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【101日目】坊ちゃん

ご隠居からのメール:【坊ちゃん】

『坊っちゃん』や『人間失格』をファミリーヒストリーの観点から読み直すのも面白いね。「おれは、元は旗本で、旗本の元は清和源氏で、多田の満仲の後裔だ」。

旗本は戊辰戦争の負け組の佐幕派で、尼子の落人に通じる。坊っちゃんや大庭葉蔵に現代人の読者もひかれるというのは、日本人にはもともと負け組ファミリーヒストリーへの郷愁があるからかもしれない。

徹さんとオレとの関係を考えてみると、徹さんの父方とオレの母方のDNAは共通しているが、徹さんの母方とオレの父方は他人。つまり、従兄弟同士というのはそういう関係から、他人のはじまりだな。DNAの生き残り戦略はよくできている。

鮎川義介と岸信介との接点が見つかった。二人とも長州出身で、DNAもつながっている。岸信介は経済官僚で、日産コンツェルンをまるごと満州に持っていき、アメリカ資本を導入して大発展させようとした。雄大な構想だ。日中戦争の勃発で、アメリカ資本の導入は不可能になったが。アメリカとのコネはできた。

昭和十一年、満州では国務院実業部総務司長の肩書きで赴任し、ノモンハン戦争の後、帰国して商工省の次官になっている。興一さんも国務院勤務だったと思う。

ふゆ物語は資料が不足しているので想像するしかないが、妹に財産分けして分家させるという構想に対して長男は反発しないだろうか。もちろん父親の與左衞門さんには権威があるからさからえないが、弥左衛門さんの立場からすれば、嫁に出してしまえば、相続財産が減ることはない。兄と妹の仲はよかったのだろう。


返信:【Re_坊ちゃん】

色々知らないことたくさんあるな。勉強になる。佐幕派は、攘夷の志があるものの、幕府を支持する人たちだね。孝明天皇が佐幕の考えだったみたいだから長谷部氏も江戸時代に武士として存続していれば、佐幕派になっていたかもね。

こんなコメントをみつけた↓↓
――――――――――――――――――――――――――――――――――「坊ちゃん」でも山嵐は会津藩、うらなりも元松山藩の士族。坊ちゃんの父も元旗本。彼らを政治力を使って排除しようとするのが帝大出の赤シャツ。赤シャツとそれに追随する野だいこは薩長土肥と見なされるだろう。この対立の図式は坊ちゃんが発表された当時の読者は当然認識していた事だろう。
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有名小説には、「誰にどう思われるか」の仕掛けが色々あるんだな。読んだあとにネットで解説を調べると面白いことを知った。「人間失格」もお父さんのメールをみるまで、大庭葉蔵という主人公の名前を認識してなかった。

調べてみると「葉蔵」の名が登場するのは4回、「大庭」の氏が登場するのは1回。そのかわり、「自分」と語ってるのは760回もあるそうだ。「自分」とは「道化を演じる人」のこと「大庭葉蔵」という名の人物が人間失格ではなく、「自分」が人間失格だということかな。

著名図書、昨日は「羅生門」を読んだ。この歳になるまで「羅生門」があんなに短い短編小説だとは思わなかった。「羅生門」は人が悪に染まるまでの心境の変化を小説にしてるのだね。自分が内部監査をしていた時、悪事を働くには3つの要素、「動機」「機会」「自己正当性」があると言われていた。老婆は「自己正当性」を成立させる一言を主人公に話してしまったのだな。

そして、「満州国国務院」これを調べてみると輿一さんに近づく。手紙に「大豆の研究」について記載があったのでまさに「実業部」に所属していたと想像できる。輿一さんは、岸信介の部下だった可能性があるね。

なかさん、左トさんの関係を想像すると弥左衛門さんは、「策略家」というよりも「お人よし」だったような気がするよ。人の気持ちを考えて、優しすぎる。財産が分与されるという小さいことよりも親族で繁栄すればよいと考えたんじゃないかね。

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