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#005 3コママンガな紀元前|ウルのスタンダード

 子供の頃は紀元前の話なんて1μmも興味を示さなかったのに、今、読み解いて意味を知ると面白い!そんな変化を感じつつも、今日はこちらを観ていきます。

今回の作品

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War Side of Standard of Ur, 26th century BC
Levan Ramishvili|Flickr

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Peace Side of Standard of Ur, 26th century BC
Levan Ramishvili|Flickr

○予備知識なしで知覚的に観る

 この作品は箱状になっていて、裏表で違うイラストが描かれています。上下両方とも観ると文字数が騒がしくなってしまうので、今回は上の方のイラストを観てみます。

 馬や馬車、鳥?、そして人がたくさん並んでいます。人は腰に刀のような武器をこさえていたり、槍を持って行進しているようです。服を着ていないものからしっかりと武装したものまでいるようです。

 おそらく、戦への行きか帰りの行進を切り取ったイラストなのでしょう。そして、全員が武装をしているというわけではなく、服を着ない人も混ざっている様子。そこまで物資か組織がいない中でも戦わなければいけない状況にあったのかもしれません。

 故郷を守るためか、家族を守るためか、自分にとって"守りたいもの"ができた時、武装あるなしに関わらず戦う、悲しくも勇気を呼び起こさせる作品です。

●知識も蓄えて観る

 これは《ウルのスタンダード(軍旗)》というものです。現在のイラク南部にあるウル王朝の墓地で見つかったものです。軍旗のポールの頂点に乗せて掲げられていたと考えられています。

 3段構成の横長で、下から上に向かって物語が展開されています。今でいう4コママンガのようですね。裸の人はどうやら捕虜らしく、上段中央にいる偉大な王に引き立てられていたりしています。

 また、この偉大な王だけ枠から頭が飛び出ていて、その大きさで権力を持つものと表現しています。大きく描かれている人が偉い、シンプルで分かりやすいです。

 馬に見えた動物はロバらしく、死体を飛び越えていて、軍隊の残忍さと強さを描いています。そして、右に行くにつれて歩幅が大きくなっている様子から、パラパラマンガのように動きを感じられるようになっています。

最後に

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British Museum at sunset
Paul Hudson|Flickr

 上の大英博物館の写真をみると、早く海外旅行に行きたいなぁ~と思います。リアルで観に行く方が、何倍も肌で感じられる空気感、エネルギーがありますからね。それでも、今は図鑑からも十二分に学べるものがあると思います。

 2枚目の方も、良かったらどんなテーマで描かれたのか、考えてみてください。作品にはストーリーがあります。それを紐解いてみながら、自分のストーリーと照らし合わせて、味わってみてください☀

◆作品情報
 ウルのスタンダード(紀元前2600年頃~2400年)
 上|戦争のパネル
 下|平和のパネル
 作者不詳
 貝、ラピスラズリ(深い青色から藍色の宝石)、赤色石灰岩 
 21.5×49.5cm
 大英博物館(イギリス、ロンドン)

◆参考書籍
 世界アート鑑賞図鑑 (日本語) 大型本 – 2015/2/9
 東京書籍
 スティーヴン ファージング (編集), 樺山 紘一 (その他)
 https://amzn.to/2LvUd7l


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