鉄線の初花雨にあそぶなり 飴山實

つる性の草花は、風にゆらゆらゆれながら、手探りで、巻きひげの触れる何かを求め、重力に逆らいながら空をめざす。か弱そうでありながら名の通り茎は細く堅く、鉄の針金のように強い。葉桜になったころ、木漏れ日の当たる茂みに鮮やかな花を咲かせる。いつのまに蕾を付けていたのだろう。ある日突然注目を浴びる。桜や花水木を見上げていたころ、人知れず日夜地道に蕾を膨らませていた姿が、自由を求め生きる人には魅力的に映る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?