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なんちゃって無職な7日間のこと





も〜〜〜やってやれねぇ〜〜〜! この小さい世界から抜け出したい!!と仕事終わりにライブハウスに行った夜があった。夜がやっと涼しくなり始めた頃。
汗も飛沫も飛び交う空間でウイルスをもらってしまい、無事に(?)流行り病に感染した。
寝込んで誰とも会わずに過ごすとどうしても気持ちのやり場がなくなり、それにとてつもなく暇だし、毎晩日記をつけるくらいしかルーティンがなくて。
なんちゃって無職の記録。

(ちなみに、救いを求めて駆け込んだライブハウスはサイコ〜〜〜だった。KOTORI、愛してるぜ!)






2日目
今回はインフル。実に10年ぶりのインフル。高2春休みの部活の合宿でどわ〜っとインフルが出て、合宿終盤にその波に乗っかったことを思い出した。当時の顧問は感染者2人を自分の車に乗せて、バスとは別で学校に帰ったような。自分だったらそこまでできるのかなぁと思う。 とにかく、久しぶりの流行り病は耐性がない分感度120%で大暴れしてる。身体が痛い。身体を起こすとふらつく。そんな感じ。
昨冬はコロナで5日くらい無職になり、あの時もあれやこれやと暇を潰したんだった。(誰とも関わらずに1人で過ごす数日間、もう2度と経験しないだろうなぁ…なんだか1人で異国に来たみたいだ)って思ったけどまさか2回目があるとは。 暇だな〜元気になったら何をしようかな。また海沿いドライブにでも行きたいなぁ。
お腹も空かないし、横になってるほうが楽だし、本を読む気力もないのに、なぜか数独はできた。夜に無心でナンプレった。暇人だな〜。
公園でよく会ってたおじいは今日も電話で安否確認をしてくれた。電話の向こうで柴犬も元気に吠えていた。私に肉を食べさせたいのだろう、「焼肉買って届けましょうか」って言ってたけど丁重にお断りした。前みたく、焼肉と一緒にウイスキーと炭酸水と氷も買ってきてくれそうだから。




3日目
日付と曜日が分からなくなってきた。もはや何が3日目なんだ?何をスタートに3日目のカウントなんだ?  
今日から平日だったようで、一日中まったりと仕事の電話とか連絡をした。 私が持ってる名もない仕事を数人に振ることになる。私がいなくても職場は回るけど、私がいないと色んな意味でゆとりが失われるはず。申し訳なさと同時に、(普段私がやってる名もない仕事を少しはわかってくれたら)の意も浮かぶ。どうも、強かな女です。
朝イチでゴミ出しに行き、昼間元気な時は資源ごみをまとめ、なんとか1日をやり過ごした。午後、ふと雨の気配を感じてリビングのカーテンを全て開け、そこに椅子を運んで自然のダイナミックショーを堪能。空が突然暗くなり、冷たい風が部屋に入り込み、「ポッポッ」からすぐに「ッザーーーッ」と強くなる雨をただ眺めた。10分くらいしたところでお隣さんが帰宅して(やべっ)とカーテンを閉めたけども、あの10分はとっても贅沢だった。 どんな教科書よりもどんな天体観測よりも大迫力。
1人で部屋にいるととにかく独り言が多い。気づくと喋っている。体調お大事に、の連絡を数人の上司からいただいて心があったまった。




4日目
ほぼ寝てた。ちゃんと具合が悪かった日。爆速で復帰したら明日から仕事に行こうと思ってたのに、それは諦めた。
もう4日経つのにナチュラルに発熱している。放っておくと39度まで上がる。インフルエンザウイルス、つよつよだな。



5日目
朝イチで資源ごみを運んだ。3往復は必要そうだったから車で。数日ぶりに乗る車は新鮮で、(私の相棒おはよ〜!)って思った。
そのあとはずっと強い雨が降り続いて、夕方その雨の中コンビニまで行った。最近のコンビニはほんとすごい、野菜たっぷりのスープや小鉢が何種類もあるし、ビタミンミネラルを美味しく取れそうなジュースと栄養ドリンクだってたくさんある。 あれが良いな、これも良いな、と目についたものをカゴに入れてお会計をした。その後家で夕飯を食べ終えた時(あ…今日の楽しみが全部終わったわ…)と気づいて寂しくなる。コンビニまでの外出と食事だけが楽しみだなんて、病人の末期だろうよ。早く元気になりたい。
ばあちゃんに電話をかけた。丁度昨日、中学の同窓会に出かけてきたと教えてくれた。高原の温泉に御年80になる同窓生が数十人集まって、夜は当時近所に住んでいたルミ子ちゃんと同じ部屋だったと言っていた。ばあちゃんの若かりし頃の話聞きたい。初恋の相手は現れたのか、聞きたい。治ったら会いに行こうっと。





