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JR北海道完乗した僕が感じたJR北海道の現実

[1]日本全線鈍行で完乗するという夢

 私は今大学3年生の地方国立大学生ですが、大学1年生に四国を旅行していた時に、高知県の宿毛駅でふと、日本全線制覇したいという気持ちが出てきました。日本全国の電車には少しずつですが乗っており、只今JRだけだったら75%以上乗っており、乗ってない区間のほとんどが北陸、関東地方、関西地方、新幹線で日本全国のローカル線にはほぼ乗っているという状態です。(JR九州北海道四国は完乗済)

スクリーンショット (633)

大学生という身分上夏休みという自由な時間が与えられているので、その間にJR北海道の電車に乗っちゃおう!ということで今回の旅を企画しました。

[2]今回の旅行について

 今回の完乗旅行は9/12~9/21の10日間かけました。使った切符は東日本・北海道パスで、鈍行だったら7日間乗れて料金が10800円という乗り鉄にはうってつけの切符で今回まわりました。本当にすべての北海道内の路線まわったのか?と言われそうなので一応下のPDFでどの電車に乗ったかを詳細にかいたPDFを置いておきます。一応全路線鈍行でまわれてると思いますが、まわってないところがあったらコメント欄で教えてください。(新得~新夕張は特急のみなので特急 日高本線鵜川~様似、根室本線東鹿越~新得間は代行バス)

[3]JR北海道は毎年200億円の赤字を出してる会社

 JR北海道の2018年は(経常利益では)198億円の赤字でした。(営業利益では520億円の赤字)JR北海道全体ではホテル業などもやっており、それは黒字で好調ではあるが、鉄道分の赤字を補填することはできていない状態です。JR北海道ではこの状態を変えるために10月から消費税増税と同時期に運賃の値上げを発表しました。(増税除く運賃の値上げは普通やらない)

 メチャクチャやばい状態のJR北海道、、

[4]問題点1:ローカル線だらけの北海道

 JR北海道の旅行計画を経てるのは相当難しいです。特に乗りつぶし旅の場合は乗らなくてはならない路線を鈍行で巡るのは至難の業です。理由はシンプルで1日3本しか走ってない路線、特急電車ばっかり走って鈍行はほとんど走ってない路線、極みつけは1日1本しか走ってないところもあります。要するにそれを全て踏まえた上で旅行計画を作らなければならないです。今回は、旅行計画を作るときから一日10本以下しか普通電車が走ってない路線がゴロゴロ出てきました。というより10本以上走ってるところのほうが少ないのではないかと感じるぐらいでした。

 ついでに今回旅行した9月の中旬はJRでは閑散期とよばれており旅行する人が少ないです。ですがJR北海道に限っては9月使える東日本・北海道パスがあるため鉄オタもそこそこいました。

 さて、今回の旅行では1日目に廃止が噂されている留萌線に乗りました。留萌線は深川駅から出ている超ローカル線です。全国のローカル線に乗っていると大体以下の3つの特徴が見えてきます。

①通学の時間帯は学生だけで一杯になり朝の時間帯は学校の最寄り駅で一気に人がいなくなる。

②通学以外の時間では都市部の駅以外ではほとんど人の乗降がない

③昼に走る電車がほとんどない(②の理由により)

さて、僕が乗った電車は深川18:09発留萌行です。ちょうど部活終わりの高校生が1両の電車に席が埋まる程度には入っています。北一已(きたいちやん)秩父別では学生が数人降りて、一番多く学生が降りたのは沼田町の中心部である石狩沼田駅でした。学生がいなくなった寂しい電車は5人を乗せて途中駅に誰一人降りることなく留萌駅につきました。まずこの時点で①の条件は満たしています。

そしてそのあと留萌発20:20発深川行の最終電車に乗り込みました。4人だけ乗車しており深川発の18:09発の電車にも乗っていた僕と同じ乗り鉄と思われる女性一人、サイクリングで観光で来ただろう人が一人、地元客一人、そして自分一人という構成でした。この電車は地元の客が一人幌糠で降りる以外は全員深川まで行きました。途中で乗ってくる人はいませんでした。この時点で②が成り立ちます。

 そして昼の電車(10:00~15:00だとする)と深川発の電車は11:10と13:24の2本だけ(1日8本走ってる)なので③の条件も成り立ちます。

 晴れて留萌線は①~③の条件を満たすということがわかりました。大体どのローカル線もこの3つの条件は当てはまりますが、③はもっと少なくなるとお昼の電車だけでなく1日の電車の本数が3本とかになります。

