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暗号資産規制関連 Weekly News 2023/11/4-10

私は、暗号資産交換業者に対する内部管理等のコンサルティングを行っています。今週の関連ニュースを紹介します。



SECの暗号資産規制に対する姿勢

概要

  • 米証券取引委員会(SEC)のマーク・ウエダ委員は、SECの暗号資産規制アプローチを批判した。

  • 理由は、法的執行など強制的な措置を取る前に、明確な規則やガイダンスを設定することを検討する必要があるからである。

  • SECは大手暗号資産取引所コインベースやバイナンス等、数々の企業に対して訴訟を起こしている。

概要

  • 米国のトム・エマー議員は、米証券取引委員会(SEC)の法的執行から暗号資産業界を保護する法案を提出した。

  • 法案は、議会がSECの管轄範囲を定めるまで、SECが暗号資産企業に対する執行措置に資金を使用することを禁止するものである。

  • 犯罪者や詐欺師を追及する米国の力を損なうことなく、ゲンスラー委員長による規制の乱用、米国のイノベーションと資本成長を粉砕しているやり方に終止符を打つことを目指している。

深堀ポイント

  • 業界の発展には、法規制を含めたルールの明確化は不可避であり、米国の法規制に対する姿勢の変化に注目したい。


ステーブルコインのデペッグリスク

概要

  • 国際決済銀行(BIS)は、11月8日に公表した研究レポートでステーブルコインを「安全な価値保存手段ではない」と批判した。

  • 研究レポート「BIS Papers No 141 : Will the real stablecoin please stand up? 」に、過去データによる分析結果が掲載されている。

(出所)https://www.bis.org/publ/bppdf/bispap141.pdf

概要

  • ムーディーズ・アナリティクスは、24時間以内のデペッグの可能性をAIで予測するステーブルコイン向けの新サービスを開始した。

  • ステーブルコインの発行体の流動性や安定性に関するリアルタイムの洞察も提供する。

(出所)https://www.moodys.com/web/en/us/innovation/digital-asset-monitor.html

深堀ポイント

  • 日本のステーブルコインを取り扱う「電子決済手段等取引業者」の規制要件が厳しいので、そもそもデペッグリスクがあるものは取り扱えない可能性があるが、まだ不確実性も高く、デペッグの予想ツールが今後活躍することも考えられる。


CMEの先物取引がトップに

概要

  • シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、2年ぶりにバイナンス(Binance)に代わって、BTC先物取引における建玉数がトップとなった。

  • CMEは期限付の先物取引を提供し、バイナンスや他の取引所では、主には永久期限(無期限、パーペチュアル)の先物取引を提供している。

  • 機関投資家の市場参加者の需要が高まっていることを浮き彫りにしており、重要な進展とのこと。

(出所)https://www.cmegroup.com/markets/cryptocurrencies/bitcoin/bitcoin.volume.html

※限月(げんげつ)とは

  • 先物取引の期限の月のことを言う。上記の「Month」欄のこと。金融あるあるの変わった読み方の専門用語。

深堀ポイント

  • トレーディングにおいて、流動性の高い取引時を利用するインセンティブがある一方で、CMEの先物取引は期限付きであるため、既存の期限無先物とのポジション管理やリスク管理方法の違いを認識することが必要となる。


【インシデント事例】ウォレットの不正流出

概要

  • オーストラリアの暗号資産取引所のCoinspotにおいて、240万ドル(約3.6億円)の不正流出が発生した。

  • ブロックチェーンセキュリティ企業セルティックによると、ホットウォレットの少なくとも1つの秘密鍵が漏えいしたもの。

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