猫の話 5 ペットロス編

クリスマス前以来久しぶりに深く眠ったと思う。
緊張が解けたか、アドレナリンが切れたか。副交感神経優位になったのか腹をくだした。トイレがずっと壊れていることに気付いた。水がずっとちょろちょろ音をたてて流れている。

寝ても醒めてもやっぱり猫はいない。大量に残った餌と静まりかえった部屋。骨壷。扉の開け閉めや移動も猫を刺激しないよう静かにする癖がついている。タバコを吸っていても猫触りに戻ろうって無意識下で思ってる。

色々な消耗品買い込んでたので一箇所に集める。
猫を飼ってる友達に譲ろうと思ってるけどまだ言えずにいる。
点滴、痛々しいが撤去できずにいる。血液検査結果の詳細も3に記載しようかと思ったが、今はみれない。ごめん。猫エイズで調べると余命とか色々でるから知りたい人は知りたいんだろうけど。
ベッドに吐いたシミですら存在していた証拠だなぁと名残惜しい。
おしっこシートも捨てられずにいる。
高カロリー剤を溶いていたコップ、薬剤を溶かしていたコップも洗えずにいる。
空になったシリンジ。闘った年数分貯まってたくさんある。
服についた毛すら愛おしい。もうこれから増えることはないんだなと袖をみて思った。

一度、洗濯をしている時に外へ出てってしまったことがあった。それ以前に同居人がゴミ捨ての時に扉を開けっぱなしにしていて出て行ったことがあったが、その時はにゃあにゃあ外から声が聞こえたのでわかった。
5日ほど消え心底心配した。
部屋にこもっていても辛いのでフラフラ散歩にでかけた。コンビニで猫の写真でも印刷するかなって。ファミマってできないんだね。
円〜と外で呼びかけているとサラリーマンの歩行者に猫が歩いてましたよ、と教えてもらい、迎えに行った所を見に行く。思えばそれも良くなかったよなぁとまた落ち込む。
骨を拾うのも駐車場で行った。また落ち込む。

患者から年賀状が届いていた。ミミズが這ったような字で頑張って書いてくれたんだろう。自分にはそんな価値がないような、悪い気がした。

SNSのフォロワー数、少ないので気にしてるわけじゃないが猫の投稿で徐々に減少した。元々バンド、NFTのアカウントなのでそれは仕方ない。正月から見苦しい赤の他人の不幸話もみたくないだろう。ただ俺はこういう人間でこういった身近なできごとの蓄積で出来上がった人間だ。いつも失って実感するが、自分で思っていたより何かの存在の占める割合は把握できていない。ニーズに応えられないのは申し訳ない。

野次馬のような輩もいるが自分が発信しているので仕方がない。
記録、感情の捌け口、整理、猫を知ってほしい、弔ってほしい、色んな欲望が入り乱れているとは思う。
猫がいたってことを残したい気持ちが大きい気がする。

夢に猫はでてきてない。覚えてないだけかも。
知人から顔から骨がでてる猫がいるとLINEがきた。その知人は何も知らないので仕方がない。そして俺もその猫を助ける気力がない。どうにかしてあげたいとは思うが。

猫のために室内は間接照明しか置いていないので、部屋が暗い。とにかく何もする気にならないけどがんばってギターをアンプに繋いで何かフレーズを作った。
3度外で出会ってるのってすごくない?と自分で思ってる。何か箇条書きで心情をまとめようと思ったがまだ野暮なような気がしてやめた。

文才があるように書きたいしもしくはネットに出さない方がいいとは思う。だけどしばらくこんな調子だと思う。今も昔も他人の顔色を伺うのは苦手、他人と関わるのも苦手。ごめんね。嫌だったらフォロー外すか読まないようにしてね。

喪失感を葬る方法を探しているわけではない。昔調べ尽くしたことがあったが、過去を肯定するためには未来が良くなるように行動し変わるしかない。そんなことはわかっている。
誰かに寄り添って欲しいわけでもない。聞いて欲しいわけでも拗ねているわけでもない。誰とも喋る気分ではない。
ただ猫を返して欲しい。帰ってきて欲しい。もう一度元気な猫を抱きしめたかった。

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