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#87 ついにピラミッドへ!クフ王の内部にも入ってみた!🇪🇬

7/23 ギザ・三大ピラミッド/クフ王のピラミッド内部見学/エジプト人と揉める/スフィンクス

朝10時半。完全に寝過ごしてしまったが、ピラミッドのあるギザ地区に向かおうと思う。2番線のモニブ方面電車に乗ればギザ駅に着く。カイロ地下鉄は3ラインしかないので東京メトロを乗りこなす日本人には超簡単だ。メトロパスも大きな駅で買える。

カイロ地下鉄
メトロパス

ギザ駅で降りると、早速タクシーの運転手らしき男が声をかけてくる。「そっちは出口じゃないよ。ピラミッドまで行くなら俺の車で200ポンド(¥915)で行くぞ。」
高けーよ!と言う前に、横のエジプト人が「アホか!それは高すぎる」と言ってくれた。彼に「サンキュー」と伝えると、彼はシステムエンジニアをしており、これからピラミッド近くの家まで帰るから一緒に乗って行くか?と言われた。そして彼はピラミッド入場の説明をしてくれる。
「観光客用の入り口とエジプト人用の入り口があるよ。ピラミッドエリアは10km四方あるから、馬かラクダに乗らなければならない。」
このとき、自分は少し引っかかった。以前ピラミッドに行った人の動画では入り口から歩いてピラミッドまで行っていたのを知っているからである。
「馬かラクダに乗る必要がある?日本のYouTuberは徒歩で歩いて行っていたけど?」と問うと、
「今は道路が工事中だからね」と言う。ますます怪しくなってきた。「道路が工事中で通れない」なんて詐欺の常套手段ではないか。自分は疑いの目で彼を見る。タクシーに乗って、徒歩では帰れないところまで連れていって法外な金を請求されたという話も聞いている。ピラミッド付近で話しかけてくるエジプト人は信用してはいけない。やはり自分自身だけを信じて正規のルートで行った方が良さそうだ。
「やっぱり自分で行くよ」と伝えると、彼は潔く引いた。
思うに、200ポンドをふっかけて来た最初のエジプト人とグルだった可能性がある。200ポンドは高すぎると言い自分を信用させてから話を上手く持っていく手口だろう。考えれば「私はSEだ」と職業を名乗る必要もない。危なかった。

ギザ駅の階段を下るとバス乗り場になっており、「ピラミッド?」と問うと、「このバスだよ!」と教えてくれた。10ポンド(¥45)で行ってくれるらしい。満席にならないと出発しないシステムのようだが、一瞬で地元民で満席になって発車した。車内で運賃を回収され、15分ほどでピラミッド近くの交差点に着いた。

ローカルバスで行く

「ここから左手に歩いていけばゲートに着くよ!」と教えてくれる。「シュクラン(ありがとう)」と返して歩き出した。
歩き始めて数秒、一人のエジプト人が「どこから来たん?」と声をかけてくる。彼はこの正月にギザの家族のもとに帰省している最中だという。そして「アイラブジャパン!」と言い一緒に歩く。しかし自分はサンキューと言いつつも、(また来たか...)と思ってしまうのだ。

「アイラブジャパン」という言葉自体は素直に嬉しいのだが、同時にこの言葉は「失敗の入り口」であるということを、自分はこの旅を通じて理解しつつあった。この言葉は旅行者の警戒心を解こうとする都合の良い文句として使われるのである。すなわち、そう言っておいて日本人の「嫌われたくない」の精神を逆手に取ったものだということだ。
「アイラブジャパン」の文句は危険が迫っていることを教えてくれる信号なのである。

