起りたる花吹雪のとどまらず 橋本多佳子

机に向かって仕事をしていたときにふと気づく、窓の外の異変に。思わず声に出してしまった。「あっ、雪」次の瞬間、雪とは違う違和感があった。牡丹雪のようだが軽い。斜めに流れている。密度が濃い。そこで閃いた。これが花吹雪なんだあ・・。これまで張りつめていた神経の糸がぷっつり切れたように、潔くこの世とのお別れ。散りはじめたらすっからかんになるまでノンストップ。あっけないくらい。それゆえに豪華絢爛見事である。

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