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落合芝地 展@hibi(古河)

今年の10月はやや気温が高いものの素晴らしい秋晴れの空と涼しい風で始まりました。
絶好の行楽日和、そしてうつわ日和でもある10月最初の週末は東京から遠出をして、前々から気になっていたお店へ行ってきました。

行き先は茨城県古河(こが)市にある「hibi」。古河は新宿や上野から電車で1時間ほど北東へ行った町。hibiはJR古河駅西口から徒歩10分のところにあります。

古河駅前は商業施設が集まる典型的な駅前ロータリーですが、hibiがある通りに入るといかにも旧街道な軒並みになります。

この道をまっすぐ行くとhibiはその右手に現れます。

向かいの八幡神社とイチョウの木が目印です。

10月3日からは滋賀の塗師・木工作家である落合芝地(おちあいしばじ)さんの作品展が開かれています。

入ってすぐの窓沿いの棚に形の良いお椀が並んでいます。

見渡すと、青みがかったグレーの壁が印象的な店内です。右に写られているのが落合さんです。

落合さんの椀で一番目を引かれるのが彫目(ほりめ)を外全体に施したものでした。この椀は形もモダンです。

店内は西から陽が差し込んでいます。

こちらはお重。

お重といえばハレに使う厳粛なイメージですが、上に広がる形と面取りや千筋が加わった作りは、全体的に素朴な雰囲気があります。上の段に入れるものと下の段に入れるものを変えたり考えたりして使うのが楽しそうな、日頃の食卓でこそ魅力を発揮するお重だと思います。

落合さんはご自分で木地を加工して、漆を塗られています。なので漆で仕上げてない作品もあります。

落合さんの作るものを見ると今の時代に合うものを作ろうという思いを感じます。
そこには実用性もあります。たとえば、世の漆器には極限までに薄く挽かれた木地を使った極薄の漆器がありますが、それは熱いものを入れると熱さで手に持てなかったり、冷たいものはすぐ温まったりしてしまいます。そこで落合さんはあえて厚みを残すことで温度や保温性のあるうつわにしています。同時に、口縁は薄くして口当たりも損なわないようにも作っています。
個人的には手にした時の重さがうつわを選ぶ大きな基準なのですが、落合さんの作品は底部を厚くしているものが多いため比較的重めです。その厚さも手で持った時の安定感や安心感を考えたもの。手にしっかり感じる重さは心地いいものでした。

hibiのブログでは、落合さんの作品が豊富に紹介されています。

http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5734
http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5736
http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5738
http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5741
http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5744
http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5747 (オイル仕上げの作品集)
http://hibi-zakka.jugem.jp/?eid=5748

魅力をとてもうまく写しとっているので落合さんのマメな仕事ぶりが伝わる形・質感がよく分かると思います。それでもやはり、重さなど実際に手に取ってみないと実感できない良さもあります。

hibiは2007年6月のオープン以来、センスのあるセレクトや作家の個展を古河という場所で営んできたお店。期間中は毎日開いていますので、落合さんの作品が並ぶ今回の機会に訪れてみてください。

hiibi:茨城県古河市本町2-14-6


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