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COVID-19感染症、その治療とは?

色々と治療法が増えてきたので整理したいと思います。

わかりにくいので、戦国時代にタイムスリップした気分で解説してみます。

コロナ軍勢に対抗する我々の手持ちの武器ですが、敵は弓矢を放つ、城壁を登ってくる、城門を破り侵入し城内に火をつけるなどの場面が想像されます((笑))

戦いの方法は、まず侵入をどう防ぐか、そして侵入されたあと敵を増やす勢いをいかに防ぐか、最後に敵に火をつけられたとき如何に消火活動を行うか3点に分けられる。この消火活動の在り方がインフルエンザとコロナウイルスでやや異なることが重要ポイントです。

消火するのにピンポイントに消火器で消せばいいものを、いきなりスプリングクラーが作動して何もかもダメにしてしまうサイトカインストームが起きることがコロナとの戦争で重要なポイントです。

サイトカインは生体内でウイルス感染を制御しようと体内で産生されるメッセージのことで熱が出るのもこのサイトカインの刺激によりもたらされるもので敵が入ったことを知らせてくれるものです。

侵入対策をまとめると

1, 予防手段として主体となるワクチン接種で事前に抗体産生する方法がいいか、間に合わなければ抗体そのものを投与する
2, 城の中に入ってきたウイルスの増殖を止める抗ウイルス製剤
3, 特殊な病態であるサイトカインストームに対抗するためのステロイドやJAK阻害剤など。

1, 抗ウイルス製剤:レムデシビル(商品名:ベクルリー):城内に侵入した敵が一定以上増えたときに城内で増えるのを防ぐ武器。治療適応は酸素が必要になる中等症2でかつ点滴しかないので使いにくい。機序はRNAポリメラーゼ阻害薬でRNAウイルス増殖を抑えるもの


2, イベルメクチン(商品名:ストロメクトール):入口から城内に入る道に穴を掘って落とし瞬間的に鎮火もする。攻めてくる相手はどの軍勢でも対処できる。コロナ以外の幾つかのウイルスにも有効性がある。抗ウイルス作用、抗炎症作用など多面的な作用がある。利点は内服で安価であり元来疥癬治療として実績があり副作用も少ないことがわかっているが、コロナ治療にはまだ有効性が確認できず認可がされていない。


3, ファビピラビル(アビガン):城めがけて輪になり上ってくる敵に対して城壁の上から岩石を落とすようなもの、大きな石を落とすのにかなりの労力が必要。RNAポリメラーゼ阻害薬でRNAウイルス増殖を抑えるもの。内服であるものの内服量が多く日数も長いことが難点、まだ有効性が確認できないので保険認可されていない。

4, 抗体治療:カシリビマブ及びイムデビマブ(販売名:ロナプリーブ):新兵器であり使用には技術がいる。飛んでくる矢を巨大なシールド(バリヤー)でブロックするもの。特異的にブロックするので地対空ミサイルといったほうがいいのかもしれない。飛んでくる矢が多いときであれば有効性が高く、味方にも被害は少なく戦いが有利になる場面も多いが、投与時機を逸すれば効果が出ない、非常に高価である、点滴での使用であるので使用場面は限られる。アナフィラキシーショックの対応も必要である。


5, JAK阻害剤:バリシチニブ(オルミエント):敵があの手この手で侵入してくる隙間を閉めたり、城内に入って火をつけたぼやを消してくれる多面的に有能な内服薬だが、難点は高価であること、副作用が多くて慣れたものでないと使いこなせない武器


6, ステロイド(デキサメサゾン):初期に使うことはなく、城内で燃え上がった火を消すためだけに使用する武器。安価で手軽に使用できる反面、以外と副作用が多いことが難点。


7, 生物製剤:ヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体:トシリズマブ(販売名:アクテムラ):正規では使えず闇でしか使用できない高価な薬。燃え下がる状況に対して強力に鎮火させるパワーを持つが、鎮火の後に霧が発生し残った敵の動きがしばらくの間認識できないことが問題。注意深い観察が必要。感染症悪化のサインであるCRPの反応が鈍くなることに留意。


8, ワクチン:一族のパワーアップが期待できるものであり、飛んでくる矢をブロックもするし、各々が仮に傷付いた場合もいち早く回復し死亡する可能性も低くなる。難点は1回ではだめで3-4週間あけて2回接種してから2週間ほど経過しないと効果が期待できない。したがって効果が期待できるには接種して5週間ほどかかる。感染予防、発症予防、重症化予防などに期待できるが、最近の変異株には感染予防が困難であることが分かってきている。しかし 重症化予防は確実であり5波で死亡例が激減している。

少しは、理解が進んだでしょうか・・・・・

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