勿忘草その色の眼の帰化楽士     鳥越やすこ

中世ドイツの悲恋伝説に因み、vergiss-mein-nichtがforget-me-notとなり、勿忘草となった。ドナウ川の岸辺に咲くこの花を恋人のために摘もうとして川に溺れ、この言葉を残した。滔々と流れる川に小さな五弁の青い花を群れ咲かせる勿忘草は、清楚で可憐である。日本を愛するゆえに帰化した音楽家は、勿忘草と同じ目の色をしていた。真っ直ぐに私を見つめる瞳は、純粋で透きとおり、ヨハン・シュトラウスの美しく青きドナウの曲が流れる。





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