留萌線は実際に大幅な赤字で営業係数が1970円(2017年度)となっています(営業係数とは100円稼ぐのに何円かかるかです。例えばドル箱路線のJR東海の東海道新幹線は営業係数が60.8円なので100円稼ぐのに61円必要ということになります 留萌線は100円稼ぐのに1970円必要だということになります)

実をいうと、JR北海道ではぼくが言った3つの条件を満たす路線だらけで存続が危ぶまれる路線がかなりあります。

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 上の図を見てもらえばわかると思いますが半分以上が協議の対象となる可能性がある区間以上であることはわかると思います。それぐらいJR北海道はやばいです。留萌本戦のようなローカル線、その一歩前の路線だらけであるということは頭に入れといてください。

[5]問題点2:全路線赤字(ドル箱路線がない)

 JR東日本には山手線、JR東海には東海道新幹線といったようにドル箱路線があります。JR北海道にはドル箱路線というのは存在しません。一見、札幌近辺はドル箱路線だと思われるかもしれませんが、実際は赤字です。営業係数が106となっているので赤字です。これの意味する言葉はJR北海道は全路線で赤字であるということです。新幹線も新函館北斗までしか通っておらず、札幌までいけないということもあり赤字となっています。

[6]問題点3:メチャクチャ路線が長くて雪が降る

 JR北海道の路線はとにかく長いです。よくTwitterとかでも北海道の大きさを比較するツイートを見ますが、その北海道の端から端まで走っているので当たり前ですね、、w 実際に旭川(北海道の中央部)から稚内(北端)まで行ったのですが、鈍行で6時間5分直通便でかかりました。距離にして259.4kmです。もちろんこれは北海道のごく一部の路線です。車窓はかなり見ごたえが多くてとても楽しかったですが、、(笑)。JR北海道の合計距離は2448kmです。しかもこのすべての路線が赤字というわけなのです。ついでにこの距離はJR東海、四国、九州の営業距離よりも長いです。

 鉄道会社は電車を走らせとけばOKというわけではなく、保線という線路をメンテナンスすることも必要で、踏切が壊れたら踏切の交換をしたりすることも大事な業務の一つとなります。除雪費用はとても高額となり、JR北海道の財政を圧迫してる一つの原因となっています。しかし冬季運休をしているJR西日本の木次線とは違って、車では雪が怖いから、普段は乗らない電車に乗ることをする地元民が多い北海道ではこの時期に休業することも出来ないです。

 単純な話で距離が長くて、冬に雪が降るJR北海道は保線費用が嵩むのも仕方ないことではあります。ここを削ると事故が起きたときに大きく責められる(実際JR北海道は最近事故を起こしている)のでこの部分は減らせません。

[7]問題点4:地元住民が使わない、そして使えないへ

 私も地方に住んでいるので実感するのですが、田舎の人は近距離で電車を使いません。たいてい車です。名古屋にいたときは気軽に地下鉄なんかを使って友達と遊んでいた記憶があるのですが、田舎の場合は30分に1本とか,1時間に1本とかになります。まだその時間ならば日常の足として使う人もいますが、私の感覚だと2時間に1本以下になると学生以外の普段の足として使う人が激減する気がします。

 ローカル線あるあるなのですが皆が車を使うと、どんどんローカル線は使われなくなる。使われなくなると便数が減る。便数が減るとさらに使われなくなる。そうするとさらに便数が減る。の繰り返しになります。それの最終形が浦臼~新十津川の1日1本という感じです。

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↑網走駅での電車利用促進を訴えるポスター こういうポスターが北海道にはたくさん貼られている

[8]問題点5:鉄道無くても別に大丈夫

 今回、特に忘れられないことがありました。北海道旅行2日目に、朝の通学時間帯に富良野から東鹿越まで電車に乗り台風の影響で代行バス区間となっている東鹿越~新得まで代行バスに乗りました。この区間は主に、学生が富良野から電車に乗り、東鹿越でバスに乗り換え幾寅駅まで行き、近くの高校まで歩いて通学するというのが一般的な地元学生の使い方です。その日の東鹿越からの代行バスでは学生と観光客の2人組と僕がそのバスに乗ってました。さて、そのバスは幾寅駅に着いたとき学生が誰も降りませんでした。僕は頭の中で「なんで降りないのだろう?」と不思議に思いましたが、バスが幾寅駅を発車した2分後に答えがわかりました。学校の前でいきなりバス停でもないのでバスが停車しました。ここで学生が全員降りました。私は「あーそういうことか サービスでこれやってるのだな」とただ思ってましたが、それをみた観光客が笑いながら「これ鉄道要らなくない?バスの方が便利じゃん」と言いました。それを聞いたときに的を得ている発言だと思い、鉄道がバスに負けたと思い、落胆しました。確かに、電車は路線の上しか走れないので少ない人数ならバスの方がそれぞれにコミットした使い方ができることを身に染みてわかってしまいました。観光客でさえそう思ってるのだから地元住民はもっとそう思っているのだろうと感じました。