6日目
異動した元上司からの着信で目が覚めた。朝からウケる。 電話を切るとスッキリした秋晴れの空が窓からのぞいていることに気がついて、更に、あら、なんか体も軽いぞ??と驚いた。憑き物が落ちたかのように体が軽くて超元気。ウイルス吹き飛ばしたみたい。やった〜!
ベッドシーツと枕カバー、あと部屋着を洗濯機に放り込んで即洗った。 家中の窓を開けて換気した。 体が元気になると急にあれこれしたくなる。本読みたいしギター弾きたいしコーヒーだって飲みたい。まずは秋晴れを堪能したい。ということで午後からドライブに出かける。
海沿いを南下。たまに行く天国みたいなビーチに着いた。いつかの冬はここに追憶のために来て、今年の海開きには気になっていた人と2人で来た。今振り返れば最後のデートだった。 天国みたいだから好きな人と来たくなる海だけど、結局1人で自分だけのために来る時の方が満たされる。堪能できる。 人生そのものもそれとおんなじなのかなぁと思う。  そこから更に南下して、マイナーゆえにこれまで行ったことのなかった景勝地に辿り着いた。もう3年半も住んでいるのに初めて見る景色に出会えるんだから田舎生活は面白い。とウキウキしたはずが、展望台にたどり着いて(あれ…??)とオロオロ。初めて見るはずの景色に見覚えがある。すぐにわかってしまった。最後のデートをした例の人のラインのホーム画面が、ここだった。 あの人ここに来たことあったんだ、なあんだ、言ってよ、もっとあなたのこと知りたかったよ。って悔しくなった。   「初めて見るはずの景色に見覚えがある」なんて、とんだ魔法をかけられたものだ。




7日目
土曜日らしい。職場にこっそり行って仕事を少し片付けた。無職、これにて終了…!
週明けは予定がぎっちり詰まっていて、だから今日のうちに少し整理できてホッとした。私が帰る頃には他の休日出勤勢はもう帰っていたから(施錠して私も帰ろ〜)と警備と施錠の作業をカチャカチャ。カチャカチャ。あれ、警備が始まらない。ロックがかからないみたいなあれ。警備会社に電話をかけると「どこか開いてるんじゃないですか?」と言われ、でもどこもかしこも全て閉めたし…。 結局、少し前に帰った同僚に助けに来てもらった。この頼れる同僚を待つ10分間、王子様を待つかのようなキラキラした気持ちだった。燦々と日が降り注ぐ玄関で王子様を待つだけの、贅沢な時間。彼が来てくれたおかげで職場の脱出成功、操作に少しコツがいるってだけの話だった。
私がインフルで寝込んでいる間の仕事をほぼ請け負ってくれたのもこの頼れる同僚だから、この人には絶対に幸せになってもらいたい。

8日目
朝起きて元気なことを確認する。もう本当に、ウイルスが体から抜けるとすっかり元気。
元気なことは良いことだ!とブランチに取り掛かる。
買った直後にインフルにかかったせいで、賞味期限ギリギリになったお肉屋さんのレバーペーストの出番!
君を待っていたよ〜。肉肉しいかおり。
昨日買っていたバゲッドを焼いてモリモリなブランチ。
もう一度言わせて、元気なのは良いことだ!!

ほっぺた落ちた〜〜!





この後無事に回復して、地元のフェスに行ったり、投資家彼氏と2度目のお別れまでのカウントダウンをしたり、はちゃめちゃなマスに当たりながらなんとか生きている。
綴りたい日々が重なっていくけど、それを文字の起こす前にエネルギー切れして眠たくなる毎日。
それもまあ、生きている証。



みなさんも、感染症にはお気をつけて!




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