寒雷やぴりりぴりりと真夜の玻璃 加藤楸邨

氷の粒と氷の粒がぶつかって発生する静電気が大量に溜まってくると、抱えきれなくなって大地に放出される。ピカッと光り、ゴロゴロと音を立てながらぴりりぴりりとひび割れが入る。地球に覆いかぶさったぬばたまのガラスの半球に、神の一撃が下ったかのようだ。その振動が鼓動に伝わり、同調し、怖れ慄く。神の天罰なのか。その瞬間あたりを明るく照らし、あいも変わらず何事もなかったかのようにこの世は静かに存在する。落ち着け。

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