彼と一緒に歩いている間、「ピラミッドは3つだけじゃないよ。9つあるんだよ」とか、ピラミッドに関する知識を教えてくれた。
そして、最後はやはり彼の叔父さんが経営しているというショップに連れて行かれた。ピラミッドの置物やシーシャが置かれている。買っても荷物になるので、ちらっと見てからすぐに出た。そして案の定「ラクダに乗ろうよ」と言ってきたので、「ラクダ好きじゃないわ」と嘘を使って躱した。
彼と交代し、別のエジプト人が「ラクダに乗らないか。グッドプライスにするよ」と営業をかけてくるので「歩く」と頑なに断った。チケット売り場まで行くまでに何回勧誘を受けただろうか。一回断った後は無視するのが一番良い。「ヘイ!」と怒声をあげる奴にはその倍の声量の「ヘイ!(💢)」をお見舞いする。郷に行っては郷に従う。これがエジプト人との喧嘩の仕方だ。かかってこいや、こら。
チケット販売所では少し待たされたものの、何とかピラミッドエリアの券(360EGP)とクフ王ピラミッド内部入場の券(600EGP)を買えた。合計960エジプトポンド(¥4420)だ。

チケット販売所
値上げ
カードオンリー

余談だが、考古学博物館やピラミッド等、カイロの主要観光地はちょうど1カ月前からVISAやマスターのカードでしか購入が出来なくなったらしい。現金だと受付のスタッフが自分の懐に入れてしまうとかで、それを防ぐ目的らしい。理由が面白すぎるぜ、エジプト(笑)

入場すると三大ピラミッド、そしてスフィンクスが迎えてくれた。ついにここまで来たのか。日本を離れて3か月と11日、自分の目の前にアフリカの象徴、ピラミッドがある。

来ましたー!

クフ王のピラミッドから近づく。入り口からは若干の勾配になっていて、上っていく感じである。ピラミッドの下に立つと、逆に頂点が見づらく、その大きさを測る感覚が麻痺する。少し離れたところからの方が全体像を掴みやすい。それほど巨大なのである。第一段目の石は自分の背丈ほどの大きさがある。頂点に向かうにしたがって、石の大きさは小さくなっていくらしいが、そのこともピラミッドを高くみせている理由だと思った。写真の画角に収めるのに苦労する。

クフ王のピラミッド内部にも入ろうとしたが、12時から1時は閉鎖されているそうなので、入り口の日陰で日差しをやり過ごしていた。野犬もこの暑さに堪らず入ってきた。

1時になり、バーコードが読み込まれる。ちなみにこの入り口はピラミッド本来の入り口ではなく、9世紀に盗賊が掘った穴なのだ。その先に進むと顔を見せるのは「重量軽減の間」といわれる、上部に向かうにつれて段々と狭くなる廊下である。腰を屈めて斜め上に進まなければならないので一苦労だ。

いざ内部へ!
重量軽減の間

そして最後の部屋には石棺のようなものが一つだけ置かれている部屋に着く。発見当時、ここには何も入っていなかったらしい。壁面は水滴で濡れていてひんやりしているが、内部は蒸し暑かった。
見学を終え、重量軽減の間を降りようとしていたとき、ライトが全て消えて真っ暗になった時は少し焦った。

クフ王のピラミッドを一周し、次はカフラー王のピラミッドに向かうが、少し疲れたので屋根のあるベンチで小休憩する。観光用のラクダが草を食べている。犬もうろついていて、エジプト人が残ったパンを砕いてやっていた。

カフラーのピラミッドへ向かうと、スカーフを売るおじさんが声をかけてきた。「これはプレゼントだからフリーだよ」とスカーフを渡された。そして「ジャパン?」と聞いてきた。そうだと答えると、「アイラブジャパン」

