ウルトラの星に帰る

みよ子に連れられて、昼間にパチンコに行った記憶が鮮明にあります。
パチンコ台の前に座ると、みよ子があれこれと私に教えてくれるのです。
私の台の玉が切れると、みよ子が玉を分けてくれるのです。すると私の台が大当たりです。

大人になった今、考えてみれば店側が小さな子連れの客に気を使ったのだと分かります。

景品は、ウルトラマンの人形でした。手足が手動で動いて、胸のライトがピカピカと点滅するのです。
その夜、私は布団に潜ってウルトラマンの胸の点滅の明かりを永遠と見つめていました。とてもきれいでした。
しかし電池が切れてしまうのです。たった数分間でした。

力と、みよ子は、子供を喜ばそうなんて考えは殆んど持ち合わせてはいません。電池を買ってくれるなんて気使いは絶対しない人間でした。


ウルトラマンの胸のあかりは、二度と光る事はありませんでした。


布団の中で点滅する光が蛍のようで。黄緑色の光でした。
たった数分間でしたが、その光がとてもきれいで、布団の中が別の空間に見えて自分が何処かちがう、楽しい場所にいるような気がして、無我夢中でその光を見つめていたのを鮮明に覚えています。

あんな気持ちをもう一度、味わってみたいものです。


  

   ほんとうに、きれいで、きれいで、夢の中にいるようで・・・ 。

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