ひまわりが「自由と正義」の象徴とされているのはどうしてなんでしたっけ?

 弁護士バッジには,「ひまわり」と「はかり」があしらってあります。  日弁連の公式HPによれば,弁護士バッジに配してある「ひまわり」は「自由と正義」を,「はかり」は「公正と平等」を象徴しているとされています。

 しかし,なぜひまわりが「自由と正義」なのでしょうか。そもそも,太陽の方を向くことを強いられている(?)ひまわりが自由なんですかねえ?
 wikipediaによれば,ひまわりが日本に伝来したのは17世紀ということです。その時代に来たものが日本でだけ「自由」だの「正義」だのの象徴になるとするのはちょっと違和感があります。なので,たぶん舶来の概念だと思われるところです。
 そう思って"sunflower justice"とかでぐぐると,カンザス州の最高裁の話ばかり出てきて,よく分からないという(なお,カンザス州の愛称は"The Sunflower State")。
 花と言えば花言葉,ということで,ひまわりの花言葉を調べても,「私はあなただけを見つめる」「愛慕」「崇拝」くらいしか出てきません。英語版でも「adoration(愛慕、崇拝)」「false riches(偽りの富)」とされているようで,全然正義感がありません。「インカ帝国の神殿に仕える巫女のひまわりを象った金の装身具を略奪したことから『偽りの富』とされる」などと説明されてますが,そこには誰の視点からも正義は存在しません。

 そんな感じで長年,疑問に思っていたのですが,かつて日弁連に問い合わせをしたことを先ほど思い出しました。本当にさっき。
 そのときのやりとりを引用します。なにせ5年前(!)なのでリンクが死んでいるのはご愛敬ということで。

先日,法教育委員会の活動の一環で,弁護士の職務を説明する機会があり,バッジを見せて,その意味合いを教えることがありました。
日弁連のサイトには,「ひまわりは正義と自由を、秤は公正と平等を意味しており」とあります。
そのように伝えたのですが,秤は分かるのですが,どうしてひまわりが「正義と自由」の象徴とされているのでしょうか。
子供に説明する際に疑問に思いましたので問い合わせをした次第です。

(サイ太) 先生

日本弁護士連合会です。
メール拝見いたしました。

弁護士の記章は、弁護士記章規則により「16弁のひまわり草の花の中に秤1台を配する」とされています。
「向日葵はサンフラワーとして正義の象徴であり、また秤は、衡平の象徴であるとしてこの意匠(デザイン)が選ばれたとのことである。」(法務沿革誌の昭和24年10月16日の項に日本弁護士連合会弁護士記章規則制定との記事があり,そこにコメントされています。)と説明されています。

参考までに日弁連作成パンフレットを御紹介いたします。
(弁護士の仕事について分かりやすく説明しています。)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/booklet/himawari.html

日本弁護士連合会

※こちらのメールアドレスは送信専用ですので返信できません。

 これを見ると,「ひまわり」が「正義の象徴」であることから弁護士バッジに採用されたことはわかりますが,結局,「なぜひまわりが正義の象徴なのか」という問いに対しては全く答えになっていません。
 それどころか,「ひまわりが正義の象徴のみならず,自由の象徴であるという話はどこから出てきたの?」という新たな謎が出てきてしまいました。

 なお,聞き慣れない「法務沿革誌」というのは,法務省大臣官房司法法制部による政府刊行物で,法務省所管事項等についてまとめたもののようです。この文献になにやら情報があるかも知れません。
 今度,弁護士会図書館に行ったら「法務沿革誌」の原典や「自由と正義」の創刊号あたりを当たってみようと思いますので,追って報告します。

 なにっ,バッジを見せたのは法教育委員会の活動ではなくて合コンじゃないかって?

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