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財政破綻した夕張市を観光してみた(廃墟、石炭博物館、旧夕張駅etc..)

[1]夕張市の概要

 夕張市はメロンで全国的に有名な北海道中部にある市です。僕の所属している中国地方の地方国公立の大学生でも80%以上の人が知っていたのでたぶん世間ではかなり有名です(笑)

 夕張市は昔炭鉱を主要産業としていて街全体がにぎわっており、最盛期の1960年度には11万6908人が夕張市に住んでいました。そこから、炭鉱の斜陽化が進み人口は確実に減っていきました。そこから夕張市は「炭鉱から観光へ」というスローガンによりスキー場、ホテル、遊園地などを大規模に建てました。この後は想像通りですがそれにより赤字となり財政破綻となりました。そして財政破綻により人口減少も加速度的に増え、今の人口は7939人となっています(2019年8月)

 そんな夕張市を9月の平日(2019/9/18)という、メロンも紅葉もない丁度閑散期の時期に観光してきました(リアルな夕張が見れる時期だと思います)

[2]財政破綻とは?

 一言でいうと会社でいう倒産みたいなものです。借金額は353億円です。ついでに夕張市の税収は8億円で毎年の返済額が26億円となっています。そのため、たくさんの税収が必要になるために行政サービスが悪くなっていきます。(例:水道代が普通のところの倍になったりする)

 あと一つ変わるのが、お金を自由に操れなくなるという点です。財政破綻というのは財政再生団体(当時は財政再建団体)の指定を受けることです。これによってお金は国の監視下に置かれます。要するに、なにかお金を使おうとしても全て国の許可がいります。それは市立幼稚園の臨時職員を雇うかどうかの小さな議論でも白熱するらしいです。それについては↓の記事が緊迫感をもって書いているのでそちらに譲ります

[3]夕張市に行くには

 僕が夕張市に訪問したときは、JR北海道の全線完乗旅行の途中でした。その記事はリンクとして貼っておくのでぜひ見てください。前日に苫小牧で泊まり、当日石勝線で新夕張駅まで行きました。さて、夕張市の中心地は新夕張ではなく夕張です。下の地図上では石勝線が夕張まで続いていますが、夕張から新夕張は廃線(2019年3月31日廃線)となっているので新夕張からはバスでの移動が主となります。(以下の文章では下の地図を使って説明していきます)

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[4]南部青葉町

 今回、夕張観光でぜひ行ってみたかった地域がありました。それは南部青葉町です。南部青葉町には明らかに人が住んでいない廃墟が並んでおり、Youtubeを漁っているとその地域を訪問している人も多く興味がわきました。

南部地区には新夕張駅→清水沢(夕鉄バス)清水沢→南部(予約のデマンドバス)と乗り継いでいくと、行けます。(南部地区というのは夕張市の南部という意味ではなく鹿島地区を中心とする大夕張の南部に存在するという意味です)

南部地区には三菱大夕張鉄道の車両保存がされており、とても丁寧に地域の人が掃除をしているのだということは伝わりました。

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さて、その後は廃墟で有名(?)な南部地区青葉町に行きました。この青葉地区には鉄道保存場所からガソリンスタンド、郵便局の横を通って15分ぐらい歩けば着くことができます。

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写真を撮るのが下手くそなのですが、要するに地域一体こんな感じで廃墟だらけになっています。そんな青葉町の中でも有名な建物があります。

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 他の建物はすっかり廃墟の感じになってますが、この建物はいまだしっかりと建っており一際存在感があります。

この家は夕張保険殺人事件の実行犯である夫婦が経営していた事務所となっております。詳しくは↓にリンクを貼っておきます

 そんな、いわくつきの建物もある青葉町は、昔は青葉町商店街として栄えていたのだろうと予想できます。1991年の青葉町の様子(この時期にはもう廃墟になっているが)をうつした動画もあり、今の廃墟の様子とかなり違うのもとてもよくわかります。

