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VALUと仮想通貨のこれまでと、これから

株式会社VALU 代表取締役の小川です。先日、Fundishという新規サービスをローンチしました。その記者会見でVALUサービスの方向性について質問された際に、支援手段をBTCからJPYに切り替える検討をしていることを話しました。

それ以降は本件でユーザーの皆さま、仮想通貨・ブロックチェーン業界の方々から多数の問い合わせをいただきましたので、「なぜ日本円に切り替える検討をしているのか?」について説明できればと思っています。

また先般、VALUサービスにおいて「仮想通貨への投資判断について助言を行う行為を禁止する」という規約を追加しました。こちらの件についても説明します。

大前提として、僕自身は、仮想通貨・ブロックチェーンが大好きです。2012年くらいからビットコインの存在を知り、本格的に業界に参加したのが2015年。ビットコインは、現代社会に対するお金のあり方や、「通貨という人類最大の発明とも言われるツールがどのように変遷してきたのか」という歴史を知る良い機会を人々に与えたと考えています。また、僕は未だに世界共通通貨と世界共通取引市場マーケットのようなものが生まれ、全人類がよりフェアに生活できる世の中を夢みています。


なぜ、日本円に切り替える検討をしているのか?

通貨は「流通貨幣」を縮めた言葉になります。つまり、一部のコミュニティーに流通する貨幣です。貨幣には3つの大きな役割があり、それは価値尺度手段交換手段価値貯蔵手段です。VALUサービスをローンチしてから約2年間、BTC決済を使い続けて困ったことが2つありました。

まず1つ目は、ビットコイン・仮想通貨を持っている人が500万人くらいしかおらず、マーケティング費用が無駄になってしまうことです。スタートアップにとって、”ユーザー数”や”売上”を伸ばすことは資金を得ることに限らず、自社の時価総額を上げるためにも超重要です。その二つの数値を伸ばすのに欠かせない企業活動がマーケティングです。以前の社員ノートで「登録CPA指標ではとても良い結果が出た」ことに触れましたが、その登録ユーザーが残らない。彼らはビットコインの入金率が低く、そのため購買もなかなか起こしにくい。つまり、マーケティング費用をかけても、株式会社VALUの時価総額を上げることに繋がりません。まだまだ使い心地の悪いVALUサービスである、ということを差し置いても、あまりにも低い数値だったので、世の中にビットコインを持つユーザーが劇的に増えない以上、ビジネスを続けていくことが難しいという課題があります。

そして2つ目は、価値が乱高下しすぎて、価値尺度手段が機能していないことです。株式会社VALUのミッションは、「評価の基準を変え、お金の流れを変え、フェアな世界をつくる」です。商品やサービス、企業価値などの評価には安定した通貨が必要なのですが、ブロックサイズや思想の違いでハードフォークが多く起こったり、多額の金額が盗まれるハッキング事件が起こったり、ビットコインの価値が全く安定しない状況が続いてしまっています。VALUサービスではユーザーが発行しているVAの価値を正しく評価したいと考えていますが、サービスで利用しているビットコインの価値が安定しないため、VAの評価額も不安定になるという課題を抱えています。

また、上記した2つの課題がある中で、先日、発表されたカストディアン業務のライセンス取得という課題も出てきました。これは、暗号資産(仮想通貨)交換業の中の一つとして、ユーザーの資産を安全に管理するために制定されたライセンスです。このライセンスを取得するためには、多額の資金や人材雇用が必要になりますので、会社運営の観点で耐えられるものなのか、また、先々も見据えてリスクを取ってでも取得すべきライセンスなのか…といった検討を進めている状況です。今はライセンス取得の方向で人材採用やサービス改善を進めていますが、近い将来、JPYとBTCのどちらかを選択しなければならないと考えています

カストディアン業務の法規制の内容は、アンダーソン毛利・友常の資料「暗号資産に関する改正資金決済法等について」を参照するのが一番早いと思います。なお色々な見解もある中で「これが正解です」というご紹介ではありません。


なぜ、仮想通貨への投資判断について助言を行う行為を禁止したのか?

2019年7月2日に規約を変更させていただきました。

多くの仮想通貨・ブロックチェーン好きのユーザーにも支えてもらったVALUであり、大きく悩みましたが、この規約を追加しました。

理由は単純で、仮想通貨の投資判断について、モラルを欠いた助言や行動が多いからです。このままモラルを欠いた行動を放置しておけば、VALUは、いずれ不要なサービスになるだろうと思いました。

できれば将来的により多くの人に使われるサービスにしたい。それは、毎日VALUの改善・向上のために働いている弊社従業員全員の想いです。その想いを実現に導くために、規約変更を決断しました。

余談になりますが、価格操縦については触れられているものの、仮想通貨の投資判断への助言に関しては今回の法改正に関しても特に記載事項がなく、未だに無法地帯です。また、インサイダーも取り締まり方法が明確でないため、まだまだ、モラルを欠いてお金を稼ぐ方法がたくさんあります。規制の及ばない海外の草コインを多く扱っている取引所は、こういった行動を利用し売上を作っているのは有名な話です。 もちろん、株式マーケットにも煽ったりして価格を釣り上げる人たちがいたりするのも事実で、一概に仮想通貨だけの問題じゃないとも思っています。


VALUの今後について

正直、まだまだどうなるかわかりません。ローンチ当初に考えていた構想・施策の多くが規制の影響でできなくなり、新しく生き残る方法や抜本的な改善を考えなければならない状況になってきています。

仮想通貨・ブロックチェーンテクノロジーを使ってできることは無限大にありますが、法律、税金、ファイナンスなど多くの制約があります。(ぶっちゃけ、なかなか難しいです。)

それら制約条件の中でもできることを探しながらサービスを開発・運用し、VALUを成功に導いていきたいと考えています。そのため、現在の基本方針であるカストディアンライセンスの取得を念頭におきながら、日々サービスの改善に努めています。


最後に

先日のVALUサウナ部というユーザー会で、「小川さんが何を考えているのか分からない。どんどん発信した方がいい」と言われたこともあり、今回、このタイミングでNoteを書くことをディレクターの高橋と編集長の菊池に命じられました。

また、本日で33歳を迎えました。自分がおっさんという認識も完全に芽生え始めています。そんなおっさんになり始めている僕のVAを買ってくれたり、僕のAmazonのウィッシュリストに入っているものを買ってくれたりすると嬉しいです。

株式会社VALUのミッションである「評価の基準を変え、お金の流れを変え、フェアな世界をつくる」を実現するために、これからも全力投球していきます。VALUは仮想通貨・ブロックチェーンを完全に諦めた訳ではありません。カストディ業務を取得することで、仮想通貨銀行になれるかもしれません。我々は、ミッションを実現するために、最適なテクノロジー・通貨は何か、進むべき道はどこか、という議論をしているだけです。

個人的には、仮想通貨・ブロックチェーンの可能性について、次のバブルが崩壊するタイミングで、世界中が法定通貨と仮想通貨のどちらを選ぶのかを見てみたいと思っています。

そんな株式会社VALUでは積極的に採用活動を行なっています。
興味を持って頂いた方はご応募下さい。


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