプロフェスティバルに参加してきました

8月28日~9月4日にかけて、ノルウェーのトロンハイムで行われたインプロフェスティバル「Trondheim International Impro Festival」に参加してきました。これはITI(国際シアタースポーツ協会)が2年に1回開催している、国際的なインプロフェスティバルです。今回も世界的インプロバイザーによるワークショップ、ショーが多数行われました。

この1週間は、僕のインプロ人生の中でも特に濃厚な1週間となりました。ここでは印象に残っているいくつかのことを書いてみようと思います。

パートナーが自分を助けてくれる

今回のフェスティバルでまず印象に残っていることは、「パートナーが自分を助けてくれることを信じやすい」ということでした。

今回のフェスティバルの中で、僕は間違いなく英語力が一番低い参加者でした(っていうか「ヨーロッパの人たち英語できすぎじゃない?」と思った)。しかしそれは僕にとっていい環境で、そのおかげで僕は「パートナーが自分を助けてくれる」ということを信じやすくなりました。

日本でインプロをしていると、言語的にも立場的にも「自分が助ける側だ」という意識でインプロをしていまいがちです。しかしそれはただのコントロールであったりもします。今回のフェスティバルではそのコントロールを手放して、パートナーに自分を任せることができました。

それを一番感じられたのは、シアタースポーツ(チーム対抗のインプロショー)への出演でした。日本でシアタースポーツをすると、どこか「自分がチームをひっぱらないと」という気持ちが出てきますが、今回は「ま、みんなが助けてくれるだろう」という気持ちで舞台に立つことができました。

そしてその状態は僕に舞台での自由を与えてくれました。シアタースポーツは45分の短縮版だったため、3ラウンドしかありませんでしたが、その3ラウンド全てがとってもいいシーンになりました。この日のインプロはお客さんにも印象深かったようで、終わったあとにはみんなから「今日は君のショーだったよ」と言われました。

Photo by Daniel Nilsen Bjørneraas

また、このように信じられるようになった理由は、Pattiのマスタークラスによるところも大きいです。Pattiの暖かく、明確なファシリテートによって、クラスメートたちはどんどん打ち解けていきました。また、僕も含めてそれぞれが殻を破っていきました。それをお互いに見ているからこそ、信頼が生まれたのだと思います。

いいインプロバイザーと素晴らしいインプロバイザーの違い

フェスでは毎日2~4公演という、たくさんのショーを見ました。ショーの中には素晴らしい公演から、そこそこな公演まで、いろいろありました。その中で感じたのは、「いいインプロバイザー」と「素晴らしいインプロバイザー」の違いでした。

今回のショーで特に僕の目を引いたのは、Lee、Inbal、Timの3人でした。いずれのパフォーマンスも初めて見たのですが、この人たちが出てくるだけで舞台の空気が変わるような力を感じました。

Photo by Daniel Nilsen Bjørneraas

そしてこの3人に共通する要素はなんだろうと考えたところ、それは「クレイジーである」ということでした。3人とも「次は何を繰り出すか分からない」ところがあり、それがパフォーマーとしての魅力になっているのだと思いました。

いいインプロバイザーは、落ち着いていて、優しくて、明確で、勇敢で、そして遊び心もある人です。しかし素晴らしいインプロバイザーはさらに「クレイジー」な要素もある、そんなことに気づきました。

ふりかえると、これまでの自分は「いいインプロバイザー」を目指していたと思います。もちろん、それは重要なことです。ただのクレイジーでは、まわりの共演者が困ってしまいます。しかし、さらにその先もあることが分かって、今はそこを目指していきたいと思っています。

ヨーロッパは楽しい

3つ目はただの感想のようになってしまいますが、今回のフェスティバルで感じたのは「ヨーロッパは楽しい」ということでした。今回のフェスティバルには様々な国から、様々な人がやってきていて、そこで生まれる文化の違いが面白いと思いました。

インプロでも文化の差が現れるときがあって、例えばLeeのワークショップで「怒りの感情から始める」というシーンをやったときに、日本人の僕としては「これで怒ってると分かるでしょ」という感じで始めたのですが、他の人からは「怒っているように見えない」と言われたりしました。そのあとには

Lee「日本人でももっと怒り表現する人はいる。ガキの使い(Leeはガキ使のファン)のハマダはそうだ」
僕「いやいや、ハマダは日本人の中でも特別よ」

というやりとりもあったりして、それもまた楽しいものでした。

異なる文化の人たちが近くに住んでいる。そして集まろうと思えばわりと気軽に集まれる(調べてみたら日本からの航空費の10分の1くらいで済むらしい)。今回のフェスティバルではヨーロッパの人たちがちょっと羨ましくなったりもしました。

Photo by Daniel Nilsen Bjørneraas

と同時に、様々な国の友達もできたので、「フランスに行くときにはあの人に声をかけよう」「イタリアに行くときにはあの人に」「ドイツに行くときには」と、今後への楽しみも生まれました。今年中はちょっと難しそうですが、また来年にはヨーロッパのインプロフェスティバルに参加できたらと思っています。

まとまらないまとめ

今回はインプロフェスティバルについてまとめてみよう、ということで書き始めてみましたが、分かったのは「まだまだまとまらない」ということでした。それくらい、この1週間は濃厚な時間となりました。

まとまらない部分に関してはこれから日本での活動を進めていく中で、少しずつ血肉になったり、再発見できればと思っています。今後もワークショップは色々とあるので、ぜひパワーアップした僕に会いに来てください。どうぞよろしくお願いします!

最後までお読みくださりありがとうございます!サポートは今後の活動に使用します。