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全身小説家

虚構と虚勢、弟子の前で弱気な態度を見せない「全身小説家」井上光晴。
長年恋仲にあった瀬戸内寂聴を家に招き入れ、それを許容する妻。
井上の病気を心配する寂聴、敬語を使い続ける井上、それを横目に微笑みながら家事をする妻。

奇妙で誰が本当のことを言っているのか、一番怖くて強いのは寡黙な妻なんじゃないかとすら思わせる。

カメラの前だから全員がリラックスしきってるわけでもないのか。井上の言葉を聞きながら、裏では井上光晴の年譜の「ウソ」を裏取りし続ける原一男監督。

虚構と現実の皮膜の面白さ。
プロレスと格闘技に魅了されてきた僕の原点をここまで突き詰め続ける監督含む演者達。
ドキュメンタリー映画の合間合間に挟まれる、井上が語った「虚構」の少年時代の再現V。

映画中に亡くなる井上。
弔辞で「性抜きの男女の友情というものを実現してくれた」とうそぶく(?)寂聴。

その後に遺影の前でお辞儀する妻。

それを遺影の裏から映すカメラ。
あっ、失礼、キャメラ。

ドキュメンタリーはフィクションで僕らなりのフィクションなんだ。

その皮膜を行き来する「面白さ」に取り憑かれた監督は今年、自身の作品『水俣曼荼羅』が受賞した際、アナウンサーに「水俣関連で言うと他にも素晴らしい作品がありました」
「え?あの作品のどこが素晴らしかった!?」
とキラー全開。

ドキュメンタリーは差別されている。
とすら思う監督の矜持と怒り。

劇映画でも本当のことを映し出す作品もある。
ドキュメンタリーでも安っぽい噓しか映さない作品がある。

だったら同じ土俵で戦わせろや!

これが監督のファイティングスピリットだと受け取った。

#監督の喋り方はチャーミングでそこも怖い


【告知】

2022/6/24(金)
エル・カブキ60分漫才で上半期を振り返る 「燃えよカミハン」
【時間】18:30OP/19:00ST
【会場】新宿バティオス
【料金】
配信付き前売り4000円
前売り3000円/当日3500円
配信のみ2500円
・翌日6/25(土)22:00~録画配信(アーカイブ2週間)
※来場希望↓
https://tiget.net/events/179907

※配信のみURL↓発売中 https://twitcasting.tv/c:19850126/shopcart/152221


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