見出し画像

暗号資産規制関連 Weekly News 2023/9/29

私は、暗号資産交換業者に対する内部管理等のコンサルティングを行っています。今週の規制や内部管理に関連するニュースを紹介します。



偽トークンによる誤入金

概要

  • 韓国の大手取引所Upbitで、フェイクの暗号資産が何らかの理由で入金処理された

  • フェイクとは「ClaimAPT Gift」という偽のAPTトークン

  • 総額は約140億円

  • 偽トークンがAPTと認識されてしまった理由は、APTトークン入金の反映処理において、型引数(type argument)のチェックに失敗したため

深堀ポイント

  • 原因の詳細は不明であるものの、おそらく過去に類似のないインシデント

  • 暗号資産関連業者は、これまで想定していないインシデント発生を検知した場合に、適時適切に自社への影響を調査する体制を有することが求められる


Hot Walletからの不正流出

概要

  • 暗号資産取引所HTX(旧Huobi Global)からハッカーの攻撃によって5,000ETH(12億円相当)が不正流出したことを発表

  • ユーザー資産は安全で、HTXのプラットフォームは通常通り稼働している

深堀ポイント

  • 暗号資産交換業者のハッキング自体が減少トレンドである

  • 預かり暗号資産の大半はCold Walletに保管されるのが主流となっており、Hot Walletは一時的な保管目的で利用されるため被害額も小さくなっている


JCBA IEO制度改革案

概要

  • JCBAは、IEO制度の健全化に向けた自主規制改革の方向性の初期案を公表

  • JVCEAは6月に、自民党のWeb3プロジェクトチームに対して、IEO市場の問題点と改善策について説明

  • 自民党が発表したWeb3ホワイトペーパーでは、IEOの推進が明記されるなど、市場への関心が高まっている

深堀ポイント

  • 一般的な暗号資産自体も価値の安定性に課題があるため、当然IEOも同様である

  • 当該課題について、今のところ確定的なソリューションは無い

  • 一方で、ZipangcoinやDAIなど、仕組みとして価値を安定させる暗号資産も存在する

  • 一般社会に広く浸透する暗号資産の形について、まだ不確実性があると言える


ブリッジウォレットからの不正流出

概要

  • 香港を拠点とする分散型クロスチェーン転送プロトコルであるミシンネットワーク(Mixin Network)が、ハッキングによって2億ドル(約300億円)を失ったことを発表

深堀ポイント

  • 分散型クロスチェーンのブリッジウォレット(※)が狙われるケースが多く、クリプト業界としての課題と言える

※「ブリッジウォレット」とは

  • ネットワーク間で暗号資産の移転を可能とするために、両替する場所である

  • 形式の異なるネットワークAとネットワークBの間をある暗号資産Aを自由に流通させる仕組みである

  • 具体的には、ネットワークA上で発行されている暗号資産AをブリッジウォレットCに預託し、ネットワークB上に暗号資産Bを発行する

  • 同様に暗号資産Bを償還し、ブリッジウォレットから暗号資産Aが返却される

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?