オリジナルの作り話

昔々ある所に、それはそれは小さな鳥の雛がおったそうだ。

ヒヨコよりも小さいので身体も弱く、敵から狙われる事も多かったその鳥の雛達は多くの大きな生き物から捕食される事が多かったのだとか。これはそのおはなしである。

ある日、雛はその日も母さん鳥が餌を持って帰ってくるまで巣で待っていたそうです。

しかし、雛は一日中暇で暇で仕方ありません。

それもその筈。その鳥は1週間は生態学上、餌を採りに行って帰って来るのはだいぶ日にちが必要とされる生き物だったそうで、雛達も思わず巣から飛び出て外の世界で(パクッ)と捕食されてしまうと言ったケースが多いのです。

その雛鳥も母さん鳥を初めのうちは大人しく待っていましたが、とうとう痺れを切らして外へと出ていってしまうのでした。

初めて見る世界は雛鳥にとって怖かったのでしょうか?それとも、美しく楽しいと…早く大人の鳥になりたいと願ったでしょうか?それは定かではありませんが、雛鳥はヨチヨチ歩きながら何処へ行くかも分からずに足を動かして気が付けば全く知らない町に出てしまいました。

「ここはどこ?」と雛鳥は途端に不安になっていました。

すると、「おやおや可愛い雛鳥さんだね。どうしたの?」と誰かが後ろから声を掛けて来たのでした。

雛鳥は振り返って見ると、そこには大きなドブネズミが居ました。

ドブネズミは獰猛で有名な生き物。その雛鳥も何羽か犠牲になった事を以前母さん鳥から聞かされた事を思い出して、警戒心を持ちました。

「わたしは毒を持つ鳥です」と雛鳥は嘘をついてみました。

ドブネズミは毒があると聞いて驚いてそそくさと去って行きました。

またしばらく歩いていると、今度は狐に出逢いました。

そしてまた雛鳥は狐に自分には毒があると話しました。しかし、狐は賢くて「毒があるのは嘘だろ」と指摘して来ました。

そこで雛鳥は「わたしには怖い親鳥が空の上からあなたのような獲物を狙っているんですよ」と嘘をつきました。

狐がチラッと空を見上げたその一瞬の隙をついて雛鳥は一目散に逃げました。

もうどれくらい歩いたでしょうか…。雛鳥はヘトヘトになりながらも、自分と同じ種類の鳥がいるところへと歩き続けました。

そしてある町に着いて、一休みしていると突然大きな影が自分の背後に居る事に気が付いて恐る恐る雛鳥は後ろを振り返ってみると、そこには人間が居ました。

雛鳥は思わず心の中で「助かった…」と思った。この生き物はお母さん鳥から捕食者として教わった事は無く、危険ではないだろうと心を開くのでした。

人間は雛鳥に対して「おぉ、とても小さくて可愛い雛鳥だね。」と話しかけて来ました。

その雛鳥は身体が小さくとも、何故か知能は高く人間の声をある程度理解する事が出来ました。

雛鳥は人間に自分の言葉を伝えられないが、身振り手振りでその人とコミュニケーションを取ろうと試みました。

そしてある程度人間もその事が伝わり、雛鳥にこう伝えるのでした。

「大きな動物に狙われる?そっか、それは大変だね。よし、ここは一つ良い隠れ家がある。それは私の胃袋だ。ここに隠れれば動物に狙われる事は無くなるよ」とその人は言いました。

これで森の中で他の動物から捕食される事は無くなると安心した雛鳥はその人の口の中に進み胃袋へと向かうのでした。

・・・数時間後、もう雛鳥がどうなったかはお分かりだろうが雛鳥は人間の養分となってしまいました。

自分よりも大きな生物、そしてさらに大きな生物…倍々ゲームとは言わずとも生態系の中では人間を喰らう生き物は現時点では滅多に居ない。
しかし、人間よりも小さな生き物にはこの様なドラマがある事を忘れずに…。