[透析]除去率の求め方・使い方

除去率とは?

1回の透析治療により、各種の溶質(BUN、クレアチニン等の小分子物質やβ2ミクログリブリン等の低分子量蛋白)がどの程度抜けたかを、透析前後の血液中の濃度変化から算出する方法。

除去率の計算式は?

小分子量物質と低分子量蛋白(大分子量物質)で計算式が異なるため、以下の2つの式を使い分ける。(当院では、式Aを用いてBUN除去率を毎月計算している。HDF治療を行う場合は式Bを用いてβ2ミクログロブリン除去率を計算するとよい。)

(式A)小分子量物質の除去率R

R=(Cpre-Cpost)/Cpre*100

(式B)低分子蛋白(大分子量物質)の除去率R

R=[1-(Hpre(1-Hpost)Cpost)/(Hpost(1-Hpre)Cpre)]*100

Cpre:透析前の溶質濃度[]
Cpost:透析後の溶質濃度[]
Hpre:透析前のヘマトクリット値
Hpost:透析後のヘマトクリット値
通常、ヘマトクリット値は百分率(%)表記であるが、計算式に代入する際は数値で代入する。(Ht30%の場合0.3)

除去率を実臨床でどう使う?

透析条件が今のままでいいのか、効率を上げたほうがいいのか、下げたほうが良いのかの指標となる。

  • 除去率が低い→毒素がたまるので透析条件を上げる(Qb>Qd>膜面積)

  • 除去率が高い→毒素がへる→いい透析ができている

  • ただし、後述の[計算例;症例2]ように透析前値が低い場合は除去率が低く出るので、除去率が低いからという理由だけで透析条件を上げないこと。

除去率の計算例

★症例1

ラボデータ
透析前BUN:80.0、透析後BUN:15.0、透析前β2MG:35.0、透析後β2MG:10.0、透析前ヘマトクリット:30.0、透析後ヘマトクリット:35.0

BUNの除去率R(式Aを用いて算出)
R=(80-15)/80*100
R=81.25%

β2MGの除去率R(式Bを用いて算出)
R=[1-(0.3*(1-0.35)*10)/(0.35*(1-0.3)*35)]*100
R=[1-(0.3*0.65*10)/(0.35*0.7*35)]*100
R=[1-(1.95/8.575)]*100
R=[1-0.22]*100
R=78%

★症例2

ラボデータ
透析前BUN:40.0、透析後BUN:15.0

BUNの除去率R(式Aを用いて算出)
R=(40-15)/40*100
R=62.5%

症例2では、症例1と比較してBUNの除去率が低下している。このように、BUNの除去率は、透析前(後)値の影響をうけることに留意が必要。突然除去率が低下した場合は、食事量(とくにタンパク質の摂取量)が極端に減った結果、透析前BUN値が低下していることがるので注意する。



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