...また聞いてしまった。この不吉な言葉を。
そしてその無料スカーフを巻かれると「写真をとってあげる」といわれ、なかば強制的にポーズを取らされる。ピラミッドを摘んでいる写真、手で三角を作りその中にピラミッドを入れる写真、ジャンプをする写真など指示をされる。写真は散々撮ったので気が乗らないが、彼のいう通りにする。そして最終的にお金を請求されたわけだ。「(出たよ...)いくらだ?」ととりあえず聞くと、「君の言い値でいい」という。
...まあこのちゃっちいスカーフ代として50ポンド(230円)くらいなら渡しても良いかと思い、「50ポンド」というと、「50ポンド?!お前知ってるか、50ポンドって1.5ドルだぞ?コーラ一缶分だ!」と怒ってきた。いや、お前が値段決めていいっていったじゃんかよ。

「いや、最初スカーフはプレゼントって言ったよね?」と反論すると、
「何枚写真撮ったと思ってんだ!」そこから口論が始まった。
「いや、写真なら他の観光客に無料でたくさん撮ってもらってるんだわ、お前と違って無料でな!写真を撮るくらい誰にでもできるぞ!」
「これが俺のビジネスだ!」
「知るかよ、そもそも撮る前にお前何も言ってなかったよな?何で最初に言わないんだ?」
そう言って彼にスカーフを返したら、感情むき出しの強い力でそれを引っ張られた。
自分も沸点が上がる。彼の態度にムカついて、「何怒ってんだ!何だよその態度は‼︎」と声を荒げ、感情をむき出しにした。すると、「落ち着け」と言われる。そして、
「...もういい。50ポンドよこせ。お前が自分で50ポンドって言ったよな」
こんな奴なんかにはビタ一文やりたくないと思った。数十秒、無言でクフ王ピラミッドを見る。しばらくするとまた「もういくから50ポンドくれ」という。
自分は最後の一撃に出る。「最後の最後、お前のせいでここで思い出が最悪なものになりそうだぜ」
すると、彼はそれが堪えたらしい。
「もし、50ポンド払って悪い思い出になるなら、これはいらない」というので、自分もようやく冷静になり、50ポンド渡すことにした。「スカーフを買った」という建前なら悪くはないだろう。
そして、「俺には子どもがいる。食わせなくてはならない。右腕もこの通り義手だ。」
と最後は感情に訴えてきた。なんだかんだ言い争ったが、結局最後はお互いに「サンキュー」といって別れた。

カフラーのピラミッドとラクダたち
メンカウラーピラミッド

「ピラミッドでエジプト人と口論」
ある意味避けられないことなのかもしれない。これはこれで良い思い出となったのだった。

水をおばちゃん商人から買う。500ml2本で40ポンド(¥182)と普段の4倍したが、おばちゃんの笑顔が良かったので取引した。

カフラーのピラミッドからメンカウラーのピラミッドを遠目で見て、最後はスフィンクスである。カフラー神殿を通るとスフィンクスが右手に現れる。ピラミッドの守り神と言われることが多いが、実はスフィンクスはピラミッドが建てられる以前に作られているので、この説は間違いであるとのことだ。顔のところに赤い塗料が塗られていたのが見てとれる。
スフィンクスと三大ピラミッドを写真に収め、満足してゲートを出た。16時になっていた。

カフラー神殿を通ると...
スフィンクス!
塗料が残っている

チケット売り場前の広場にいたハイエースがギザ駅まで行くというので乗り込む。料金は「フィフティーン」と聞こえたので15ポンド出したが、50ポンド(¥228)だったらしい。これは行きの料金の5倍だったが、地元民も同額を支払っていたのでぼったくりではないのだろう。運転手はかなり陽気な男で、自分のためにエジプトで流行っている音楽をかけてくれ、楽しませようとしてくれた。

一日頑張ったので、夕食はご褒美に生ちらし丼を食べようと思った。以前に訪れたナイル川中洲のヒルトンホテル内にある日本食レストラン「牧野」に向かった。

もはや日本
生ちらし丼

ピラミッド後の日本食は最高だ。そして刺身を食べたのは日本出国以来初めてだったかもしれない。味噌汁が疲れた体に沁み渡る。飲み物と合わせて600EGP(¥2740)と奮発したが、その価値はあった。最高の一日だった。

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