生理痛

日中の泥沼のような眠気に「くる」と感じた。
それから程なくして、出血と共に来る鈍痛。
便座に座るとボタッと落ちる塊、1ヶ月分の不摂生を思い出し悔いる。
最たる辛さは、34連勤中のときの痛み。
歩くたびに、悪魔に内臓を掌の中で握りしめられているような痛みで歩きたくなかった。
50m先の家が果てしなく遠く感じて、泣きながら一歩ずつ歩いた。

カフェインの錠剤をいくら飲んでも、眠気は消えないし、どんよりした体に鞭を打つように、ドクドクと血が走る音が聞こえる。
ロキソニンは効かなかった。
生理痛に効くと謳われる薬も気休めにしかならない。
生理中は悪魔に体を人質にされているような気分だ。

排出される血は、古くなった赤ちゃんのベッドだよと聞かされていた。
毎月捨てないといけないなんて、雨ざらしにしたベニヤ板で出来てるのかと思った。

体に子供を宿す、なんて馬鹿げた作りだと思う。
神様はとんでもないことを思いついたもんだ。
女が痛みを伴って命を掛けて産む行為が、未だに納得いかない。
毎月そのために、血を捨て、ホルモンバランスを乱して、痛みに耐える必要がどこにあるのか。
これじゃ、まともに仕事だって出来ない。

生理中はイライラしながら「お前に生理の痛みを教えてやる」と金玉を握りしめる。
「ごめんなさい、痛い!痛い!いだいああああ!」
わたしがされているように、わたしがマゾ男の内臓を人質にとる。
でも、叫ぶマゾ男の声に喜びさえ透けて見えるのが腹立たしい。

そして、何もかもが鬱陶しく、鳥がちゅんちゅんないているだけでも、石を投げたくなる。
ささくれ立つ心はソファに座っているわたしへ、膝掛けをかけてくれて、熱くも冷たくもない、人肌程度の飲み物を差し出してくれるだけでいい。
それ以上は受け付けていないのだ。

そういえば、今日は子宮頚がん検査をした。
久しく性病検査もしてなかったから、ついでに色々検査した。
子宮頚がん検査は、綿棒ではなく、猫の舌と棒みたいな器具が準備されていた。
子宮口にそれを突っ込んで組織をジョリジョリと拭いとるらしい。
ヤギに永遠に皮膚を舐められる拷問を思い出しながら、挿入されてる間は息をとめて天井を眺めていた。
「痛い」と思った。普通に。
婦人科系で今のところ痛かったのは、胸に注射器を刺して、細胞を吸い取るやつで、いい歳して病院で泣いた。

いろいろ考えると、女とか男とかオスとかメスとかじゃなくて、葉っぱになりたいと思った。
水吸って太陽浴びて風に吹かれて生きたい。
あわよくば、花も咲かせたりしたい。
来世は生き物以外で。神様、お願いします。

痛み止めが効くのを待ちながら。
おやすみ🌙

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