 さて、青葉町から出ようとしたときに道道(県道みたいなもの)を通ってたトラックがいきなり僕の近くに止まりました。正直内心はびくびくしましたが、運転手のおじさんが「今日熊見つけたから気をつけてなー」という一言を言って青葉町の方面にトラックを運転していきました。とてもやさしい口調だったのでとてもホッとしました。もしかしたら青葉町の数少ない住人の方(?)なのかなとか、予想はいろいろできますが実際はわからないです。ですが、明らかに観光客の方ではないので、まだこの街を必要としている・携わっている人はいるのだということは実感しました

[5]夕張市街サイクリング

 バスで南部から清水沢に戻った後は、旧夕張駅近くの夕張市街地をぶらぶらしてみようと思いました。旧夕張駅のすぐ真横にホテルマウントレースイがありそこでは宿泊客でなくてもレンタサイクルをすることができます

サイクリングではあまり予定を建てず、ぶらぶらと市街地を回ろうと思いました。 市街地を回るときは、僕はあまり頭を使わず大きい道から出てる細い道を出来る限り奥まで進むということをします。まず最初にまわったところは旭町です。(下の地図の本町,初住の近く)

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 正直、僕の想像以上の廃墟具合でした。僕の想像では青葉町以外はそんなに廃墟にはなってないという予想でしたが認識が甘かったです。

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 明らかに住んでいない家が道路に面してずーっと並んでました。正直、映画のロケ内に迷い込んだ感覚を持ってしまいました。自然に帰っていく状態を見るというのも悪くはないですが、、

[6] 夕張市役所周辺

 さて、廃墟に愕然としたあとは夕張市役所とその周辺を漕いでみました。まあさすがに、市役所の周りには廃墟はもうないだろ~って思っていたのですがその認識はすぐに消えました

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 夕張に住んでいる方のブログに書いてあった「廃墟が大好きなのでワクワクしていたが、町全体が廃墟だと飽きる。」という感覚が少しわかった気がした

 さて、廃墟がいくら多くても市役所は立派でしょ!っとおもって市役所にいってみました

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 上の写真2枚とも市役所なのですが、外見の補修などがされていないのが明らかにわかります。さらに人通りが全くないのがとても気になりました。なぜか、中に人はいるはずなのに市役所全体が廃墟に見えてしまう錯覚を起こしてしまいました。

 あとかなり衝撃的であったのが市立夕張図書館です。今は図書館としての機能はなく、廃墟となっています。

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 今は、夕張保健福祉センターの中に図書館があるため図書館が市内にないわけではないです。しかしながら、それは小規模なものであり、施設全体が図書館であるようなところは存在しないです。これについての問題点は↓のリンクに細かく書いてあるのでぜひ読んでほしいです。

 今回のサイクリングにおいて財政破綻するとどのようなことが起こるのかをまざまざと見せられました。廃墟の処理も出来ないし、教育のためにお金を出すこともできなくなる。そして人が出ていく。そんな負の連鎖が出てくることがとてもよくわかりました。

[7] 石炭博物館

 さて、廃墟を見終わった後は夕張市の観光名所にもなっている石炭博物館に行きました。石炭博物館は下の地図の石炭の歴史村にあります。

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  石炭博物館は夕張市が2017年に展示部分を5億円かけて改修をした、夕張市の一大事業であった(だろう)。借金をしており、市の職員一人雇うことでさえ大変なのにそれを行ったのだから相当な思い入れがあったのだろうと感じます。

館内はとても綺麗で、展示自体はとても面白く、センスもとても良いなと感じました(館内写真自由に撮ってOK)

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 上の展示はとても良いなーと素人ながら感じました

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 さらに写真を使ってかなり夕張の歴史を紹介したり、、

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 実際に炭をどうやって獲っていたのか?という展示などもマネキンを使ってかなり細かく書いてありました。

 施設自体はとてもよく夕張の炭鉱の歴史が学べる場所だと思いました。

この施設の一番の目玉が模擬坑道です。この模擬坑道は2016年に2億7千万円をかけて改修工事をしたそうです。模擬坑道は実際に明治時代に使っていた坑道らしく(Wiki情報)かなり見ごたえがある施設らしいです

