透明な氷をめぐる冒険
クソッタレなコロナ禍の昨今
夏場にも暑苦しくて仕方ないマスクを着けなければならないことと同じくらい苦痛だったのが、公共の場での飲酒が制限されたことだ。
マスクはまぁお洒落の一部として無理やり楽しんでいるし、実家の酒の充実具合は中々のものだ。
幸い我が家は舌がそれほど肥えてないので、僕の情けないシェイカー捌きから編み出される恥ずかしいマティーニにも満足は全然できる。
それでもやはりどうしようもなく不満なのは「氷」
今まではいわゆる冷蔵庫の「勝手に氷」機能で我慢できていたのだが、あの白く曇った量産型氷たちには戦中育ちのような根気はまるでなく、ゆとり世代も呆れるほどの速さで水と同化してしまう。
ハイボールはまだしもオンザロックなんてもってのほかだ。
そんな中、とある元バーテンダーのyoutuberの動画が我が家の晩酌事情に革命をもたらした。
なんの変哲もないクーラーボックスを使って自宅でも透明氷を作ることができるというのだ。
しかし現在の冷蔵庫はキャパがいっぱいいっぱい
思い切って別に冷凍庫を購入することにした。
クーラーボックスはなんの変哲もない2000円程度の安いやつで構わない。
容量は7L程度のものを選んだ。
クーラーボックスは蓋を取り外し、水道水を注ぎ冷凍庫でじっくりと凍らせる。
ここで問題なのが凍らせる時間だ。
短すぎると板チョコのようなペラペラの氷になるし、置きすぎると膨張した氷がクーラーボックスの底面を破壊してしまう。(おかげでクーラーボックスを一つお釈迦にした)
冷凍庫の性能やクーラーボックスの大きさにもよるけれど、大体一日半放置すればちょうどイイ具合になると思う。
一日半凍らせてできたのがこの氷の塊だ。
よく見ると3分の2ほどの面積は十分に凍らず、水のままになっている。
しかし、この部分はこれ以上凍らせても白く濁った無様な氷にしかならない。
何よりクーラーボックスが壊れてしまうので、思い切って捨ててしまおう。
そうそうもう一つ肝心なのがアイスピックだ。
一本刃のオーソドックスなものでもいいが、三つ又のタイプの方が効率的に氷を削ることができる。
あとは指の2,3本を凍傷で失う覚悟さえあれば、バーで出てくるような丸氷を作ることも可能だ。
冬場に氷を割る作業は少々キツいが、やり甲斐は十二分にある。
家で作ったとは思えないほど透明な氷が出来上がる。
おかげで我が家の宅飲み事情はかつてない繁栄の時代を迎えた。
この氷たちは酒を冷やすという本分を忘れず、牛歩のごときスピードでジワリと溶けてくれる。
たかが氷と侮るなかれ。
新しい生活様式は氷から見直そう。
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