 私は7日目に夕張を観光しました。夕張観光もかなり衝撃的だったのでnoteにまとめてあります。さて、夕張では2019年4月1日に夕張と新夕張を結ぶ電車が廃止になりました。そこから半年ぐらい経っているので地域住民の人に電車が無くなって困ったことはありましたか?と聞いたところ全員が「困ってない もともと使ってないから」という感じの答えでした。一人だけ「冬の時期になるとどうなるかな 今は困ってないけど」という返事でしたが少なくとも今の時期は困っていないという感じの答えでした。

 いまのJR北海道の路線は無くなっても地元住民にとってそこまで困らないというのが本音ではないかと感じました。

[9]鉄道を残す意味はあるのか?

 地元住民が必要ではないという鉄道を残す意味はあるのか?という問いが出てきます。私は十分にあると感じています。理由は単純です。輸送力があるからです。これは私個人の意見であることを最初に断っておきます。もし電車が無くなった場合バスがその代役を担うことになります。その代役を担うバスにも運転手が必要です。しかし只今、バスの運転手不足がどこでも話題になっており、すぐにバスの運転手が用意できるわけではないのです。

 田舎の運送は基本トラックで行われています。そのトラックの荷物を電車が一部分やるだけでも大きな効果になると感じます。実際に宗谷本線では貨客混載を行っているがそれが収入源にもなっています。トラックの運転手も有限であり、不足していると言われています。この先、今までの運送形態が維持できるとはとても思えないです。その時にローカル線はそれの一助となるのではないかと強く感じています。

 私自身、風情のためだけに電車を残すのに無理を感じています。とくにJR北海道の旅行を行ってからは。そのために現実的な提案を一つここに置きました。

[10]これからのJR北海道

 北海道新幹線が札幌まで開業するのは2030年度末を予定しています。そして2031年までに経営黒字化を目指す考えでJR北海道は考えています。ホテルなどの事業をさらに広げることや東京札幌を4時間半で結ぶことなどを経営案に盛り込んでいます。

私自身大事だと思っているのが2031年までに地元住民が「電車ってやっぱり必要だよね」という考えに変えていくことだと思っています。そのためには各地域から札幌までの輸送力強化をやることが大事だと考えます。それをすると一気に北海道新幹線開通により、北海道外へのアクセスが良くなり、一気にバスとの格差を示すことができます。実際に九州新幹線の例ですが、熊本大阪間の鉄道シェアが開業前は19.9%だったのが開業後48.5%となっていて、鉄道としての力を見せている事例もあります。この輸送力強化では根室など特急の走っていない地域にも特急を走らせてほしいという願いがあります。そうすると一気に北海道全体が活性化するのではないかという思いがあります。もちろん難しいのはわかりますが、、。

 特急を走らせるのが難しい赤字ローカル線では[9]で書いたような貨客混載の残し方が一番ベストだと考えます。一番の理想はそんな残し方ではなく、本数を1時間に1本に増やして地元住民に使ってもらうという方法がいいのですが、それもなかなか現実的ではないのだろうなと思ってしまいます。

 とにかく今まで通りのやり方では存続も難しいので、なにか思い切ったことをしなければならないと強く感じています。

[11]すてきな北海道

 思いのほか長く記事を書いてしまいました。ここまで、お金の話とかしてしまいました。実際は北海道が大好きで、全部の路線をどんな形でもいいので残してほしいと思ってます。素敵な景色ばっかりで本州の景色しか、しらなかった僕にとっては衝撃の毎日でした。そんな僕が撮った北海道の写真を何枚か紹介してこの記事を終えたいと思います。JR北海道の幸せが続きますように♪

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↑牧場の中に駅がある日高本線・絵笛駅(災害休止駅) とてものんびりとした駅で全国の駅の中で1番好きになりました(日高本線がなくなる可能性が高いのでもう一回行かなきゃなと強く感じてます)

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↑海の近くにある室蘭本線・北舟岡駅 海の匂いがいまも忘れられないです

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↑宗谷本線・糠南駅 周りは牧場です 周りに1軒も家がないですが、居てて全く飽きさせない駅でした

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