 ですが、2019/4/18に火災が起きました。この火災によって本当の石炭の層にまで火がうつりました。石炭の坑道で火災が起きると、石炭がすべて燃えるのを待つ、もしくは水を入れて火災が収まるのを待つの二つしかなくなります。結果水を入れることになりましたが、被害は相当大きく、今回私が行ったとき(2019年9月)にはその展示は見られませんでした( ;∀;) お金をたくさん使って好評だった施設が無くなる夕張市の苦労が携わっていなくても感じられます。

 出火原因はどのサイトにも載っていなかったですが、たまたま話した地元住民いわく春のオープンに向けて、進めてた工事(溶接?配線工事?)をしていたら火花が原因で出火したって聞いたっておっしゃっていました。これは定かではない情報ですが、、

 石炭博物館への支援はふるさと納税で出来たらしいのですが、長期化が予想されることなどの理由で今は出来ないので、今私たちが出来ることは石炭博物館にいくことかなと思います。

[8]夕張市の未来

 夕張市を観光して特に感じたのが人々が温かいという点です。私のような部外者にも優しく夕張のことを教えてくれる人がとても多くてびっくりしました。

 そして、そんな住民たちがみんな言っていたのが若い人がいないという点でした。地元の人がこんなこと言ってました。「夕張は昔17個の小学校があった。炭鉱1つにつき小学校が1つあったんだよ。 炭鉱も無くなって、人が減って、財政も傾いて、今は1個しかない。1個もどんどん人が減っていっている みんな札幌に行っちゃうんだよね、、」と寂しい表情をしていた。この人に限らず、今の夕張市は若い人がいない。だから街に活気が出てこないというのをみんな言っていました。

 話は変わりますが地方創生の話をすると、都会の人ほど「みんな出来るんじゃない?」と言います。しかし、田舎の方になっていくほどみんな「難しいね、、」と言う傾向があります。さて、財政破綻した夕張の市民はどう言ったのかというと「無理だね、、まぁ無理じゃなくても相当難しいよね、、」と言っていました。要するに、身近にこの問題があるかどうかで扱い方が変わるということです。

 私自身大学で地方創生をかじっているのでこの現状はどうしても無視できませんでした。この地方創生の問題を日本全体の問題として共有していくことが大事なのではないかと感じました。まぁ、どうせ都会の人たちはそんな問題興味すら示さないだろうが、、(笑)。

 今、日本は人口が減少していっています。田舎が崩壊していく未来が僕は見えます。もし、田舎が壊れていったら、少しずつ都会の負担が大きくなっていきます。これはどういうことかと言うと、日本の領土として支えていくのを、たかだか数個の都会だけで支えるのは無理が出てくるのでは?ということです。まあ、これはザックリとした話ですが。

 日本全体で、夕張市のように財政破綻した都市を作らないこと。そして一人一人で小さな支援をしていくことが大事なのではないかなと考えました。

 そうすることで夕張市の未来が開けてくるのではないかなと感じます。

[9]最後に(旧夕張駅)

 最後に固い話で終わるのはあまり好きではないのでおすすめスポットをもう一つ紹介します。それは旧夕張駅の駅舎内にある喫茶店です。ここの店員さんがとてもやさしく、フレンドリーに話しかけてくれて気軽にいろんなことを聞けました。

 レンタサイクルをするときに荷物が多くて困っていたのですが、荷物を置いていっていいよといって頂けて、荷物を預けてくれたのはとても助かりました。

 喫茶店の中には夕張駅の写真や鉄道グッズなどがたくさんあってとても面白かったです。

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 さて、ここでサイクリング前にお食事(ランチ)、サイクリング後にお菓子を頂きました。そのお菓子がとても美味しく、店主のお子さんがやってらっしゃるお店で札幌では人気のお店らしいです。

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 夕張市は観光すると非日常な日常が見れます。そんな夕張市を観光してみたいと思いませんか? 皆さん是非!夕張へ!

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