葱坊主初心はとうに忘れけり 西村勝美

食べきれずに畑に残された葱は、球状の花の塊を作る。それを薄い皮が包む。葉の先に超然と花をいただくとはなんとけったいな。畑の葱坊主はありふれた光景ではあるが、花の在り方としては珍しく心になんとなくひっかかる。そういえば、新しく誓った志をすっかり忘れてしまっていたことにふと気づく。それを潔く認め、反省する。ここで再び初心に返ることもできる。葱坊主を取り、再び植えれば葱はまた再生するのである。

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